2013年5月1日
今はゴールデンウィーク。お父さんは少々疲れ気味になる連休ではあるが、小さな子供にとっては堪らない長休みだ。そして、子供が主役の日も直ぐそこだ。そこで今回は、子供、特に幼児に因んだ話題とした。
2年前に孫娘が誕生してからというもの、我が家には急に“プーさん”が増えてきた。最初に彼女の口から出たのは、 “クマのプーさん”だ。そう、縫いぐるみのクマさんだ。やがて孫娘が1歳を過ぎた頃から彼女の大好きな相棒となり、2歳を過ぎた今では“アンパンマン”と“ウサちゃん”の縫いぐるみに取って代わられたものの、以前は添い寝をしてもらうかのように必ず枕元に置いて寝ていた。 “アンパンマン”達にNo.1相棒の位置を奪われたといっても、“プーさん”に対する愛着は今でも失われていないらしい。休みの時などに、私が昼寝の枕にでも利用しようものなら、「ダメ!プーさん痛いでしょ!」と叱られてしまう。彼女にとって、“クマのプーさん”はまだまだ特別なものらしい。
その特別な“クマのプーさん”と孫娘が出会ったのとほぼ同時期に、我が家では“別のプーさん”も顔を見せるようになってきた。こちらの“プーさん”、縫いぐるみほどの可愛らしさはないし、孫娘に抱かれることもできないが、結構ユニークな特徴がある。と言っても、縫いぐるみには無い“色や形”をしている、という訳でもない。そう言った外見的な特徴ではなく、もっと違うものに決定的な特徴があるのだ。そして、その最大の特徴だが、特定の人を除けば、「そのプーさん大好き」と断言できる人はまずいないし、鼻を合わせても決して心地良いものではないにも拘らず、不思議なことに殆どの人に笑いをもたらす力を持っている。
“別のプーさん”の決定的な特徴は、音や匂いが伴うことがあることだ。「音」と一口に言っても一定ではなく、大きな音、かすれる様な小さな音、そして高い音や低い音、さらには「音なしの構え」と言いつつ消音してしまう恐ろしい手合いも居る。こう言った音のコントロールは、人によっては強い意志と筋力である程度できるもので、周りに人が居るか、或いは居てもその人との付き合い方によって、音質や音量を変えている人もいる。ただ、万人ができるわけではない。
したがって、とてもじゃないがコントロールできない、周りの人に迷惑を掛けたくない、或いは恥ずかしい思いはしたくない、ということになると、ひとり孤独になり処理をすることになる。強さについては尚更難しく、自由にコントロールできる人には、ついぞお目にかかったことが無い。実は、“プーさん”をコントロールするということは、それ位難しいことなのだ。
そう、皆さんもうお気付きの事と思うが、“別のプーさん”とはオナラの事だ。そして、“大きさ”というのは音の大きさであり、“強さ”というのは臭いのことである。
孫娘がまだ「アー」とか、「ウー」とかしか言えなかった乳児の頃から、彼女の母親は、“オナラ”とは言わずに、可愛らしく「○○ちゃん、プーさん出たね」と声掛けをしていた。それ以来、我が家では、オナラの事を“プーさん”と言うのが一般的になってきていた。そして、初めて孫の口から「プーさんでた!」を聞いて以降、齢60を過ぎたこのオッサンでも、「オナラが出た」とも「屁が出た」とも、勿論「放屁」とも言わずに、「おじいちゃんもプーさんが出た」と可愛らしく言っている。
その“プーさん”、「赤ちゃんのウンチやオナラはそう臭くない」と言われているが、我が家の孫たちには、どうやらその一般常識が当てはまらないらしい。孫娘も、今年の1月に生まれたばかりの孫息子も、結構早くから一端の臭いをさせている。「赤ちゃん」の定義が何か月までを言うのかよく知らないが、先日も孫息子の“プーさん”にすっかり騙されてしまった。
まだ3ヶ月程しか経っていなかったのだが、抱っこをしていると、何やら大人顔負けの臭いがしてきた。てっきりウンチだと思い、「ウンチが出たみたい」と嫁に告げると、「そうですか?」と言いながら孫息子のお尻をクンクンし始めた。そして、「プーさんだけかな」と言ってオムツを開けてみると、さすがお母さん、嫁の読み通りオムツは汚れていない。汚れてはいないのだが、臭いは強烈だ。まだおっぱいやミルクしか飲んでいないのに、ビックリである。父親である長男もかなり強烈な“プーさん”を持っているから、遺伝なのかもしれない。私? 自慢じゃないが勿論私も同じ遺伝子を…。
“プーさん”の元となるガスは、大部分が口から飲み込んだ空気だそうで、2リットルの水を飲むと何と4リットル近くの空気が胃に入るのだという。赤ちゃんがミルクを飲んだ後にゲップをさせるのはこの飲み込んだ空気を出している、と考えれば合点がいく。このように大半は口から出るらしいが、残りは胃から小腸、大腸へと向かい、最後は“プーさん”となって存在感を示して消滅することになる。
ところで、私が騙されたあの臭い、あれは腸内細菌から生まれる硫黄系のガスのせいらしい。そのガスが僅か1%ほど混じっているだけで、そんなことはしたくないのに、少し離れた人にも存在感を強烈にアピールしてしまう。我が家の孫たち、家族の中心にいて存在感は十分過ぎるほど在る筈なのだが、“プーさん”の特技を使い、揺るぎ無いものにしているのかもしれない。ただ、爺ちゃんの希望を言わしてもらえば、音も一緒だと分かり易いのだけれど…。
【文責:知取気亭主人】
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ナシ
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