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知取気亭主人の四方山話
 

『評価』

 

2018年11月28日

先週の月曜日(19日)、とんでもないニュースが飛び込んできた。日産自動車・ルノー・三菱自動車、三社の巨大企業グループを率いていた前代表取締役会長(ルノーの会長は27日時点でまだ解任されていない)カルロス・ゴーン容疑者が、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕された、というものだ。一時業績悪化に苦しんでいた日産自動車をV字回復させた立役者であり、その手腕はビジネスの世界では高く評価されていた。そんなカリスマ経営者の逮捕は、当事国の日本やフランスばかりでなく、世界に衝撃を与えている。

詳細は詳らかでないが、新聞・テレビで報道されている内容は、自らの報酬を少なく報告していたというもので、隠蔽していた報酬は2011年3月期からの8年間で80億円にも上るらしい。その他にも、世界各地に保有している自宅の取得費用や家族旅行の費用が会社持ちだったなど、関係者しか知り得ないと思われる情報が次から次へと明るみに出ている。さしずめ、「ゴーン容疑者は金の亡者である」を臭わせる報道で溢れているのだ。カリスマ経営者が目の飛び出るような高額報酬を隠蔽した、これだけでテレビ局が飛びつくのには十分な話題である。しかし、報道各社は、「それだけではないだろう?」とばかりに、これからどんな余罪が飛び出してくるか興味津々で待ち構えている。

それもあってだろう、逮捕から一週間たった今でも、テレビを点ければ、必ずと言って良いほど、ゴーン容疑者の隠蔽内容がこれでもかと言うぐらい取り上げられている。そして、その度に報道される、我々庶民の生涯収入でも足元にも及ばない夢のような金額は、多くの国民の垂涎の的となっている。羨ましい限りである。良心的なテレビ番組ではこれまでの功績なども紹介しているが、全体的には「もらい過ぎでしょ!」の批判的な報道が圧倒的に多い。でも、その気持ち、分からないでもない。我々は庶民感覚でしか計れな いからだ。

しかし、金額だけを比較すれば、プロスポーツの世界ではゴーン容疑者より遥かに高額の報酬を得ているスーパースターも少なくない。サッカー選手然り、プロ野球選手然りである。プロスポーツがさほど盛んでない日本でも、プロ野球の球団を代表する選手ともなれば、庶民に比べれば遥かに高額年俸を得ている。更に、アメリカ大リーグの一流選手になろうものなら、その何倍もの収入を得ることができる。

勿論活躍することが必須条件だが、求められて移籍をすると、年棒は大幅にアップする場合が多い。その権利がFAだ。野球がシーズンオフの今、FA宣言して自分の評価を見てみたい、とその権利を行使するトップ選手が多い。そして、現状よりも好条件のチームに移って行く。ファン心理としては複雑だが、どれだけ高額な評価を得ようとも、ゴーン容疑者に対する様に「もらい過ぎでしょ!」の声は聞こえてこない。「凄いな!」の声は上がっても、である。それは、評価(年棒)が結果(成績)に連動しているからだ。そして、その結果が素人でも分かり易いような指標に整理されているからである。

大谷選手の活躍でより多くの指標があることを知った大リーグは良い例だ。彼が後半になって専念した打撃部門について見てみよう。今季(2018年)の球界年棒トップは、大谷選手の同僚、外野手のマイク・トラウト選手だという。その額、実に3325万ドル(1ドル=110円として、約36億6000万円)、あんぐりの金額だ。では一方の成績はどうかと言うと、打率.312、39本塁打、79打点、盗塁も24個記録している。素晴らしい成績である。通常使われるこれらの数値も立派な指標の一つで、私のような古い野球ファンでもお馴染みだ。しかし、年俸に相応しい成績だったのかは今ひとつ分かり難い。

そうしたこともあってか、大リーグではもっといろいろな指標が考えられていて、そのひとつにOPS(On plus slugging )がある(日本でもこの指標を使って指導したり、年棒交渉をしたりした選手はいたらしい)。出塁率と長打率を足したもので、チームへの貢献度を計っている。開発者は、打者に限ってではあるが、OPSを用いると次表のようにAランクからGランクまでの7段階に格付けできる、としている。因みに、先程のトラウト選手のOPSは、出塁率が0.460、長打率が0.628で、OPS=1.088となり、超高額報酬に値する活躍だったと言って良いだろう。これでは、「高すぎる!」との声は出なくて当然なのかも知れない。また、大谷選手のOPSは、0.361+0.564=0.925で、投手の成績も加味すれば、こちらも新人王に恥じない活躍だったと言って良いだろう。

OPS評価表
出典:「めっちゃええやん(https://mettyaeeyan.com/ops/)」

こうした色々な指標で評価されるスポーツ選手に比べ、巨額報酬を得る外国人経営者の報酬が成果に値する額なのかどうか、評価の指標が曖昧模糊としている感じは否めない。例えば、営業利益率、経常利益率、生産性などの経営指標を報酬の指標に当てはめる方法はダメだろうか。指標の平均値は、同業他社との比較で求めるのだ。そこに、OPSに倣って、就任した時からの社員数の増減率と、経常利益の増減率を足した指標などを加味すれば、それなりの指標ができそうな気がするのだが…。

【文責:知取気亭主人】

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