2013年9月4日
先月の28日、総務省が、今年の3月末時点における日本の人口を発表した。住民基本台帳に基づく人口動態調査によるものだ。それによると、日本全国の日本人の人口は、昨年同期よりも約26万6千人減少して、1億2639万人余りとなったという。これで、“出生数”が“死亡者数”を下回る「自然減」が、6年連続で拡大したことになるらしい。
そして、その人口構成をみてみると、「自然減」の影響がハッキリと表れている。私ももうすぐ仲間入りする65歳以上の人口は、大分前から徐々に増え続け、初めて3千万人を突破した。結果、人口の約4分の1を占める様になり、確実に構成率を高めている。一方、14歳以下(大凡中学生以下)の日本の将来を担う子供達は、逆に減少が顕著で、過去最少の1660万人だったという。数にして65歳以上の人口の約半分、全体の僅か8分の1に過ぎなくなっていて、一向に“少子高齢化”に歯止めがかからない状況だ。
そんな人口構成も手伝ってか、減る一方の人口を尻目に、今年なって急に増えている統計データがある。熱中症に罹って搬送された人数だ。
総務省消防庁に依れば、今年5月末から8月25日までに熱中症で病院に搬送された人は、全国で5万3739人に上り、昨年の同じ時期より36%も増えて、現在の方法で統計を取り始めた平成22年以降最悪のペースとなっているという。しかも、予想通り、65歳以上の高齢者が、2万5726人と凡そ半数を占めている。ただ、体力のない乳幼児や新生児、これに18歳未満の少年を加えた若年層も、13%と比較的多いという。若年層は、それでなくても減少しているのに、熱中症にも罹り易いとなると心配だ。大切な子供達だ。周囲の大人は、しっかりと目配り・気配りをお願いしたい。
熱中症が急激に増えた原因としては、基本的には今年の異常な暑さにあることは間違いない。ただ、年齢構成で高齢者が圧倒的に多いという事は、人口も多い、という事の裏返しなのだろう。また、高齢者と共に若年者にも多いという事は、体力の無さや、暑さに対する感覚の衰えや表現の未発達なども、発症を増加させる大きな要因になっているのではないだろうか。加えて、生活の場でのクーラーの未使用など、暑さ対策が不十分だと、体力のない乳幼児や高齢者の発症リスクは格段に高くなる。
また、NHKに依れば、同じ期間に熱中症や熱中症とみられる症状で亡くなった人は、全国で少なくとも338人に上り、その内60歳以上の人が263人を占めているという。全体の78%にもなる。前述した要因に加え、一人暮らしの高齢者が多いことも原因の一つだろうが、8割近くにもなるこの比率は、矢張り凄い。ただ、60歳以上の高齢者に比べ体力がある筈の30代から50代も50人亡くなっている、というから驚きだ。体力を過信していたからだろうか。それとも、暑さを顧みず過激な運動をしたからだろうか。そう言えば、私も熱中症の初期症状を体験してしまった。
7月の末、恒例になっている駐車場の草刈りをした。天気予報では、気温は30度を1、2度超えるものの、午前中は曇りとなっていた。大分伸びてきた雑草と睨めっこをしながら決行日を探っていた矢先だったので、予報が曇りと出ている今日しかない、と決行した。
蚊が出る時間帯を避けて、朝の8時過ぎから刈り始めた。借りているのは駐車場の3分の1、面積にして多分20坪程しかないのだが、手鎌で刈り取る作業は、意外とはかどらない。腰を落としてやる姿勢そのものもきついのだが、3分の1とは言え、やってみると結構広い。結局、13時過ぎまで掛かってしまった。その間、熱中症対策として、ペットボトルの水をこまめに飲みながら作業しており、注意をしていたつもりだったのだが…。
12時半頃になって、太ももの裏に違和感を覚えるようになった。姿勢によって、攣りそうになるのだ。その時は、「何かおかしいな?」と思いながらも、終わりが直ぐそこに見えていたため、最後まで続行してしまった。ところが、やれやれ終わった、と立ち上がり腰を伸ばしたところで、軽く攣ってしまった。その時になり、「アッ、これが熱中症の初期症状か?」と確信した訳だが、汗を掻き過ぎて、電解質(ミネラル)が不足してしまったらしい。5時間ほどの間、全く塩分を摂らなかったことが原因とみえる。
今となってみれば、「これ位!」と年寄りの冷や水よろしく頑張り過ぎたのが仇となった格好だ。でも、この程度で済んで良かった、と今は胸を撫で下ろしている。しかし、体力にはそこそこ自信はあった筈なのだが…。
ところで、最悪の場合人を死に至らしめるこの熱中症、思わぬところで利用されていることを知った。畑を荒らすイノシシ退治に利用している、というのだ。
山間にある従兄弟の集落は、ここ数年来、イノシシ被害に頭を悩ませていて、あの手この手で駆除をしているという。先日も、同時に4匹が檻に掛かったらしい。別々の檻に、大人2匹と子供が2匹。子供は暴れてもさして危なくない為、直ぐに処理したらしいのだが、大人は暴れると危険なため、檻に入れたままにして処理方法を思案したという。そこでハタと思い付いたのが熱中症だ。檻に入れたまま炎天下に放置すると、案の定こと切れていたという。どれ位放置したのか聞き忘れたが、温暖化とともに勢力を広げていると思われる、野生のイノシシでさえこの有様だ。どんなに凄い馬力・体力を持っていても熱中症には弱いらしい。
そんな話を聞いて、人間なら尚更、例え体力に自信があっても熱中症にはくれぐれも注意が必要、と改めて反省することしきりだ。その昔大きな動物に例えられた私でも、矢張り「無理は禁物」という事らしい…。
【文責:知取気亭主人】
|
余りの暑さにビックリしたか、今頃咲いたブラシノキ
|
|