2013年6月26日
数年前から、日本国中で「グリーンカーテン」が持て囃されるようになって来た。金沢でも“ご多分に漏れず”で、ホームセンターには特設コーナーさえ設けられるようになっている。家庭菜園用資材を買いに行って分かったのだが、特設コーナーには品切れの商品が結構あって、人気の高さが伺える。確かに、植える物によっては“エコ”と“収穫”の両方の実利が得られるから、体だけではなく財布にも優しいし、興味のある人には育てる楽しみも味わえる。そんな事を考えると、水遣りなど多少の煩わしさを差し引いても、最近の厳しい猛暑を乗り切るのには、手軽で金の掛からない優れた夏場対策といえる。
我が家でも、暑さ対策と収穫の二兎を追って、随分前から「グリーンカーテン」にチャレンジして来た。観賞するだけの花より食べられる物の魅力には勝てず、小学生がいる家で良く見かける“朝顔”にはご遠慮願って、実が生ってしかも比較的栽培の簡単なキュウリとゴーヤに活躍してもらっている。以前はプランタで栽培していたのだが、昨年から俄作りの花壇に替えたのが功を奏したのか、キュウリもゴーヤもそこそこの収穫量を楽しめるようになっている。今年も、今のところ順調に生育していて、既にキュウリは収穫が始まり、大好きな、夏定番の糠漬けを相伴できるようになっている。後は、盛夏の頃のゴーヤチャンプルを待つだけである。
その成功に味を占めた訳では無いが、今年初めて、会社でもカーテン作りに取り組んでいる。先々週、仲間と二人で四苦八苦の末に何とか棚を完成させ、我が家と同じく定番のキュウリとゴーヤの苗を、大型プランタ6個に植えた。午前中しか直射日光が当たらないため、生育にどうかと思ったが、“物は試し”とチャレンジしている。植えつけて直ぐにキュウリが“うどん粉病”に掛かり、やはり日照不足かとヒヤッとしたものの、相棒の献身的な世話でそれも乗り越え、ゴーヤ共々順調に生育している。苦難を乗り越えたキュウリは、その反動もあってか成長が目覚しく、25日の火曜日には初収穫を楽しませてもらった。尤も、たった1本だけであったが…。
ただ、楽しみは収穫ばかりではない。こちらの目論見通り大きく生育して、カーテンの役目を立派に果たしてくれるのも楽しみで、今から心待ちにしている。加えて、どれだけ温度抑制効果があるのか、その効果の程も楽しみの一つだ。期待通りの効果があれば、来年は“農地倍増”を、と目論んでいる。果たしてどんな結果になるか、猛暑の夏場に向けてこれからが楽しみである。
さて、そんなグリーンカーテンで大活躍のキュウリだが、我が家の庭で、妻が“変てこなキュウリ”を見つけた。「ねぇ、ねぇ、チョット来て!」の呼ぶ声に行ってみると、何とも不思議なキュウリがぶら下がっている。驚く無かれ、実から葉っぱが出ているのだ。しかも2本も! 生まれて初めて見る奇形だ。
見間違いかと思ったが、どう見ても実と葉っぱがくっ付いている。しかも、ヘタと葉っぱがくっ付いていて、そこから実が出ているわけではない。葉から実ではなく、確かに実の途中から葉が出ているのだ。苗を買ってきたときに、「実から葉っぱが出てくる新しい品種です」との説明書きも無かったから、“新品種”ではないことも明らかだ。尤も、そんなけったいな新品種など、在り得る筈もないのだが…。
冗談はさて置いて、この“変てこキュウリ”、突然変異のなせる業であることは疑いの余地はない。ただ、何の影響でこんな変態になったのか、見当がつかない。一番可能性の高そうなのは農薬だが、我が家では使っていないから、その影響でない事は確かだ。となると、キュウリが掛かり易い、得体の知れない病気なのかもしれない。そう考えると、何だか気持ちが悪い。そこで、早速ネットで調べてみた。すると、驚いたことに、キュウリのこういった突然変異は結構あるらしい。
農林水産省のホームページ(
http://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/0706/07.html )には、「キュウリの実から、たまに葉が出ることがあるが、病気ではない。@花の子房に相当する実から葉が出る場合と、A子房は完全でも花弁の下にある「がく」が葉に変化する場合、の二通りがあるが、いずれも花弁が何らかの異常を起こしたものと思われる」と説明されている(子房:めしべの下端の膨らんだ袋状の部分で、受精すると発達して果実になる)。また、インターネットには、この“変てこキュウリ”についての投稿が結構あって、中には「新聞に取り上げられた」とのニュースもある。こうしてみると、農林水産省の「たまに…」の表現が、あながち間違いでないことが良く分かる。ただ、「花弁が何らかの異常を起こした…」と説明されているだけだから、それ以上の原因は不明のままだ。一体全体、何が原因で異常をきたすのだろうか。素人には見当もつかないが、奇形である以上、健康な実ではないのではないか、と勘ぐってしまう。
コレを書きながら、そういえば葉っぱの出ている部分の実の中はどうなっているのだろう、とフト疑問が湧いてきた。お庭番の妻に聞くと、案の定、「時既に遅し」であった。普通のキュウリとともに、奇形の2本は収穫されて直ぐに糠漬けにされ、家族の胃にしっかり納まってしまっていた。健康な実であるかどうかを確認する意味でも、食べる前に視ておけばよかった、と悔やまれる。斯くなる上は、再登場を待つしかなさそうだ。出でよ、突然変異!
【文責:知取気亭主人】
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