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知取気亭主人の四方山話
 

『アザミ』

 

2014年5月7日

今、北陸では山菜の季節到来だ。私が住んでいる金沢は、山が近いこともあって、車をチョッと走らせれば色々な山菜に出会うことが出来る。山菜採りが大好きな私としては、何とも嬉しい環境だ。その上、我が家は、山麓の団地だという事もあって、歩いて行ける所でもウドやゼンマイなどを見つけることが出来る。先日も、5分ほど歩いたところでウドを採って来た。息子夫婦の家の裏の荒れ地にあるのを昨年見つけておいたものだ。

山菜採りは、新緑の野山に出かけることもあって、春の芽吹きという季節感を五感全てで味わう事が出来る、私にとって貴重なリフレッシュタイムの一つとなっている。体に刻み込まれている遥か昔のDNAがそうさせるのか、多少でも収穫があると、何となく気分も高揚してくるから不思議だ。採取後の処理に加え、食べることもそうだ。特にウドは、フキノトウと共に、あの“独特な臭い”と“ほろ苦さ”が春の到来を告げている様で、好物の一つとなっている。

山菜ばかりではない。山菜と相性の良いお供も大好きで、山菜料理を見るともう堪らない。ウド初収穫のその晩は、新芽と若葉は天ぷらに、白い茎の所は酢味噌和えに、そして他の茎はきんぴらに大変身して、“日本酒で一杯”と相成った訳である。イヤー、美味かった!

繰り返しになるが、山菜は今が旬である。山菜がマーケットの店頭に並ぶようになると、我が家でも、頂き物を中心に食卓に上るようになる。今年も、4月の半ば辺りから山菜料理が食卓に上るようになって来た。連休の後半になると、頂き物が一気に増え、食卓は俄然賑やかになった。息子が頂いて来たワラビにタケノコ、それに娘が土産に持ってきてくれたウドとコゴミとタラの芽を加え、4日のみどりの日は、家族全員大満足の山菜料理オンパレードだ。子供の日には、買い求めたネマガリダケを加え、久し振りに山菜おこわに舌鼓を打つこともできた。旬の食材は、本当に美味しい。

これだけ食卓に上ると、子供達が小さな頃しょっちゅう出掛けていたことも蘇り、もう堪らない。連休に入る前から、「連休の一日は山菜取りに行く」と決めてはいたのだが、気持ちはもう既に現場である。逸る気持ちを抑え、天気予報と睨めっこしながら、何とか連休最終日に行ってきた。その収穫の一部が、下の写真だ。

 

写真の名前だけを上げると、やや右に傾いてはいるが、12時の方向から時計回りに、ネマガリダケ、アザミ、ヨモギ、ワラビ、ウドである。今回の山菜取りの主な目的は、私がネマガリダケ、家内はアザミだ。これまでも二人して毎年のように出掛けてはいるのだが、思ったほど収穫量は上がってない。ところが、今年は違う。
 山菜採りの競争相手には沢山出会うのだが、アザミに関しては、採っている人がほとんどいないこともあってか、たった1時間半ほどで大きなゴミ袋一杯になった。近年希にみる大収穫だ。ネマガリダケもそこそこ収穫できた。他にも立派なフキやカタハもあったが、アザミとネマガリダケに心を奪われて、それどころではない。特に、現地で出会った山菜採りの多くがネマガリダケを採っていたこともあり、遅れて参上の我々は必至である。しかも、軽装な我々は、本格的な装備の皆さんと違い、道路から5mほどしか山に入らないのだから、収穫量は自ずと限度があるというものだ。それでも、目的のネマガリダケもアザミも、何回か食卓に登場させられるだけの収穫があったのだから、大満足である。きっと、今年は採りに来たタイミングも良かったのに違いない。それにしても、こんな近場で山菜採りを満喫できるとは、ありがたい事である。

ところで、皆さんはアザミが山菜として食されている事をご存じだっただろか。店頭に並んでいるのを見かけた事が無いから、山菜好きでない限り、アザミが山菜の一つであることを知らない人が多いのではないだろうか。手元にある山菜・薬草の本には、「日本には約60種類ものアザミが分布していて、比較的安心して食べられる山菜の一つである」と書かれている。どうやら山菜の代表選手らしい。また、調理に関しては「葉が展開する前の若芽は天ぷらやサラダとしても美味い」と書かれていて、食材としては、 “葉”を使うのが一般的らしい。しかし、我が家の食べ方はチョッと違う。
 家内が近所の人から30年ほど前に教えてもらった食べ方は、“葉”ではなく“茎”を主な食材とするものだ。灰汁出しをした後、鰹節と醤油で味付けした煮付けは、家内を虜にしてしまったらしい。ほんのり苦味と渋みのある味は、“しゃきしゃき”とした食感と相まって、家内の中では“取って置きの春の味”になっているのだろう。今頃の季節になると、決まって、「アザミを採りに行こう」と言う。毎年の様に出かけてはいたのだが、イマイチ満足できる収穫は無かった。それが、これまでの鬱憤を吹き飛ばすかのような大収穫である。
 勿論、家内は大満足。私も、久しぶりに、アザミ料理で一杯、を堪能できそうである。

【文責:知取気亭主人】

  
アザミ ヨモギ

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