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知取気亭主人の四方山話
 

『準備』

 

2019年9月11日

今は、9月8日、日曜日である。いつもなら比較的ノンビリと過ごしている休みの日だが、今回は、前日の土曜日から二日がかりで海外旅行の準備に忙しい。久しぶりの海外ということもあり、準備万端抜かりがないか慎重にやっているからだ。着ていく服装は勿論だが、訪問先への手土産に抜かりはないか、薬など必需品の予備は持ったか、はたまた下着は足りているかなど、見た目の服装以外にもチェックする項目は多い。しかも、歳と共に常用の薬が増え続け、手荷物として機内に持ち込まなければならない、こまごまとしたものが多く厄介だ。その中には、目薬や塗り薬など液体物も多い。

最近はそうした液体の機内持ち込みに対する制限も厳しくなっていて、浦島太郎状態の私に代わり、最近海外渡航したばかりの次女があれやこれやと気を使ってくれる。また、先週の草刈りの後遺症か、旅行直前になって腰が痛いと言い始めたこともあり、妻や長男にも違う意味で気を使わせてしまっている。要するに、家族からは“お爺ちゃんの初めてのお使い”扱いをされているのだ。それもこれも、家族の目の前で、忙しそうに準備にいそしんでいるからだ。いそしんでいるのには訳がある。実は、昔からそうなのだが、旅行もさることながら準備そのものが好きなのだ。

準備が好き、というと怪訝に思うかもしれない。しかし、旅行の楽しみは出発前の計画と準備にある、とさえ言われているぐらいだから、あながちおかしな話ではない。まだ見ぬ旅先に思いを馳せ、あれやこれやと空想を働かせ、楽しい旅行にするための万全の準備をする、そして旅を満喫している姿を空想する、これが楽しいのだ。空想をする、言い換えれば想像力を働かせる、そして実際に行ってみてそのギャップをまた楽しむ。そう、旅行の準備は頭の中だけで出来る究極のシミュレーション、と言っても良いかもしれない。

天候、食事、意思の疎通、治安等々、事前にチェックし、備えなければならない事は多い。それを怠ると、期待に胸弾ませた旅行が、もう二度と行きたくないと思えてしまう残念な結果になりかねない。そうならないための大切な準備なのだ。こうした準備が大切なのは、何も旅行に限ったものではない。すべからく人が行動を起こそうとするときは、程度の差こそあれ必ず準備をするものである。準備不足で失敗しないための危機管理の一環、とも言える。

ところが、求める結果が気になり、気が急くままに実際の行動を起こしてしまうと、どうしても準備はおろそかになりがちだ。そうなると、結果は期待に反することが多い。そうした準備不足が如実に表れるのが、スポーツの世界だろう。ただ、スポーツの世界では準備=練習と単純化されがちだが、あながちそうとばかりは言えない。

特にチームスポーツの場合は、選手の特徴を良く把握した上で、より良いパフォーマンスができるチーム編成をする必要がある。したがって、選手を選抜する場合にも、チーム全体のパフォーマンスを十分シミュレートした上で選ぶことが肝要だ。そうしなければ、いくら個々人が優れていても、チームとして実力を思う存分発揮できるとは限らない。チーム全体のバランスや選手個々人の実力・状態を十分吟味して選ぶ必要があり、その上で連係プレイなどのチーム練習を繰り返し行っておく必要がある。これら全てを含めて、準備だといえる。ところが、こうした準備が足りなかったのではないか、と批判の声が上がっているチームがある。野球のU18ワールドカップに出場した日本代表チームである。

韓国・釜山郊外で行われている、世界12の国と地域で争う18歳以下の第29回U18ベースボールワールドカップ(以下、U18)に出場していた日本チームは、初の世界一を目標に掲げ、2次リーグまでは進出したものの、結局5位に終わってしまった。160qを超えるスピードボールを投げる大船渡高校の佐々木選手や星稜高校の奥川選手など、プロ注目の高校生たちを擁していて、日本国内での期待も大きかっただけに、批判の矛先が監督を始めとする代表チーム関係者に向けられている。選手の選出や起用方法に問題がある、というのが批判の主な内容だ。果たしてそうなのか、批判の詳細は新聞やネット情報を読んでいただくとして、私なりに敗因を考えてみた。

日本チームが期待されたパフォーマンスを発揮できなかった最大の理由は、準備する時間が足りなかったのではないかと思う。U18の開催期間は8月30日〜9月8日であったが、その僅か一週間前まで(8月6日〜8月22日)夏の全国高校野球大会が開催されていたのだ。U18に選ばれた選手の多くはこの大会に出場していて、全選手のパフォーマンスを確かめてからでないと、選出メンバーを発表するわけにはいかないから、当然発表は大会の後半、もしくは大会終了後となる。したがって今回の発表も、「野球日本代表 侍ジャパンオフィシャルサイト」(http://www.japan-baseball.jp/jp/team/18u/)によれば、8月20日に行われている。準決勝当日だ。しかも、決勝戦(22日)に出ている選手もいる。必然的に、全員が揃ってチーム練習ができたのはたった1週間しかなく、8日目には早くも1戦目を戦っている。

甲子園大会の炎天下の戦いで疲労は残っていただろうし、チームとしての連係プレイも十分練習できていなかったことだと思う。慣れない守備位置の選手もいたという。準備期間の不足を含め、何を取ってみても準備不足だったことは否めない。今回の結果は、いくら優秀な選手を集めたとしても準備不足では世界と戦えないし世界はそんなに甘くない、という証左だったのではないだろうか。


【文責:知取気亭主人】


 問題の財布
シロバナヤマホタルブクロ(仲間のC.Sさん提供)

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