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知取気亭主人の四方山話
 

『まるで他人事』

 

2018年8月29日

中央省庁で相次いでいる障害者雇用の水増し問題、私が住む石川県でも水増しが行われてきた実態が明らかになった。8月23日の北陸中日新聞朝刊に依れば、「身体障害の場合は『身体障害者手帳』で確認する」など、国のガイドラインに基づかない方法で障害者雇用数を算定していたという。こうした行為は、石川県以外の地方自治体でも明らかになり始めていて、北陸中日新聞(8月23日)と日本経済新聞(8月21日)の情報を合わせると、秋田、山形、福島、栃木、千葉、富山、島根、愛媛、高知、長崎でも同じような水増しが行われていたらしい。今のところ水増しを公表したり、共同通信の取材に水増しを認めたりした県は、上記以外にもあって現時点で14県だというが、恐らくまだまだ出てくるだろう。

前述の日本経済新聞では、野田聖子総務大臣が総務省担当者から「ほぼどの省においても同じような実態だった」との説明を受けた、と報じられている。恐らくそうだろうな、と思う。しかしこの水増し醜聞、法律を作り、その法律を守るように指導する立場のお役所が率先して(?)破っているのだからたちが悪い。しかも民間には課せられているペナルティーがお役所には課せられない、というのも納得がいかない。もっとも、ペナルティーと言っても、企業名を公表したり、雇用障害者数が法定雇用率を下回っている場合は納付金を納付したりする(ただし、超えている場合は調整金が支給される)程度のものなのだが、それでもやっぱり片手落ちのような気がしてならない。

ところで、厚生労働省のホームページに、「障害者雇用率制度 障害者の法定雇用率の引き上げについて」とタイトルが付けられたページがある。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaisha/
04.html

そこには、「事業主の皆様へ」と題したこんな一文がある。ホームページに書かれている文章をそのまま転載してみよう。

「障害者がごく普通に地域で暮らし、地域の一員として共に生活できる『共生社会』実現の理念の下、すべての事業主には、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務があります(障害者雇用率制度)。この法定雇用率が、平成30年4月1日から以下のように変わります。」

そして次のような表が示されている。

法定雇用率

(厚生労働省のホームページより、一部加筆修正)

この法定雇用率を守るために水増しが行われていたのだ。28日に行われた厚生労働省の発表によれば、国の33行政機関の約8割に当たる27の機関で不適切な算入があり、全体で約6,900人の障害者を雇用している内、水増しは半分に当たる3,460人にもなるというから驚きだ。結局、調査時点(昨年6月1日)の全体の平均雇用率は、法定を大きく下回る1.19%だったという。中でも、国税庁の水増しは1千人以上にも上っているというから酷い。惨憺たる数字である。こうした水増し問題、冒頭に書いた国のガイドラインを拡大解釈していたところもあり、多くは不正な水増しはしていないとしているらしい。そして、責任の押し付け合いが始まっているとも言う。実に見苦しい。中央省庁にしろ、地方自治体にしろ、その無責任ぶりには呆れるばかりだ。まるで他人事だ。

確かに、一般職員が障害者雇用率を気にかけて働いている職場は、官庁に限らず民間企業といえども殆どないだろう。誰が気にかけているかと言えば、大きな組織ならば労務や人事を扱う部署(仮に管理部署とする)の職員とその長だ。そうした管理部署が、法規に照らし合わせ、違反しないようにチェック機能を働かせている筈である。そういう意味では、管理部署の責任は重い。しかし、管理部署から組織の長へ報告は上がらなかったのだろうか。上がっていたのに是正されなかったのか、端から上げていなかったのか、真実は良く分からない。しかし、これまで発表されていた雇用率を見ると、法定雇用率を僅かばかり上回っているだけというところが多く、「不正な水増しではない」とは言ってはいるものの、明らかな意図があったことは否めない。

働き方改革が声高に叫ばれ、ダイバーシティー(diversity)社会の実現を目指している行政府としては、法定雇用率を大幅に上回る5%ぐらいの省庁があってもいいのに、そんな優しさに溢れた数値には全くお目に掛かれないでいる。「日本の社会は弱者に優しくない」と耳にすることがよくあるが、本当にそうだと思う。「障害者がごく普通に地域で暮らし、地域の一員として共に生活…」と謳う文言が実現する日は、いつ来るのだろう。それは我々日本人一人一人の手に委ねられている、とも言える。

ところで、こうした内容を書く以上我が身を振り返れ、ということで当社の障害者雇用率を計算してみた。2.9%であった。ホッと胸を撫で下ろしているところだが、我々一人一人の手に委ねられたダイバーシティー社会の実現に向け、一歩一歩進んでいく重要性を改めて噛みしめている。

【文責:知取気亭主人】

アサガオだけど日本アサガオとは違う(西洋アサガオ)
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