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知取気亭主人の四方山話
 

『四方山話の菊花展』

 

2014年11月12日

月日の経つのは早いもので、今年も残すところ2か月を切った。先週の金曜日、11月7日には二十四節気の一つ「立冬」を迎え、暦の上でも、いよいよ冬の到来を告げている。実感としては、地球温暖化のせいか、冬の足音は子供の頃に比べると大分スピードダウンしているようだが、それでも寒い冬は着実に近づいて来ている。冷たい風も吹くようになり、金沢周辺では紅葉した木々が名残惜しそうに葉を落とし始め、凩(こがらし)の字を実感させてくれている。風が木の葉を落とした“かんじ”を見事に表していて、こんな所にも、日本人のセンスの良さを感じている(凩は国字)。

ところで、今年は、昔懐かしい歌謡曲「月の法善寺横丁」にも出てくる「十三夜」が、171年ぶりに年2回も楽しめた年らしい。「十三夜」は旧暦の9月13日を指し、中秋の名月と並んで美しい月が眺められるとされていて、今年は旧暦の暦調整月である「閏(うるう)月」を入れる年だったため、このような珍事が発生したらしい。「閏月」はほぼ3年に1度入れるらしく、今年がその年に当たったという事だ。まず1回目として10月6日が旧暦の9月13日に当たり、続いて、本来の9月に続いて10月24日〜11月21日が「閏9月」として入り、その結果先日の11月5日が今年2度目の「十三夜」になった、という訳である。

しかし、「閏月」とは、うまい事考えたものである。お蔭で、「閏9月」を含めると、今年の旧暦9月は、凡そ2ヶ月もあることになる。その9月は、「長月」とも「菊月」とも言われていて(高校時代に「10月は、神無月とも菊月とも言われている」と習ったように、「菊月」は10月という説もある)、今頃の時期に咲き誇る菊との縁が深い。菊を愛でるのに丁度良い時季、という事なのだろう。そう考えると、我が家の近所では11月に入ったあたりからやっと菊の見頃を迎えていることから、今年の「閏9月」は本当に「菊月」と呼ぶに相応しい月となった、と言って良いだろう。

今頃の時期になると、我が家のご近所では、毎年遠出をすることなく、菊花展に勝るとも劣らない程の綺麗な菊の花を楽しむことが出来る。それと言うのも、斜め向かいのご主人が菊作りの趣味を持っていて、丹精込めて育てたそれは見事な菊を、毎年軒先に飾ってくれているからだ。菊花展に出品したり、仲間から頼まれて苗作りをしたりと、その腕前は、ご本人は謙遜しているが、私から見れば趣味の域を通り越してもうプロだ。

ご主人に依れば、今年も、20種類ほどの菊を咲かせているそうだ。どれもこれも大輪で、菊とは思えない華やかな形の花もある。休日の日など外に出ていると、道行く人も足を止めて、余りの美しさに見とれている。勿論、私も毎年、目の保養をさせてもらっている。

ということで、今回は、その見事な菊の花を紹介したい。20種類全てとまではいかないが、先日撮った中から気に入った写真を以下に掲載した。ただ、私の腕が花の見事さに追いついていないのはご愛嬌、とご容赦願いたい。また、鉢には夫々花の名札が付いていたのだが、控えるのを忘れてしまったため、写真の説明書きは省略させてもらった。私の失敗は綺麗な花に免じていただき、それでは、「四方山話の菊花展」をご照覧あれ。


 
 
 

如何だろう、楽しんで頂けただろうか。良く見かける小菊も可愛いが、これだけ見事な菊も素敵だ。辺り一面をパァッと明るくしてくれる。それもこれも、斜め向かいのご主人の様な方が、コツコツと長い年月を掛けて品種改良してくれたお蔭である。

「凩」や「閏月」、そして「菊月」など呼び方にさえ風情があることに加え、これだけ艶やかな菊を鑑賞できるとは、日本って良いナァ〜!

【文責:知取気亭主人】

  
 

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