2019年5月8日
長かった、改元に伴う春の長休みが終わった。休みに入るまでは、どうやって時間をつぶすか良く考えなければと思案していたのだが、過ぎてしまえば“然に非ず(さにあらず)”で、のんびりとした日が意外と少ない10日間となった。ガレージの天井コンクリートに防水塗装をしたり、静岡に外孫の初節句を祝いに行ったり、ツバキとコブシの剪定をしたりと、何やかやとやることがあり、暇を持て余すこととは無縁の休みであった。
遊びもそれなりに楽しむことができた。上記のような大きなイベントの合間を使って、里帰りした婿殿と小学3年の孫娘と一緒に、束の間ではあったが海釣りにも行ったし、昨年秋以来のバーベキューもやった。そして何といっても、6人の孫たち全員と、これまで以上に濃い時間を過ごすことができたのが何よりだった。これもひとえに、10連休という長休みのお蔭である。
ところが、そうした孫たちとの時間の中で、生来のいい加減さを再認識させられる出来事があった。これまで孫たちに気持ち良く歌っていた童謡の歌詞が、うろ覚えであることが発覚したのだ。中には、「メロディーも少し違うよ!」、と長女に指摘された曲もある。そう言えば、今は小学3年になった初孫が2歳の頃だったと思うが、抱っこしながら童謡を歌っていると、「ちがう!」と指摘されることが良くあった。今思うと、恐らく私の歌が、保育園で教えてもらった歌詞やメロディーと違っていたのだろう。
思い返せば、童謡を良く歌っていたのは、学校で音楽の授業があった小学校の頃である。今から凡そ60年も前になる。これだけ前になると、教えられた筈の童謡でもうっすらと記憶に残る程度で、特に歌詞は極めて曖昧になってしまう。ましてや、教えられたのではなく、誰かが歌っているのを聴いて覚えた歌は、歌っていた人の真似をするわけで、その人が間違えて覚えていれば、真似をする私も間違えて覚えてしまうことになる。恐らく、私のうろ覚えもそういうところきているのだろうと思う。そんな風に「他人のせいだ!」と罪をなすりつけたのは、「♪コチコチカッチン おとけいさん…」と歌い出す、『とけいのうた』(作詞:筒井敬介、作曲:村上太朗)である。
この歌は、初孫を抱っこしながら、置時計の前で良く歌っていた。それまでは、そんな歌があることすら知らなかったから、妻か長男夫婦、あるいは次女が歌うのを聴いて覚えたのだと思う。「♪コチコチカッチン おとけいさん コチコチカッチン うごいてる おとなのはりと こどものはりと こんにちは さようなら カチカチコッチン うごいてる♪」と歌うと、可愛らしい声で「ちがう」と言う。その時は何が違うのか良く分からなかったのだが、長女夫婦が里帰りした29日、婿殿が9ヵ月になった外孫(5番目)に歌うのを聴いていて氷解した。まず、歌詞が違うのだ。
どこが違うか、間違い探しをしていただきたいが、正式な歌詞は「♪コチコチカッチン おとけいさん コチコチカッチン うごいてる こどものはりと おとなのはりと こんにちは さようなら コチコチカッチン さようなら♪」だという。しかも、確認のためYou Tubeを聴いてみると、メロディーも微妙に違う。特に、「…こどものはりと」以降は、似ているようだが明らかに違う。これでは、コーラスをやっていた長女が間違いを指摘するのは勿論だが、孫娘が「ちがう」と言う筈である。それでは、とこれを書き始めた6日、もう直ぐ4歳になる長男夫婦の次女(3番目)に、この歌を歌ってもらってみた。するとどうだろう、見事に私の歌をコピーするではないか。どうやら、間違ったまま覚えてしまったらしい。明らかに私のせいだ。自身が子育てする時までに気付いてくれれば良いのだが…。
もう一つ、うろ覚えの童謡が見つかった。今頃の季節に歌われることの多い、『こいのぼり』(作詞:近藤宮子、作曲:不明)である。外孫(6番目)の初節句に出かけた際、次男夫婦が歌う歌詞をそれとなく聴いていたところ、私や妻が記憶しているのと違うことに気が付いた。「♪屋根より高い 鯉のぼり 大きい真鯉は お父さん 小さい緋鯉は 子供たち 面白そうに 泳いでる♪」と、“お母さん”が出てこないのだ。しかも、子供は緋鯉だという。一方、私が記憶している歌詞は、以下の通りだ。
1番:「♪屋根より高い 鯉のぼり 大きい真鯉は お父さん 小さい真鯉は 子供たち 面白そうに 泳いでる♪」
2番:「♪屋根より高い 鯉のぼり 大きい緋鯉は お母さん 小さい真鯉は 子供たち 面白そうに 泳いでる♪」
どうしてこう覚えていたかと言えば、理由は簡単だ。真鯉は黒色だから男を、緋鯉は赤色だから女を象徴している、とばかり思っていたからだ。いつの頃からか、ずーとこうだと信じていた。ところが調べてみると、歌詞は2番まであるのだが、どちらにもお母さんは出てこないし、子供は真鯉ではなく緋鯉となっている。真鯉も緋鯉も、どちらも雌雄いるから間違いではないと思うのだが、何となく違和感がある。
そんな思いを代弁するかのように、購入したばかりの団地サイズの鯉のぼりセット(下の写真)にも、お母さん鯉らしき緋鯉が泳いでいる。真鯉が一番大きくてその次に緋鯉、そして一番小さい子供と思しき鯉は青色である。こうして見ていると、やっぱりお母さんが泳いでいないと様にならない。私のうろ覚えを誤魔化すわけではないが、皆さん、お母さんのいる歌に替えません?
【文責:知取気亭主人】
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