2014年11月19日
群馬大学病院で行われた腹腔境手術で、これまでに患者8人が相次いで死亡している事が明らかになり、テレビや新聞などでセンセーショナルに報じられている。14日の金曜日に病院の記者会見が行われたが、死亡したのが何れも同一の医師に執刀された患者だけに、色々な憶測が流れ、医療事故の噂も漏れ始めている。また、保険適用外の手術だったのにも拘らず、病院内の審査組織に申請がなされていない事も明らかになり、執刀医を始めとする大学病院の認識の甘さも浮かび上がっている。しかし、同じ執刀医による手術で8人もが死亡しているのは、明らかに異常だ。
何故死亡したのか、死亡した8人の手術と死因との因果関係は、現在調査中だと言い、明らかにされていない。これまで92人に手術を施し、そのうち8人もが死亡したとなれば、既に原因究明がなされていても良さそうなものだが、良くある“泥縄式の図式”が見え隠れする。加えて、質問に答えて「因果関係はありません」と言い切れないところに、「患者の死亡」という重大な事態に対する、病院組織としての認識の甘さも感じてしまう。
ただ、死に至る重篤な結果になるかどうかは別にして、その原因が解明されていない病気が沢山あるのも事実だ。「今回の死亡原因もそうだ」と言うつもりはないが、小宇宙と言われる人体だけに、まだまだ未解明の病気は多い。難病と呼ばれる病の多くもそうだし、病名が付いている病気に一括りにされている、別な病も沢山あるに違いない。身近なところで言えば、カゼもそうだという。“発熱や咳”と言った症状で一括りにされているが、あの症状を惹き起こす全ての原因が特定されている訳では無いらしく、チョッとした体の不調も、意外と原因が特定されていない場合が多い、と言えそうだ。
我が家でも、つい先日、原因不明の入院騒動があったばかりだ。家内が体の不調を訴えて、急遽入院する事態に陥ったのだが、病名も原因もイマイチはっきりしない。既に退院しているものの、本人にとっても家族にとっても、未だ納得できる原因が特定されないでいる。
家内が入院したのは、先月の末から今月の初めに掛けての6日間だ。ひと月ほど前からそれこそカゼ気味で体調は優れなかったのだが、寝込むほどではなく、「熱っぽい、痰が絡む」と言いながらも、家事をこなしてくれていた。ところが、10月最終週の中頃になると、熱や咳と言ったカゼに似た症状が悪化して、遂に寝込むようになった。週末(31日)になると、症状は更に悪化し、体を動かすだけで頭が気持ち悪いと言って、吐く様になった。トイレに行くのもしんどいという。夕方、会社から帰り様子を見ると、寝ているのもやっとといった具合に見え、体調は可也悪い。
しかし、本人も私も、「メニエール気が出たかな」と想定出来るぐらいで、症状は明確なのだが病名が分からない。取り敢えず、掛かりつけの医師に電話して相談することにした。耳鼻科の先生に聞くと、確かにメニエール病の可能性もあるが、脳梗塞の可能性もあるから救急車を呼んで大きな病院に行った方が良い、と心配になるようなことを言う。脳梗塞の可能性がある、と言われれば誰だって驚き、焦ってしまう。ところが、事の次第を家内に説明すると、「救急車は大袈裟になるから嫌だ」と言って固辞する。それも分からないでもなく、結局、本人の希望を酌んで、私の運転で近くの総合病院に行くことにした。
事前に電話を入れると、既に診察時間は終わっているから専門医(耳鼻科)はいないけれどそれでも良いか、と念を押す。「それでも良い」と答え、洗面器とタオルを抱えさせて何とか車に乗せ、病院に駆け込んだ。ところが、着いてはみたものの、少し体を動かそうとするだけで吐き気を催すため、車から降りられない。結局、ストレッチャーを車に横付けしてもらい、救急治療室に運ばれていった。
待合室で待つこと凡そ1時間、呼ばれて治療室に入ると、吐き気止めの薬の入った点滴を受けている家内は、気持ちの悪さが大分治まったように見える。先生の説明に依れば、「脳のCT検査をしたが特に異常はない」、「症状からくる病名としては“めまい症”で、その原因は“急性腸炎”ではないか」と言う。ただ、“急性腸炎”特有の“腹痛”や“下痢”といった症状が無いので断定はできない、と何とも拍子抜けの説明が続く。続けて、「十分な検査もしていないので取り敢えず入院しますか?」と言われ、素直に応じることにした。病名も原因も特定できないのでは、そうするしかない。尤も、担当してくれた医師が、消化器内科の先生だったことで、「急性腸炎」の診断が下った可能性は高いのだが…。
入院した次の日から3連休だったこともあり、それ以上の検査は行われず、吐き気止めと栄養剤の点滴だけが治療として続けられた。ところが、日増しに症状は良くなり、連休明けにはすっかり元気になった。しかも、症状が回復し過ぎたのか、当初予定していた連休明けの検査は、「めまいの症状も消えたから今検査しても何も出ないでしょう」と言われ、結局やらずに退院となってしまった。こんなに早く退院できたのは嬉しい限りなのだが、原因が分からないまま入院して退院とは、狐に包まれたような感じだ。
入院直前に電話で相談した、もう一人の内科の先生に依れば、メニエール病は難病で治らない病だという。メニエール病と間違えやすいのに“めまい病”と言うのがあって、色々な事が原因で起こると説明してくれたのだが、まさか急性腸炎で起こるとは思ってもみなかった。尤も、未だ家内の病の原因が急性腸炎と断定された訳ではないのだが…。
【文責:知取気亭主人】
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夏椿の落ち葉とツツジ |
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