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知取気亭主人の四方山話
 

『神様はドラマがお好き?』

 

2018年8月22日

今年の夏の甲子園大会は、100回の記念大会である。大正4年(1915年)に始まり、先の大戦の戦局が厳しくなった昭和17年(1942年)から昭和20年(1945年)に掛けての中断はあったものの、何と終戦の翌年には直ぐに再開され今日に至っている。そして、今年で節目となる100回目を迎えた。野球というスポーツに、またスポーツそのものにもまだそんなに馴染みのなかった時代からこの大会を支え続け、盛り上げて来た関係者の熱い思いには、本当に頭が下がる。こんな表現を使ったら叱られそうだが、たかが高校生のスポーツなのに、今や夏の国民的行事としてすっかり定着している。

100回の記念大会ということで、今大会はいろいろな取組が行われている。まず一つ目は、ここ数年49校だった出場校を56校に増やしたことだ。北海道(〇)、埼玉、東京(〇)、千葉、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡の9都道府県は、南北もしくは東西に分かれ、それぞれ2校が出場している(○は以前から2校出場していた自治体)。もう一つは、過去の大会で野球ファンを魅了した選手たちが、レジェンドと称して始球式を行っていることだ。18人もの往年の名選手(https://www.xn--8wv97xz6xo7h.online/kosher-sikyuushiki)が登場するのだから、私のような齢を重ねたファンにも堪らない。

以下敬称は省略させていただくが、中西太(高松第一高校)、坂東英二(徳島商業高校)、安仁屋宗八(沖縄:現沖縄尚学高校)、平松政次(岡山東商業高校)、太田幸司(三沢高校)、井上明(松山商業高校)など、私の青春時代と重なる懐かしい名前が並んでいる。また、それ以外にもプロ野球で活躍した名だたる選手も多数選ばれている。そんな中で、開会式直後の試合に登場したのが、日本ばかりでなく大リーグでも活躍した松井秀喜だ。その松井が始球式を行ったのは、何と彼の母校星稜高校の試合(対戦相手は、大分県の藤蔭高校)だった。何と言う運命の巡り合わせだろう。

しかも、先行が藤蔭高校だったため、星稜高校の先発ピッチャーを脇に従え、見ようによっては星稜の選手の一員であるかのような始球式となった。勿論星稜のユニホームを着ているわけではないが、テレビ観戦しながら、「神様も粋なことをやるものだ!」と感心しっぱなしであった。ところが、驚いたのはこの試合ばかりではなかったのだ。星稜の次の試合も、神様の影がちらついて見えた試合となった。しかも、今度は神様がいたずらをして遊んでいるかのようで、少々癪に障る試合となってしまった。

星稜の2試合目は、愛媛県の済美高校が相手だった。神様の悪戯だと思ったのは、両チーム監督の因縁である。始球式を行った松井は高知の明徳義塾との試合において5打席全て敬遠されたことで知られているが、両監督はその時の試合に、敵味方として出場していたのだという。星稜の現監督は松井の一年後輩として、済美の監督は明徳義塾の3年生として、同じグランドにいたというのだ。何という巡り合わせなのだろう。しかし、驚くのはこればかりではない。試合そのものの展開にも、驚きのドラマが待っていた。

星稜は過去にも甲子園で名勝負を繰り広げたことで知られていて、1979年の箕島戦は「高校野球史上最高の試合」とも言われている(結果は、箕島4−3星稜)。「これでゲームセットか」と思われたファーストフライを一塁手が転倒して落球、その直後に飛び出した同点ホームラン、このホームラン、実は2度目のツーアウトからの同点ホームランだったのだから、劇的と言えば本当に劇(ドラマ)的だ。「野球は筋書きのないドラマ」とよく言われるが、まるで漫画の様な展開だった。結局星稜はこの試合、延長18回にサヨナラ負けをするのだが、今年の済美戦も似たような展開になり、2点リードした延長13回にサヨナラ満塁ホームランを浴びて敗戦となった。どうも野球の神様はドラマが好きらしい。しかも、思い過ごしだとは思うのだが、星稜を劇的な敗戦役に抜擢しているようにも見える。

気を取り直して、最後にもうひとつ。神様のドラマ好きが良く分かる試合が用意されていた。決勝戦だ。決勝戦は、優勝候補に挙げられていた大阪桐蔭高校と秋田の金足農業高校だったのだが、秋田県勢の決勝進出は第1回大会以来だという。第1回と第100回という記念すべき大会で決勝戦を戦うなんて、何という巡り会わせだろう。21日の朝刊には、「秋田県勢103年ぶりの決勝進出!」と大きく報道されていた。と同時に、「東北勢悲願の初優勝か」の文字も踊っていた。約100年の時を経て、秋田県勢として、また東北勢として初の栄冠を勝ち取ることができるのか、神様は見事な舞台を用意してくれた。そして、その試合に花を添える演出も用意していた。

決勝戦で始球式をするレジェンドが、49年前(1969年)に、決勝戦で延長再試合を投げ合った太田幸司(三沢高校)と井上明(松山商業高校)だというのだ。この決勝戦では、「青森県の三沢高校が東北勢として初めて深紅の大優勝旗を手にするか」との夢を見させてくれたが、それも叶わなかった。フェリーの中で聴いていた当時の熱戦は、今でも耳に残っている。本当に手に汗握る熱戦だったのだが、太田は自分の果たせなかった夢を金足農業の選手に託して始球式を行ったのではないか、と想像している。しかし、ドラマとしては出来過ぎの様な気がしないでもない。

そう思っていたのだが、結局秋田県勢としても東北勢としても、夢はお預けとなった(優勝は大阪桐蔭高校)。どうやら、ドラマ好きの神様は、続きを書いているらしい…。

【文責:知取気亭主人】

初めましてホノカです。ワタチにはどんなドラマが待っているのかな?
初めましてホノカです。ワタチにはどんなドラマが待っているのかな?

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