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知取気亭主人の四方山話
 

『待たれる日本人横綱』

 

2013年11月27日

一年納めの場所、九州場所が幕を閉じた。13勝1敗同士の対戦を日馬富士が制し、今場所もまた外国人力士の優勝に終わってしまった。横綱同士の千秋楽決戦で大いに盛り上がった場所ではあったが、子供の頃からの大相撲ファンとしては、終盤の優勝戦線に日本人力士の名前が一人も無いのが、何とも寂しい限りである。

調べてみると、日本人力士が最後に優勝したのは、平成18年1月場所の栃東まで遡らなければならない。驚くなかれ、7年間も日本人の優勝者がいないのだ。横綱に至っては、65代の貴乃花が平成15年1月に引退して以来、「一昔」と言われる10年を既に越え、11年間も日本人横綱がいないという寂しさだ。また、外国人力士として初めて曙が64代横綱になって以降、次の65代が貴乃花、66代が三代目若乃花と2代日本人が続いたものの、その次の67代が武蔵丸、68代が朝青龍、69代が白鵬、一番新しい70代が日馬富士と、その後はずっと外国人横綱が続き、都合7人の横綱が誕生しているのだが、数えてみると日本人横綱は僅か2人しかいない。

別に、外国人横綱や力士が嫌いなわけではない。それどころか、引退した高見山や武蔵丸、そして今の白鵬などはファンの一人でもある。また、最高位を手にするために、言葉や生活習慣の違い、更には厳しい稽古を乗り越えるために払った日本人力士の何倍もの努力に対しては、尊敬の念さえ抱いている。しかし、「大相撲は日本の国技」として考えると、横綱にも、優勝戦線にも、日本人力士の名前が一つもない、となると話は別だ。どうしても、日本人力士の活躍を期待してしまう。そして、期待すればするほど、日本人力士の不甲斐なさが眼についてしまう。

私が子供の頃、丁度テレビ放送が始まった頃と重なるのだが、その頃の大相撲は、「栃若時代」と呼ばれ、大変人気があった。今の様にサッカーのプロチームがある訳でもなく、当時の人気プロスポーツと言えば、村山や長嶋人気で盛り上がったプロ野球、力道山が炸裂させる空手チョップが人気をさらったプロレス、そして栃錦と若乃花が人気を二分した大相撲、この三つしかなかった。そして、大人も子供もこれらに夢中になっていた。ある意味、大相撲にとって古き良き時代だった、と言って良い。

人気があったのはこの三つではあるが、プロ野球もプロレスも外国(二つともアメリカ?)から来たものだ。したがって、早くから外国人選手が活躍していたし、彼らが日本人選手以上に活躍しても、さして違和感は持たなかった。しかし、大相撲は日本発祥のプロスポーツで、今のあの裸に近い“まわし姿”や“独特な所作”で行われる相撲は、(多分)世界を見渡しても日本にしかない。「地方によっては神事として奉納する相撲もある」と聞くから、「大相撲は日本の文化」と言っても良い位だ。その日本文化の担い手の最高位に、ここ暫く、日本人力士が見当たらないのだから寂しいのは当然の話だ。

これまで、横綱を期待された有望力士は沢山いた。しかし、大関にまでは何とか行くのだが、横綱に手が届きそうな後一寸のところで、多くの日本人力士が跳ね返されてきた。今は、モンゴル出身の両横綱が大きな壁となっている。今場所、その両横綱に土を付けたのが大関稀勢の里だ。これまで幾度となく期待は裏切られてきたが、今度こそ、本当に今度こそ、来年早々に行われる1月場所に優勝して、是非71代の横綱になってほしいものである。それを、多くの相撲ファンが待ち望んでいる。

もう一人、期待の新人力士がいる。石川県出身の遠藤だ。久し振りに、郷土力士がスポーツニュースに取り上げられるようになり、地元では大いに盛り上がっている。そして、そのスピード出世に、地元ファンならずとも、日本人横綱の誕生を待ちわびている多くの相撲ファンの期待も高まっている。入幕二場所目で横綱を期待するとは少し気が早過ぎるきらいはあるのだが、それだけ、日本人力士の中堅どころに目を見張る期待力士がいない、という事なのかもしれない。いずれにしても、来場所以降の活躍を大いに期待したい。しかし、未だ髷も結えない若手に期待しなければいけないとは、少々寂しい気がするのだが…。

ところで、髷が結えないと言えば、我が家にも期待の新人が相撲デビューした。デビューと同時に横綱、という何とも図々しい新人ではあるが、愛嬌だけは誰にも負けていない。“押し相撲”よりも“四つ相撲”が得意で、中でも相手の腕と胸に体を預けてしまう“甘え技”が大得意だ。時々、“泣き相撲”という禁じ手を使うこともあるが、今のところ勝負は全勝で、驚異の勝率を誇っている。そういう意味では、横綱に相応しいのかもしれない。それでは、我が家の初代横綱の勇士をご覧あれ!

【文責:知取気亭主人】

  
我が家の初代横綱

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