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知取気亭主人の四方山話
 

『日本で開くオリンピックなのに…』

 

2018年7月25日

東京オリンピックの開催までいよいよ2年を切り、大まかなスケジュールやチケットの販売価格が公表され始めた。ソフトボールやサッカーのように、開会式に先駆けて始まる競技もいくつかあるが、華やかなセレモニーとして人気の高い開会式は、2020年7月24日に執り行われる。ただ今回の発表は、西日本を襲った豪雨災害の復興時期と重なっていることや、その豪雨災害以降、それこそ経験したことがないような熱波がすっぽりと日本列島を覆い、各地で熱中症による救急搬送される人が続出していることからか、やや控えめだったような気がしないでもない。そうは言っても、これから競技施設の整備状況や詳細なスケジュールがニュースに登場する頻度は増えてくるだろう。さしずめ、今は待ち遠しさ半分、暑さなど諸々の対策に対する心配半分、といった気分である。

そんな中、20日のニュースで、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下、組織委員会)が発表したチケット販売の概要が報じられていた。人気の高い開会式は、閉会式と共に税込みで1万2000円〜30万円と、最高で30万円にもなるという。どえらい金額である。ところが、日曜日のバラエティー番組で、「30万は安い。1000万ぐらいでも観たい人は買う」と言っていたコメンテーターが複数いたが、庶民の感覚とは随分ずれている気がする。そんな金額や意見を聞いた途端、見に行く気力は完全に失せた。

元々、都会の雑踏が好きではないこともあって、思いの半分はテレビ観戦であったから、チケット価格については大して興味はなかったのだが、コメンテーターの「30万は安い」との発言にはびっくりしてしまった。発言したコメンテーターは、オリンピックを商売だとすればどういった価格設定だったら儲かるか、の判断基準で発言したのだろうと思う。組織委員会のメンバーでもない人のこうした発言を聞くと、“スポーツの祭典”としてのオリンピックが、もはや完全に商売として見られていることが分かる。1984年のロサンゼルスオリンピックが「商業五輪のさきがけ」と呼ばれているらしいが、34年を経た今、その考え方は一般人にも浸透してきているらしい。

因みに、30万円ばかりに焦点を当てると、組織委員会からおしかりを受けそうなので、私が興味ある他の競技のチケット価格も紹介しておく。なお、詳しくは組織委員会のホームページ(https://tokyo2020.org/jp/games/ticket/)を参照されたい。
〇水泳(競泳)が5,800円〜108,000円
〇陸上競技(トラック&フィールド)が3,000円〜130,000円
〇マラソンが2,500円〜6,000円
〇サッカーが2,500円〜67,500円
〇柔道は4,000円〜54,000円
〇卓球は3,500円〜36,000円

さて、その商業主義の権化と言えば、巨額の放映権料で競技時間さえ思いのままにしてしまうテレビ放送局だろう。国際オリンピック委員会(IOC)にとって最大の収入源となるからだが、2年後の東京大会では、アメリカの放送局NBCが既にその権利を保有している。その放映権料 の額、1ドル110で計算するとおよそ1,300億円にもなるという。これは、2014年冬のソチ大会から開催地が決まっていない2032年夏季までの、夏冬合わせた10大会分の放送権を約120億5000万ドルで落札したからだ。とんでもない金額で応札したものである。「平昌オリンピックと放映権」(https://news.hoken-mammoth.jp/pyeongchang2018/)によれば、平昌大会では全放映権料の50%にもなったという。これだけ投資するのだから、圧倒的な発言権があるのも頷ける。

一方、同じウェブサイトによれば、日本の放送界の対応は、NHKと民放が合同でコンソーシアムを組み、今年の冬開催された平昌大会、東京大会、2022年冬の北京大会、2024年パリの4大会分を、1100億円で獲得しているという。1大会分で計算すると275億円だ。庶民感覚からすると、これでも十分巨額だと思うのだが、アメリカNBCの約1/5しかない。これでは、日本人が見たい時間帯に人気競技を放映するという自国開催故に認められそうな裁量権が、グッと狭められても仕方がないことかも知れない。

その辺りの、オリンピックと放映権料については、山川紘(ひろし)氏が主宰するウェブサイトの「129.テレビとスポーツ(2):オリンピック(2010年9月17日記載)」に詳しく記載されている(http://www.geocities.jp/yamamrhr/ProIKE0911-129.html)。興味ある方はご覧になっていただきたい。ただ、どちらにしても、自国開催だからといって開催国が全てを自由に決められる権限はなく、東京大会で言えば、最大のスポンサーであるNBCの意向を最優先しなければならないらしい。日本人だったら誰しも避ける真夏の開催時期すらままならないのだから、推して知るべしだ。既に、水泳や陸上など人気競技の決勝が午前中に行われる、との情報も聞こえて来る。昼間働いている日本国民の多くは、後ろ髪を引かれながらもテレビから離れ、一番興奮するシーンを見逃すことになりかねない。「自国開催なのに録画でしか見られない」などという理不尽なことは、是非とも避けてもらいたいのだが…。

しかし、こうした実態を知るにつけ、スポーツの世界も政治の世界と同じになってしまったのか、と残念で仕方がない。今、世界では強権的な政権が幅を利かせている。せめて、スポーツの世界では数や金に物を言わせる強者の理論は馴染まない、と信じていたいのだが…。

【文責:知取気亭主人】

クルミ(収穫ももう直ぐだ)
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