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知取気亭主人の四方山話
 

『俺って変?それとも…』

 

2014年5月21日

いよいよ、消費税率を10パーセントに上げる議論が本格化してきた。自民党と公明党の両党が与党税制協議会を開き、来年10月に予定されている10パーセントへの引き上げの際、どの品目を軽減税率の対象にするかの検討をした、とニュースで報じられている。「主に食料品を中心に軽減税率を適用しよう」と検討しているらしいのだが、ひねくれ者の私としては、細かな中身は兎も角、そのニュースを報道した民放テレビ局の報道姿勢がどうも気に入らないでいる。いじわる爺さんのアンテナに、ビビッと響いたのだ。

「米、味噌、醤油の他に日本酒も入れろ」などと、対象品目の個人的希望を強要しているのではない。また、「軽減税率を現状の8パーセントに据え置くのではなく、元の5パーセントまで下げるべきではないか」と税率の数値そのものに異議を唱えているのでもない。そういった対象品目や税率については、報道各社に決定権があるものではないから、事実だけを述べていれば、報道としての立場をとやかく言うつもりはない。また、「○○を▲位の税率にしたら税収は△△△億円位になる」などの予想税収も、自社の試算を比較報道すればもっと良かったと感じてはいるが、政府の試算を紹介するだけでも大きな異論はない。

しかし、あたかも「既に10パーセントの消費税率が導入されていて、消費者対策の一つとして新たに軽減税率導入を検討している」と視聴者が錯覚してしまう様な表現は、報道する側として如何なものかと思う。今回の報道を聞いていると――2局しか観ていないのだが――、報道する立場としては本来中立であるべきなのに、「政府側の御用局になってしまっているのではないか」と疑ってしまいたくなる。些細なことなのだが、そのニュースに関するテレビ局各社の報道内容、具体的に言えばその表現が気に入らないのだ。日頃から、すっかり芸能人化してしまった女子アナの言動が鼻についたり、報道番組の軽さに苦虫を噛みつぶしていたりするだけに、「やっぱり日本のテレビ局ってその程度?」と思えてしまう。

全品目を一律10パーセントに引き上げた場合に比べ、一品目でも軽減税率を適用すれば、税収は確かに減る。そして、食料品全品目を対象にした場合、軽減税率1パーセントあたり6,600億円も減るというから、生半可な金額でないことも確かだ。しかし、それはあくまでも“一律10パーセント課税するのに比べ税収が減る”のであって、ここがこだわっているところだが、“税収不足”になる訳では無い。

ところが、ある民放のニュース番組を観ていたところ、「○○に軽減税率▲パーセントを適用すると、△△△億円税収不足になる」と表現している。「おかしな表現だな」と思い、他の民放に切り替えてみた。ところが、切り替えた先も同じ表現をしている。どちらも「税収不足」を使って説明しているのだ。

まだ消費税率は8パーセントのままで10パーセントになっていない訳だから、「税収が“不足”する」と言うのではなく、本来、「軽減税率を導入しない場合に比べ税収が“減る”」と表現すべきである。良く考えれば分かる事だが、 “税収不足”という表現は、決まっている、或いは必要な税収額に届かない事を意味している。しかし、例え一律10パーセントの税率を課したとしても、経済活動の浮沈によって税収は大きく変わるのだから、想定額はあったとしても、税収額が決まっている訳では無い。仮に「必要額は動かせない」と言うのであれば、前から言われ続けている行政改革とのセットで報道すべきである。

どちらも似たようなものだと思われるかもしれないが、「税収不足になる」と聞かされれば、「自分たちの社会保障のためなら、不足しないように軽減税率の導入は我慢しようか」と考える人も、恐らく出てくる。また、「10パーセントはやはり必要なんだ」との思いが、知らず知らずのうちに芽生えてくる可能性もある。そこを狙っての報道ではないか、と訝ってしまうのだ。ましてや、国会議員の削減や行政改革など、無駄の削減も同時に実行しなければいけないという認識を与野党とも持っていた筈であり、我々国民もそうしてくれるものと思っている。となると、その状況がどうなっているかも放映してこそ、テレビ局として、また報道に携わる者としての良識ではないかと思うのだが…。

そんなことで苦虫を噛みつぶしていたら、もっと苦い虫を噛んでしまった。人気デュオのメンバー、ASKA容疑者の逮捕騒動だ。逮捕の当日、そんな事件があったとは露知らず、夜のニュースを観ようとテレビの電源を入れた。タイミング良く、丁度民放でニュース番組が始まったところだった。ところが、観始めて驚いた。大半の時間を“ASKA容疑者逮捕”のニュースに費やしているのだ。政治・経済も世界情勢も、他の事件・事故も、どこかに飛んでしまっている。そのテレビ局にとっては、“芸能人逮捕”がどのニュースよりも重要だったらしい。

確かに、ミリオンセラーを何曲も出すほど有名人ではある。したがって、トップニュースとして扱うことは、まだ理解できる。しかし、彼が国の経済や政治、或いは国民生活に直接影響を与える立場にいる訳ではないから、それこそ逮捕の事実だけを報道すれば事足りることだ。他のニュースをカットして、そのニュースに終始する必要は全くない。また、我々はそんなことを望んでいない。

ところが、芸能人と触れ合うことの多いテレビ局の仲間意識なのか、それとも芸能者関係のニュースが一番視聴率を取れると踏んでいるのか、はたまたチャンネル権を持っていると思われる子供に照準を合わせたのか、これでもかというほどしつこく“ASKA容疑者逮捕”を放映している。もう勘弁してよ、と泣きつきたい感じだ。

こんな思いをする俺って、変?それともテレビ局が変?

 

【文責:知取気亭主人】

  
(飼い慣らされた?)白鳥 

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