2013年5月15日
今年の春は、何かおかしい。最高気温が夏日の目安となる25℃を超え早くも夏が来たかと思えば、次の日には一転して10℃以上も下がって早春に逆戻りと、気温の変化が極めて激しいのだ。しかも、全般的にいつもの年に比べて寒い日が多く、家では暖房器具と中々“オサラバ”できないでいる。休みの日など、朝晩は勿論だが、昼間でも炬燵に厄介になることがまだある。兎に角、順調に暖かくなって行かないのだ。
金沢でこの状態だから、もっと北に位置する東北地方や北海道などの低温傾向は、押して知るべしだ。ゴールデンウィーク後半に低気圧の影響で冷え込んだ北海道では、6日には帯広などで、5月としては2005年以来の積雪が観測され、日本中を驚かせた。また、私のニュースソースとしてお決まりのNHKラジオに依れば、4月29日に桜の開花宣言をした青森気象台では、“桜は開花したのに先に咲いている筈の梅がまだ開花していない”という珍現象が観測されたらしい。青森での桜の開花は例年より1週間ほど遅いというから、梅の花に至ってはかなり遅れていることになる。更に、北海道で最初に桜の開花宣言が出された函館気象台の標準木は、「開花宣言から僅か6時間ほどで満開になった」とNHKの番組で気象予報士が伝えていたが、これも奇妙な現象である。そして、東日本を中心に、各地で1日の気温差が15℃を超える事がしばしば起こっている。今年の春の異常さを端的に物語っている、と言っていいだろう。
この激しい寒暖差、そして低温傾向の影響を受けているのは、桜ばかりではない。他の植物にも影響が出ている。例えば、私の出身地、静岡のお茶だ。全国ニュースになっている浜松市の地すべり現場から二山ほど南に位置する山手でお茶農家をやっている従兄弟の話だと、温暖な静岡でも矢張り寒い日が多く、例年に比べ新芽の成長が悪いのだという。いつもの年の7割程度の収穫量しかないらしい。電話口から、「ストーブはまだ活躍しているし、収穫した茶葉を処理する工場ではまだ真冬の防寒着を着て作業している」と嘆き節が聞こえてくる。平地の金沢でさえこの異常な気温変化であることを考えると、従兄弟の所は山が深いだけに「さもありなん」である。「茶畑に設置されているファンが天敵の霜を何とか防いでいる」と従兄弟は自嘲的に言うものの、自然相手の仕事は、本当に厳しいものである。
自然相手と言えば、海にも異変が起きているらしい。先日釣り行った小さな漁港で聞いた話だが、海水温が冷たいまま暖かくならないため、太公望の釣果がイマイチだというのだ。能登半島沖では冬の魚の“ブリ”や“タラ”などは豊漁だったようだが、釣りシーズン到来だというのに、防波堤などから釣り糸を垂らす太公望にとっては、極めて魚影が薄いらしい。道理で、4日に息子達と行った能登島での釣りが、今一の釣果になった筈である。「腕ではないな?」とは思っていたのだが、案の定…。
しかし、これだけ気温の差が激しいと、体の調節機能が追いついていかない。私の周りでも、風邪を引いたりして体調を崩しているのが多い。それはそうだろう、前日との最高気温の温度差が20℃近くもあったかと思えば、激しい時にはたった1日の中で似たような温度差があるとなっては、体の調子が狂っても仕方がない。生身の体は、極端な場合、僅か半日ほどで3月上旬から5月下旬並の気温差に対応しなければいけないのだから、それは土台無理というものである。それでなくても、この歳になると体温調節機能が鈍くなっているのだから…。
真面目な話、この気温の変化の激しさ、大袈裟な言い方になるが、年寄りにとっては、これから危険性が高まる熱中症と同様に、大病への引き金となりかねない結構辛い試練となっているのである。勿論、小さな子供にとってもそうだ。幾ら三寒四温だと言っても、「程度がある!」というものである。
それにしても、地球温暖化が叫ばれ、海水温の上昇と共に南方系の猛毒タコが北上して注意情報が出たりしていて、地球は暖まる方向にあるとばかり思っていたのだが、この現象はどうしたことだろう。11年周期で活発になる(太陽の)黒点の活動が鈍いままだというから、その影響の可能性もあるのかも知れない。
こんなことを書いていたら、13日の月曜日には気温が急上昇して、北陸の富山市を始め、沖縄から東北南部までの“全国58地点”で30℃を超える真夏日となったという。中でも、大分市では32.9℃を記録したというから驚きだ。この暑さを受けての判断ではないが、我が石川県庁では、節電活動もあって、例年より早く13日からクールビズを始めたという。ところが、14日朝のニュースに依ると、金沢市では、16日になると気温はまたも激しい変化を見せ、最高気温は13日に比べ10℃近くも下がるという。どうにかしてほしいものである。
ただ、西日本では真夏日が観測されたものの、北海道や東北北部では寒気が居座り寒い日が続いていて、札幌では13日にやっと桜の開花宣言が出されたという。この寒気が南下したり北上したりして悪さをしているのだが、いい加減に南下を諦め、速やかに北に撤退してほしいものである。
【文責:知取気亭主人】
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リンゴ
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