2013年7月10日
一時ほどではないが、テレビでは今でもクイズ番組が花盛りだ。中にはクイズ番組で初めて知った芸能人や知識人もいて、そういった関係の情報に疎い私にとって、家族との共通情報を得るのに一役買う番組となっている。そんな他愛も無い理由は兎も角として、小さな子供が喜びそうな遊び要素の多い番組は別だが、脳の老化防止に役立ちそうな番組は、脳トレを兼ねて時々楽しませてもらっている。
中でも漢字に関するクイズ番組は、好んで見るようにしている。手書きを殆どしなくなったせいで、昔習った筈の読み書きを思い出すのにひと苦労していて、脳細胞の劣化に危機感を抱いているからだ。本当、冗談ではなく、一旦思い出せなくなってしまうと、思い出すまでに結構時間が掛かってしまい、下手をすると数時間後、というのもよく経験する。そこにいくとクイズ番組は、放映時間が決められているため、与えられた時間以内に回答をしなければならず、コレが結構錆付いた頭の訓練になる。尤も、多くの場合、益々自信をなくす事にはなるのだが…。
そんなクイズ番組の出演者の中には、漢字能力検定(以降、漢検)1級とか準1級の合格者もいて、その豊富な知識に驚かされることが多い。私にはとても読めない超難読漢字を、いとも簡単に正解してしまう。数年前に逮捕者まで出し話題となった公益財団法人「日本漢字能力検定協会」が主催するこの漢検、1級に合格するには、常用漢字約2000字に約4000字を加え、都合約6000字もの漢字の読み書きに慣れ、その上文章の中で適切に使えるレベルが必要だという。勿論、クイズ番組で難問として時々出題される、初めてお目に掛かるような当て字も出題範囲らしい。
それにしても、6000字とは物凄い数だ。私など、多分1000字も書ければ良い方だ。漢字が得意な人でも、かなり勉強しないと合格は難しい。そんな物凄い数を物ともせず、何と、何と、英語を母国語とする米国人(ブレット・メイヤーさん)がその漢検1級に合格した、というからビックリだ。驚くのはそればかりではない。そのメイヤーさん、浜松市のラジオ番組や公民館などで漢字の成り立ちや意味を教えている、というから凄い。リスナーや生徒は多分日本人が多いと思われるが、幼いころから漢字の読み書きを身に付けてきた日本人が日本語を母国語としない米国人に漢字を教わるとは、恥ずかしいような何とも不思議なものである。最近外国語を乱用しているとNHKが訴えられたように、ともすれば何でも横文字を多用する文章が増えてきている中、漢字に対する彼の熱い思いに、漢字文化の素晴らしさを改めて教えられたような気がする。ただ、メイヤーさんにも、我々日本人が持っている“横文字への憧れ”と同じように、異文化に対する憧れが根底にあるのかもしれない。
そういった思い入れは兎も角として、メイヤーさんに負けてはいられない。1級合格は無理としても、少なくとも身近な出版物や資料はスラスラと読むことが出来、その意味を理解したいものである。加えて書くことが出来れば最高だ。しかし、現実を素直に認めることも重要だろう。ということで、書く能力復活は端から諦める事にして、せめて読むことだけは復活させたいと思っている。ただ、思いはそうなのだが、以前そこそこあった自信はどこに行ったのやら、最近はからっきしダメになってきた。尤も、元々浅学だったこともあるのだが…。
先日も、理科年表を見ていて、読めない、意味が分からない“難字”に遭遇して、往生してしまった。広辞苑やインターネットの漢字のサイトでも解読不能な字が結構あって、仲間と二人して、「あーでもない、こーでもない」と言いながら頭を抱えてしまったのだ。古い時代の表現や言い回しのためでもあるが、次々と読めない漢字が出てくると、なんとも情けない気分になってしまう。また、読めても意味の解釈に自信が持てないものもあって、実に何十年振りかで、真剣に辞書と首っ引きになった。
その後、広辞苑に加え、電子辞書に入っていた「スーパー大辞林」と「漢字源」、インターネットも動員して調べ、やっと正解に辿り着いたのが次の漢字だ。さて皆さん、次の13問の「読み」と「その意味」が分かるだろうか?
①墻屋、 |
②墻垣、 |
③傾頽、 |
④瑞離、 |
⑤輯報、 |
⑥柞灰、 |
⑦閏、 |
⑧鈕、 |
⑨糺、 |
⑩正倉、 |
⑪築地、 |
⑫矢来、 |
⑬頽れる |
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I〜Kは、今でも時々目にする単語で、読みは簡単だがその意味は如何だろう? これまで深く考えないで使っていたが、意味を知ると「成る程!」とすんなりと腑に落ちてくれる。メイヤーさんではないが、知る楽しみをチョッピリ味わった気がする。
正解を次表にまとめておくが、ご自身でも調べることをお勧めする。そうすれば、記憶に残りやすくなって、1級合格もグンと近くなるに違いない。と書いてはみたものの、そんなに簡単ではないか!
漢字 |
読み |
意味 |
墻屋 |
しょうおく |
壁と屋根、垣根と家屋 |
墻垣 |
しょうえん |
周囲をとりまいたへい |
傾頽 |
けいたい |
建物や組織・国家などが傾いて崩れる |
瑞離 |
みずがき |
神社の周囲の垣(垣:かこい) |
輯報 |
しゅうほう |
集めて編集した報告書。集報に同じ |
柞灰 |
いすばい |
いすの木の樹皮を焼いてつくった灰。磁器のうわぐすりの融剤。 |
閏 |
うるう |
季節と暦月とを調節するため、平年より余分にもうけた暦日・暦月 |
鈕 |
ちゅう |
ひも、むすびめ。印または鏡などのつまみ |
糺 |
ただす |
理非を明らかにする。詮議する。糾す、正す、質すに同じ |
正倉 |
しょうそう |
律令時代の中央・地方の諸官庁または寺院などの倉庫の内主要なもの。 |
築地 |
つきじ |
沼や海などを埋めて築いた土地 |
矢来 |
やらい |
竹や丸太を縦横に粗く組んで作った仮の囲い。 |
頽れる |
くずおれる |
崩れおちる |
【文責:知取気亭主人】
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蒟蒻(お菓子の包装に印刷されていなければ読めそうにない)
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