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知取気亭主人の四方山話
 

『国会議員とマスコミの通信簿』

 

2019年2月20日

12日(火)、ショッキングなニュースが日本中を駆け巡った。2020年東京オリンピックでの活躍が期待されている競泳の池江璃花子選手が白血病と診断された、というものだ。自身の公式ツイッターで明らかにしたものだが、昨年の8月にインドネシアで行われた第18回アジア競技大会(2018/ジャカルタ・パレンバン)での大活躍が記憶に新しいだけに、日本ばかりでなく、メダル争いをした中国を始め海外でも驚きを持って伝えられている。何しろ、アジア大会では6冠を達成して、見事大会のMVPに輝いたのだから無理もない。勿論、日本国内の扱いもトップニュースだ。あの大活躍から僅か半年後の事だけに、「エッ、まさか!」の思いが強い。

しかし、何より本人が一番その思いが強い筈だ。あまりに突然のことで、まだ心の整理は付いていないだろう。ただ言えることは、世間の雑音は一切気にせず、とにかく治療に専念していただきたい。ネットニュースで知った、お婆ちゃんの「水泳なんてやんなくていいから、とにかく長生きして」の切なる願いは、その通りだと思う。多くの国民は、お婆ちゃんと同じ思いを抱いている。ただ、そうは思いたいのだが、どうやら違うことに関心が向く人達がいるらしい。桜田義孝国務大臣(東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当、サイバーセキュリティ戦略担当大臣兼務)の発言を巡る騒動だ。

池江選手の公表を受けてのインタビューで答えた、「がっかり」とか「盛り上がりが下火にならないか」といった物言いに対して、批判の声が相次いでいる。何とか安倍政権の失点をアピールしたい野党は、ここぞとばかり追求の矛先を桜田大臣に向けた。桜田大臣といえば、2018年10月の初入閣以来、大臣としての資質が問われかねない失言や言い間違いを繰り返し、そのたびに物議を醸し野党反撃の格好の的になっていただけに、その追求は何れも急先鋒だ。野党にとっては、またも格好の政権批判の材料となっている。

政治家ばかりではない。多くのメディアにとっても、桜田大臣の失言が大衆受けする話題だと読んだのか、野党と同じように批判的な論調で報道している。ところが、インタビューの全文が明らかになると、大衆受けする文言だけを切り取って報道する姿勢は如何なものか、との逆批判も湧き上がってきた。因みに、産経新聞の「『がっかり』だけではなかった 桜田五輪相発言全文」(https://www.sankei.com/politics/news/190214/plt1902140015-n1.html)を読むと、確かに体調を気遣う言葉も言い、「がっかり」とか「盛り上がりが下火にならないか」といった物言いはほんの一部でしかなく、メディアはかなり恣意的に報道していることが分かる。

しかし、だからと言って、桜田大臣の「がっかり」とか「盛り上がりが下火にならないか」といった思慮に欠けた言葉使いが、万人に受け入れられる訳ではない。「白血病と戦う18歳の女性にかける言葉じゃない」などの批判も良く理解できる。それもこれも大臣就任以来の失言の数々によって、大臣としての資質に疑問が持たれているからだ。とは言うものの、正直メディアの資質にも疑問を持っている。真実を包み隠さず伝える、という報道としての矜持は、もはや過去の遺物に成り下がってしまった感があるからだ。大衆受けすれば少々真実を捻じ曲げても構わない、そんなおごりが今のメディアには多かれ少なかれ透けて見える。そうした大臣やメディアには、何とか襟を正してもらいたいし、仮に正すのが難しいとなればご退場を願いたいものである。

そこで、私なりに彼らを評価する通信簿を考えてみた。議員の通信簿と言えば、掲げた公約をどの程度実現・実行できたかというものが一般的だが、私の考えたのはちょっと違う。ドラッカーの著書「マネジメント【エッセンシャル版】 基本と原則」(ダイヤモンド社、2001)を参考に、独自に退場願う「失格要件」をまとめてみた。通信簿と同じで点数が低いほど成績が悪い、ということである。本に書かれていた企業のマネージャー失格条件をアレンジしたものであるから、文言は多少違和感があるかもしれない。しかし、よく読めば国会議員やメディアにも当てはまるのではないか、と思っている。ということで、どれ桜田大臣を採点してみるか!

議員の通信簿

【文責:知取気亭主人】

マネジメント【エッセンシャル版】 基本と原則 「マネジメント【エッセンシャル版】
 基本と原則」


【著者】P.F.ドラッカー
【編訳】上田 惇生
【出版社】 ダイヤモンド社 エッセンシャル版
【発行年月】 2001年12月
【ISBN】 978-4478410233
【頁】 302ページ
【定価】 2000円 + 税

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