2013年7月3日
毎年、今頃の季節になると、会社の定期健康診断が行われる。何時ものことで特に気にする必要も無いのだが、前回の健康診断で「要二次検査」が出ているのに二次検査を受けていなかったり、検査の数値が悪かったのに医者に掛かっていなかったり、あるいは体調が優れないでいたりすると、「悪化してはいないか?」とか、「もしかして重い病が見つかるのではないか?」などと、心配しながら受けることになる。加えて、私の様に還暦を過ぎると、アチラコチラ言うところが結構顔を出し始め、内心穏やかでないことが増えてくる。特に、長い間ストレスと暴飲暴食に晒されてきた胃腸を始めとする内臓の状態は、これまで何の異常も見つかっていない事から多少の自信はあるものの、最近増えてきた友達や知り合いの病気療養の情報を聞くにつけ、身につまされてしまう。また、内臓ほど深刻に考えていないが、メタボ診断が導入されてからというもの、体重や腹回りの増減も気になるところである。
健康診断予定期間の最終日となる先週の金曜日(6月28日)、私なりの涙ぐましい減量努力をひと月ほど続け、やや自信を取り戻した状態で健康診断を受けてきた。血圧測定、採血、身長と体重の測定へと進み、前半戦最大の難関、腹回り測定(お臍のチョッと下辺り)をすることになった。近くにあった「男性85cm、女性90cm」のチラシを横目で睨みながら測定してもらうと、90cmだという。メタボ診断が導入された年は85.5cmだったから、4.5cmも成長したことになる。この歳になっても成長できるとは、素晴らしい! と冗談でも喜んではおられない。成長が待ち遠しい孫と違い、決して望まぬ成長なのだ。これも、因果応報であることは分かってはいるのだが…。
第一の関門でものの見事に躓いた後、胸のレントゲン撮影、心電図、聴力、視力検査と順調に済ませ、残るは胃のレントゲン検査のみとなった。が、これが二つ目の鬼門、“最後の難関”だ。胃の健康状態にはそれなりに自信もあるのだが、検査の時飲むあのバリウムが私にとって難敵なのだ。随分前に尾骨を痛めてから便秘気味になり、バリウムを飲むと、排便がスムーズにいかなくなってしまった。そんなこともあって、10年ほど前からは胃カメラを飲むことしていた。ところが、今年は胃カメラの予約が年内一杯で、レントゲン検査でやるしかないのだという。後から考えれば病院を変えれば良かったのだが、その時はそんな考えも及ばず、諦めてバリウムを飲むことにした。
検査が終わると、貰った下剤を直ぐに飲んだ。11時頃会社に戻り、持参した2リットルの水やお茶を昼食と共に飲むが、未だ兆候は無い。その後も水分を大量に(多分夕方までに4リットル近く)飲み、速やかな排便を促したのだが、中々結果が伴わない。腸は動いているらしいのだが、便座に座ると、出るのはガスばかりである。
家に帰り夕食を食べ終わると、大量の水分を摂っていることもあって、膨満感もピークに達してきた。それでも出ない。検査の時貰った「胃エックス線検査を受診された方へ」というパンフレットを何気なく見ると、「バリウム便が排出されないまま放置した場合には、消化管に孔が開いたり、詰まったりするおそれがあります」と書かれた、太字の警告文が目に飛び込んできた。
消化管に孔が開く? 以前インターネットのニュースで読んだ時の驚きが蘇ってくるとともに、益々焦って来た。パンフレットに書かれている「――便意を感じなくても、定期的にトイレに行くように心がけてください」の注意書きを素直に守り、座りに行くのだが、中々努力に応えてくれない。夜も10時近くになり、焦りは増すばかりだ。以前1週間近く便秘に悩まされた時の苦痛が蘇り、妻に頼んで置き薬の便秘薬を出して貰った。追加の薬を飲まずに何とか、と思ったのだが諦めた。結局その日は不発のまま床に入ることにし、便秘薬を3錠飲み(成人は2〜3錠と書かれている)、就寝中の薬効に期待することにしたのだ。用法、用量は真面目に守った筈だったのだが…。
次の朝、朝食を食べると、早速便意を催してきた。「やったぁ!」と出た喜びに素直に浸っていたのだが、予想以上の効果に一日振り回されることになるとは、その時は知る由もなかった。追加で飲んだ便秘薬が効いたのか、病院で出された薬と追加で飲んだ薬が相乗効果を上げたのか、どちらの効能か良く分からないが、とても良く効いたのだ。と言うよりは、明らかに効きすぎた!
朝からトイレの距離がグンと近くなり、10時頃からは明らかな水便になって来た。この辺りからは皆さんの想像力に任せるが、何時もだったら歩いて行く病院へも、妻の進言を受け入れ車で行く事にした。「緊急事態など発生する筈もないのに!」と思っていたのだが、帰るなりトイレに駆け込んだ事を思うと、タイミング的には大正解だった。歩いている途中で催したら、と思うと冷や汗が出て来る。
また夕方になり、「少し落ち着いた」と判断して、入院している母のところへ見舞いに行くつもりで家を出た。ところが、家を出て直ぐに腹の警報が鳴り始め、町内をぐるっと回っただけで、急遽引き返してきた。これも飛び込みセーフで何とか事なきを得たが、間一髪、危ないところであった。
結局29日の土曜日は、こんなことを繰り返すトイレ三昧の一日となり、金曜日の苦しみの真逆の苦しみを味わうことになってしまった。そして、下痢の後の反動か、今また便秘になっている。健康のために健康診断をやっているのに、これではまるで不健康診断だ。来年は、絶対胃カメラにするぞ!
【文責:知取気亭主人】
|
ドクダミ茶は体に良いと言われている
|
|