2014年2月19日
まずは、次の2枚の写真をご覧になって頂こう。
上の写真は、2月15日(土曜日)の金沢市内の様子だ。私が住む団地での雪の様子を写したものだが、屋根や日陰に多少残ってはいるものの、道路には全く無いのが分かって頂けると思う。15日と言えば、前日から関東甲信越と東北の太平洋側で記録的な大雪が降り続き、交通機関に大打撃を与え始めていた日だ。翌16日のニュースに依れば、大雪による影響は、立往生した車で大混乱した道路だけに留まらず、電車も空の便も運休が相次いでいた。多数の死傷者も出ていて、地域によっては、19日になっても未だに孤立している集落もある。未曾有の被害だ。
しかし、一体どうしたことだろう。毎年雪に見舞われる北陸金沢で積雪ゼロだというのに、滅多に雪が積もらない関東甲信越で車が埋まるほどの大雪となっている。特に、雪が積もる事は滅多に無いだろうと思っていた甲府市で何と1mを超えた、というからビックリしてしまった。金沢でも1mを超える事は滅多にないし、平成に入ってからは記憶にない。ましてや、甲府市で1mを超えたとなれば、観測史上最深の積雪量だというのも頷ける。雪に慣れない地元では、さぞ大変な事だと思う。そこで、今回の大雪がどれほどひどいのか、甲府気象台のデータを調べてみた。それをグラフ化したのが次の図だ。
甲府地方気象台の気象統計情報より作成
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図は、1894年の観測開始から今年の2月15日までの、甲府気象台における、各年の最深積雪値(棒グラフ、左側の目盛)と雪日数(折線グラフ、右側の目盛)を描いたものだ。これを見ると、今回の積雪量が如何に突出しているかが分かる。確かに観測史上最深だ。
パッと見、例年の平均的な最深積雪値を15cm程度だと見立てると、2月15日に記録した114cmは、何と8倍近くにもなる。驚きの降り様だ。この激しさでは、例年の除雪対応程度では追いつかないのは明らかであり、北陸と同じ様に湿った重たい雪であることも手伝って、雪の重みで屋根が落ちたりアーケードが壊れたりする筈である。しかも例年雪に悩まされる雪国ならいざ知らず、慣れない太平洋側の甲府市では、経験した事の無いこの大雪に、住民も行政もさぞや困り果てたことだろう。雪国かと見紛うニュース映像を観ていると、慣れない手つきと道具で奮闘する市民の姿が痛々しい。そんなに奮闘しているのに、除雪は一向に追い付かない。とにかく、これほどの雪は経験がないのだ。
図から読み取れる甲府市の大雪と呼べる経験値は、せいぜい40〜50pが良いところだ。それでさえ、過去120年間で今年を除けば5回しかない。20pを超える年でさえ、数える事が出来るほど稀だ。そんなことからも、慣れない除雪に苦労している事が伺える。甲府市以外でも、大雪に見舞われた地方では、食料や日用品、或いは燃料等の入荷も滞っているというが、一日も早く元の日常に戻ってほしいものである。
ところで、この図を作成して、今年の大雪以外にも驚いたことがある。それは、「雪は降っても殆ど積もらない」と思っていた甲府市で、毎年の様に積雪を記録している事、そして雪日が平均すると毎年10日程もある、という事である。これは、暖冬の時の金沢と然程変わらない。
静岡県の山手で18歳まで過ごした私の雪体験は、地面に落ちて直ぐに消えても降雪に喜んだ雪日がトータルで4、5日、積雪を経験したのは高校の時僅か1日だけである。この体験から、「お隣の山梨県、しかも盆地に位置する甲府市ともなれば故郷と似たようなものだろう」と思い込んでいた。必然的に、毎年の積雪はなおのこと、雪日が年に10日もあるとは夢にも思わなかったのだ。
確かに、2月の中頃から3月の初めに掛けて、関東地方でも南岸低気圧の影響で雪が降ることは良くあるが、これほど頻繁に降っているとは思わなかった。また、雪国以外でこれ程激しい大雪に見舞われた記憶はない。金沢で40年以上生活している私でさえ、大雪には辟易とさせられるのだから、慣れない地方の人にとって、この大雪は大変な苦労だと思う。まだ暫くこの困難な状況が続きそうだが、落雪などで怪我をしないよう、十分注意して頂きたい。
春は直ぐそこに来ている。頑張って!
【文責:知取気亭主人】
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