2013年4月3日

家に篭りきりになっている訳ではないし、テレビやラジオと全く縁遠い訳でもないのに、世の中のトレンドに付いていけてないことが良くある。つとに身に沁みているのが、流行歌だ。「流行歌」という言葉そのものも今は余り聞かなくなってしまったが、若い頃には結構歌好きだった筈なのに、最近流行っている歌にはほとんどついて行けないでいる。特に、ハイトーンの部分が多くアップテンポの歌は苦手だ。耳が衰えてきた訳でもないのに、何と歌っているのか歌詞が殆ど理解できないのだ。必然的に、頭に残っている歌手の皆さんの平均年齢は、高齢化の最先端を行っている。ただ、テレビの歌謡番組が少なくなり、最近の歌を聞く機会が少なくなったのが主な原因だ、との言い訳はちゃんと用意している。

ところが、歌や歌手ばかりでなく若手のタレントにも、名前を知らない人が結構いるのも最近気になっている。10年ほど前から、テレビを観ていて「これ誰だ？」と娘に聴く事が増えてきた。一度聞いてもすぐ忘れる記憶機能の衰えに加え、トレンディードラマやバラエティー番組にあまり興味が無いこともあって、“知らない芸能人”が増えてきているのだ。

そう、よくよく考えると、歌にしろ、またタレントにしろ、然程興味が無いから頭に残らないのだ。もう少し視点を変えると、興味をそそられるほど魅力ある若手芸能人が出てこないからだ、とも言える。その証拠に、数は本当に少ないが、初めて耳にして心に残る今時の歌もある。考えてみれば、「興味が無いと記憶に残らない」は、私に限ったことではなく、至極当然の事でもある。

必然的に、私にとっては、スイーツや料理、或いは身に付けるブランド品に関しても、最近の芸能人同様、かなり時代に乗り遅れた状態となる。「全く無い」と言う訳ではないが、酒に関するものに比べれば、遥かに興味は薄い。テレビドラマで有名になった「イベリコブタ」を、「どんなコブタだろう？」と思ったぐらいだ。友人に教えられるまで、ずっと“いぶしたコブタの一種”だと信じていた。そんな具合で、食に関する興味、というより“こだわり”は、あまりない。育った環境がそうさせたのか、ただただ、美味ければ何でも良い。

だから私には、○時間並んで“食べた”とか“買った”という事は考えられないし、「○○の店の△△がとても美味しい」という情報も酒の肴になるモノ以外、強く興味を抱くことは滅多にない。ましてや、スイーツとなれば尚更だ。ところが、どうした弾みか、そのスイーツに興味津々となっている。スイーツと言っても、アイスのことだからその範疇に入るのかさえ分からないでいるのだが……。

先日、知り合いが、「昨年売り出したところすぐに売り切れて食べられなかった、ガリガリ君のコーンポタージュ味アイスを買ってきたから食べないか」と、珍しいアイスを持ってきてくれた。スイーツに興味のない私は、勿論、“ガリガリ君”などと言われても、何の事だかサッパリ分からない。聞くところによれば、アイスの世界では、“ガリガリ君”はつとに有名らしく、くだんの商品は直ぐに売り切れてしまうほど人気だったらしい。しかも、「アイスにそれって有り？」と思わず疑ってしまう、コーンポタージュ味だというから驚きだ。

早速貰って食べてみた。何と、これが結構いける。勿論ポタージュの味もするし、ところどころにコーンの実も入っていて、その触感も中々だ。アイスといえばミルク味やソーダ味、或いは金時など、子供のころから親しんだ味しかイメージできない私にとって、一味違って新鮮だ。しかも、あまり甘すぎず、私好みの味となっている。

これがガリガリ君リッチ コーンポタージュ
パッケージもインパクトがあって面白い
炬燵に入りながら食べるのも良さそうだ

それしても、パッケージも含めユニークな商品である。こんなユニークな商品を開発するのはきっと会社自体も面白いのだろう、とメーカーである赤城乳業のホームページを覗いてみた（http://www.akagi.com/）。どうやらアイス一筋の会社らしい。ホームページには、『「あそびましょ。AKAGI」の企業メッセージをお客様に届けるため…』と書かれていて、ユニークな商品開発をうかがわせる内容となっている。アイス関連だけで事業をしているとは、凄いことである。この会社にとっては、「たかがアイス、されどアイス」なのであろう。

「スイーツに興味津々となっている」と書いたが、実は、そのスイーツを作っている会社に興味津々となっているのだ。既成概念を打ち破るエネルギーに溢れているに違いない、と思った訳である。実際、「あそび」を企業メッセージに入れているのもいい。一つのことをとことん極めるのは、簡単そうで実は難しいものである。このユニークな商品開発の精神と行動力、個人の生き様としてもお手本にしたいものだ、とガリガリ君をかじりながら思った次第である。

【文責：知取気亭主人】

流石に、ツバキはアイスに向かないだろうな