いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
知取気亭主人の四方山話
 

『ジャカルタ見聞録』

 

2019年9月18日

9月11日(水)から16日(月)に掛けて、インドネシアのジャカルタに行ってきた。研修旅行と銘打った視察旅行である。いつもなら日曜日に書き始め月曜日中には8割がた書き上げているこの四方山話だが、今回は16日の月曜日が移動日で旅行気分が抜けないでいたこともあり、18日にアップする原稿には一切手を付けていない。もう時間もない。そこで今回は、少しばかり手を抜いて、インドネシアでの写真を主体に簡単な見聞録を書くことにする。なお、掲載した写真の中には写りの悪いものもあるが、ご容赦願いたい。

最初に紹介するのは、首都ジャカルタから南東に直線距離で凡そ130q行った都市、バンドンにある技能実習生を教育して日本に送り出している学校だ。運営母体は、日本の公益財団法人 国際人材育成機構 (略称/アイム・ジャパン)である。アイム・ジャパンについての詳しい内容はホームページ(http://www.imm.or.jp/)を見ていただくとして、当機構の日本人現地スタッフの案内で見せてもらった授業風景を紹介したい。

今は仮住まいだという校舎の多くは、P-1のような質素な建物で、入り口にはP-2のように日本語で書かれた紙が貼られている。一部を除いて、机や椅子はなく、殆ど立ったままや床に個人用のマットを敷いて座ったりして授業を受けている(P-3)。学生が手にしているのは、P-4に示したような手作り感満載の教科書だ。その教科書を手に持ち、二人一組で、殆ど怒鳴っているのではないかと思える程の大声で、音読している。そうかと思えば、先生が出す質問に挙手をし、一人ずつ答えているクラスもある。いずれにしても大声だ。暫く外で聞いていたのだが、その迫力には圧倒される。日本に行きたい、のエネルギーが凄い。

ここでの4ヶ月間の研修後には日本に向かわなければならないというから、学生たちも教える先生も必死なのだ。学生たちは元々選抜を受けているそうだが、成績不良や就学態度が悪く途中でやめさせられる学生もいるという。したがって、総じて優秀な子が多く、ホームページに依れば、約5千人の帰国生が母国インドネシアで起業しているというから素晴らしい。P-6は介護コースの授業風景だが、ヒジャブを被っている学生は誰もいない。聞けば、ヒジャブを取る事が出来る人だけを採用しているのだという。我々にとってはたかがヒジャブだが、ムスリムの彼らにとって大きな決断が必要だったのではないだろうか。将来の夢に懸ける彼らの意気込みが伝わってくる。また、外で待っていた我々訪問者に対して大きな声で挨拶してくる姿は、新鮮だ。かえってこちらの方が気恥ずかしくなってくる。

P-1
P-1
P-2
P-2
P-3
P-3
P-4
P-4
P-5
P-5
P-6
P-6

そうした就学態度は、校舎脇に建てられていた「けんしゅうせいの こころがまえ」と書かれた看板(P-7)の23項目を見事に守っている証でもある。彼らの夢と現実が一致する、日本国内の実態であってほしいものである。

P-7
P-7

これまででだいぶ紙面を使ってしまったので、後は簡単に市民生活の一端と交通事情、高層ビル最上階から見たジャカルタ市内の状況を簡単に説明する。

P-8
P-8
P-9
P-9
P-10
P-10

下水道が未整備のため、P-8のように市内の川は濁っていて、川底は全く見えない。インフラ整備は、まだまだの感がする。一方、市民の足はもっぱらバイクらしい。1km10円程度の格安料金で載せてくれるバイクタクシーなるものがあって、市民の多くはこれを利用するという。P-9に写っている緑のヘルメットが目印らしい。これが便利で歩く人が殆どいないため、市内の道路はバイクで溢れている(P-10)。加えて、車も半端なく多い。お蔭で、市内はいつも大渋滞だ(P-11)。P-11の様な密集した車の間をバイクが果敢にも走っていく。とてもではないが、日本人には運転できない。そうかと思えば、観光地と思しき所には、ポニーが引くお伽の国から飛び出した様なかわいい乗り物ある(P-12)。また、初めて見る人力遊具もあった(P-13)。これは、停車したまま遊ばせることができるアイデア商品だ。

P-11
P-11
P-12
P-12
P-10
P-13

次に、高速道路事情に移ろう。冒頭のアイム・ジャパンに行くのも高速道路を使った。ジャカルタを朝5時30分に出発して、着いたのが9時30分頃。途中サービスエリアで30分ばかり朝食を取ったが、凡そ3時間半も掛かっている。案内してくれた方の話だと、盆暮れに大渋滞を引き起こす日本の高速道路、その大渋滞が毎日発生しているのがジャカルタの高速道路だという(P-14)。とにかく車が多すぎる(殆どが日本車で、トラック以外ではSUVなどの新車が多い)。片側4車線を5車線として走る様は、集団暴走族かと思うほどだ。あおり運転大好き運転手は、ぜひジャカルタの高速道路にチャレンジしていただきたい。思う存分あおり運転ができるはずだ。ただ、周りも半端ではないことを覚悟の上で、だが。

また、高速道の渋滞がどれほど酷いか、面白い商売がある。P-15は高速道路の中央分離帯のような所だが、ここに人が立っている。こうした人たちが結構いて、ノロノロ運転になったとみるや物を売りに来る。高速道路まで出張ってくるとは、その逞しい商魂には恐れ入る。そうかと思えば、今年開通したばかりの地下鉄(MRT)もある(P-16)。日本の円借款による事業で、車の混雑とは裏腹に、乗客は少なくゆったりと座れる。運行システムも日本のシステムが導入されているらしいが、これに乗り車窓を見ていると、この国の今が見えてくる。それは、猥雑とした開発途上の姿と急速に発展を遂げる姿が混在している姿である。

P-14
P-14
P-15
P-15
P-16
P-16

それは、市内随一の高さを誇るビルの最上階から市内を見渡すと良く分かる。P-17に見られるように中心街には高層ビルが立ち並び、今も建設ラッシュに沸いている。また、交通渋滞緩和の一環として、P-18の中央に一筋の白い構造物が見えるが、いま建設中のモノレールである。また、高速道路も至るとこでつくられている。さながら、列島改造論に沸いた昭和時代の日本を彷彿とさせる。ところが、そうした建設ラッシュのすぐ脇には、P-19の正面に写る未整備な平地もある。イスラム教徒の墓(土葬)だという。

そうした過去と未来が混在したジャカルタ市内をスモッグが覆っている様子は、日本企業にとっての視界の悪さを表しているように見えなくもない。思い過ごしであればいいのだが…。

P-17
P-17
P-18
P-18
P-19
P-19

ところで、中心市街地では日本食が意外と目についた。ホテル近くのスーパーでは、P-20に写っている様な寿司も売っていた。日本円に換算すると1000円前後で買える。地元料理のナシゴレンも口に合うし、食事の面では私好みの国であった。冷えたビンタンビールも美味かった!

P-20
P-20
P-21
P-21

さて、これまで簡単にジャカルタの実情を紹介してきた。こうした紹介ができたのも、今回お世話になった関係各位のお蔭である。お名前を出すことは出来ないが、お世話になった方々にこの場を借りて御礼を申し上げたい。

ありがとうございました。


【文責:知取気亭主人】


Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.