2019年5月15日
風薫る五月になった。車窓から見える水田には水が張られ、植えられた稲が風にそよいでいる。野山の若葉も瑞々しくて、見ているだけで心地良い。恐らく、人間ばかりでなく植物も、待ち遠しかった季節の到来に歓喜の声を上げているのに違いない。茎や幹に聴診器を当てたら、維管束を通る水の音や成長していく音で、喜びを奏でているかもしれない。もしそんな喜びの音楽を聴けるものなら、なんとしても聴いてみたいものだが、残念ながら聴く術を持ち合わせていない。ありきたりの方法だが、勢いよく成長していく若葉に、彼らの喜びを感じ取るしかなさそうだ。
そんな楽しい妄想さえ浮かぶ五月は、家庭菜園の季節でもある。我が家も毎年やっていて、中でも欠かしたことがないのが、暑さ対策の緑のカーテンだ。ゴーヤやキュウリ、アサガオなどなど、緑のカーテンとしてこれまで5〜6種類の野菜や花を試して来た。その中で、カーテン効果が高いのは、何といってもゴーヤである。しかも、ゴーヤは収穫も楽しめる。ということで、今年もゴーヤを植えることにした。
ただ、今年も植えつけなければと思い立ったのは良いのだが、気付いた時点で例年の植え付け時期よりも一週間以上遅い。しかも、いつも買い求めているホームセンターに家庭菜園用の野菜の苗が並ぶのは、ゴールデンウィークの頃が最盛期だ。だとするともう苗は無いかも、と娘がインターネットで調べてくれた。すると、ラッキーなことに、まだ販売しているという。それでは、と重い腰を上げ植え付け準備をすることにした。
ところが、植えつけ予定の所(幅30×250pほどの、孫娘が“畑”と呼ぶ細長い畝)には、昨年暮れに地に下したネギが植わっている。新たにゴーヤを植えるには、このネギを植え替える必要がある。「それも面倒だな!」と思いながらネットを調べていると、嬉しい情報に行き当たった。ネギとゴーヤは相性の良い野菜だというのだ。どうやら植え替える必要がないどころか、もっと植えても良さそうな説明だ。しかも、(今回初めて知ったのだが)ゴーヤの連作障害を回避できるかもしれないおまけ付だ。そんなとっておき情報を提供してくれたのは、「やまむファーム」というサイトである(https://ymmfarm.com/cultivation)。
ゴーヤとネギを調べていて、偶然、「やまむファーム」で「コンパニオンプランツ」なる言葉を見つけた。コンパニオンプランツとは、一緒に植えると良い影響を与え合う植物同士のことだという。互いに良い影響を与えあう異なる植物同士を一緒に植えることで、特定の病害虫の発生や増殖を防いでくれる効果があるというのだ。ネギ科の野菜は、根に共生する微生物が抗生物質を出して、ウリ科やナス科などの病原菌を減らしてくれるらしい。植えようとしているゴーヤは、正にそのウリ科である。しかも、今既に植わっているではないか。「どうしてそんな相性の良いネギを植え替える事などしようか」ということで、わざわざ植え替える必要が無くなり、一挙にやる気が湧いてきた。
ただ、気になるのは連作障害である。妻の話では、その障害が出始めたのか、やり始めて2、3年目あたりから収穫量が落ちてきたらしい。「やまむファーム」のコンテンツ「ゴーヤ(ニガウリ)の栽培方法・育て方のコツ」に依れば輪作年限は2〜3年というから、我が家の場合もご指摘の通りになっていることになる。ところが、緑のカーテンをしたいところは決まっている。したがって、同じ場所で育てるしかないのだ。だとすると、何とか連作障害を克服するしかない。出来るかどうかは別にして、である。
そこで、もう少し詳しく同サイトを見てみた。すると、食料植物の連作障害を防ぐ手立てとして、7種類の方法が示されていることを知った。その7種類とは、①輪作、②間作・混植、③田畑輪換(水田と畑を数年ごとに交替利用する方式)、④有機物の投入、⑤土壌消毒、⑥抵抗性品種の導入、⑦青刈(家畜の飼料用として、作物を生育途中で刈り取る)作物の導入である。その中の②間作・混植が、表題ともなっている「コンパニオンプランツ」を上手く利用して、異なる植物を植える方法だ。まさに今やろうとしている植え方が、連作障害を防ぐ手立てとして紹介されているではないか。
同サイトに依れば、連作障害の原因を大別すると、「土壌病害」「線虫害」「生理障害」の3つがあるのだという。②間作・混植が3つ全てに有効かどうかは定かでないが、ネギ混植の効用としてウリ科(ゴーヤ)の病原菌を減らしてくれるというからには、土壌病害に有効なのは確かだ。だとすれば、やらない手はない。それに加えて、違うサイトで見つけた、ゴーヤ農家が使用するという台木用カボチャに接いだ接木苗を植えれば、連作障害はかなりの確率で防げるのではないかと思っている。実行あるのみである。結果は乞うご期待で、“忘れなければ”であるが、夏の終わりごろに再びこの話題を取り上げたいと思っている。
ところで、今回利用させてもらった「やまむファーム」は、私のような素人が家庭菜園をするのに大変役に立つサイトだ。管理人プロフィールを読むと、京都府の京田辺市で農業をやっている方らしいが、専門的過ぎず、かと言って中途半端ではなく、必要なことを素人にも分かりやすく解説してくれているのが素晴らしい。家庭菜園にチャレンジしている皆さん、一度是非覗いて見ていただきたい。お気に入ること請け合いである。
【文責:知取気亭主人】
ゴーヤの強い味方ネギ
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