2019年11月20日
15日の金曜日、会社から帰ると、たくさんの郵便物に交じり、見慣れぬ派手なハガキが届いている。良く見ると私宛だ。宛名が薄いインクで印刷されているせいか、宛名よりも、黒枠で囲まれ黄色の地に18ポイントもありそうな大きな文字で書かれた、「親展」と「高齢者講習のお知らせ」が、これでもかというぐらい目立つ。恐らく、宛名が薄いのは、「高齢者の名前が目立たないように」という発送元の配慮なのだろう。また、黄色地に大きな黒文字としたのは、くだんの文字を目立たせて、ハガキの内容を一目瞭然にしたい、という意図もあるのだろう。そう考えると、もらってもさして嬉しくもないハガキだが、意図は間違いなく伝わったという事では、秀逸な書き方と言って良いだろう。
そんなどうでも良い事はさておいて、この種の“お知らせ”は遅かれ早かれ来るだろう、と思っていた。待ち焦がれていたわけではないのだが、「とうとう来たか」という感じがしている。というのも、来年(2020年)の春、70代になって初めての免許更新を迎えるからだ。4年前の更新の時、70歳を超えて迎える更新時の簡単な説明をしてくれていて、「例えゴールド免許であっても次回は時間が掛かる講習を受ける必要がある」という様な事を聞いていたからだ。確か、3種類の講習を受けなければいけない、とも言っていた。果たして、届いたハガキを見ると、確かに3種類の講習内容が書かれている。
講習内容として書かれているのは、①双方向型講義、②運転適性検査器材による指導、③実車による指導、の3種類だ。一方的に安全講話を聞いたり事故のビデオを見せられたりする、これまで受けてきた一般的な更新時講習と比べると、明らかに内容が違う。講習時間も2時間と書かれていて、これまでに比べ随分長い。ゴールド免許の場合で約30分ほどだったから、4倍も長いことになる。時間も長いし、初めて聞く講習内容ばかりで、一体どんな内容なのか気になる。そこで、ネットで調べてみた。
参考にしたのは、福井県警の「高齢者講習(2時間)のご案内」というサイトである。(http://www.pref.fukui.lg.jp/kenkei/kotubu/menkyo/koushu/koureisha/koushu(2h).pdf) それによれば、「①の双方向型講義とは、受講者の交通安全に関する知識や講習内容の理解度を確認しながら実施する」と説明されている。ということは、少人数で行うグループ方式の講習会らしい。ハガキに「完全予約制です」と注意書きされていたのは、出席者を確定しグループを編成する必要があるからなのだろう。ただ、“知識や講習内容の理解”とあるが、“質問と回答のやり取りの中で認知症をチェックする”という意図が透けて見えてしまうのは、年寄りのヒガミ根性なのだろうか。
それはさておき、次の「②運転適性検査器材による指導」に対応するものとして、目を中心とする運転適性検査が説明されている。「動体視力」と「夜間視力」、そして「視野検査」の三つの検査を実施して、加齢に伴う視覚機能の低下及び現状を認識するのだという。誰でも「車の運転でこれが衰えたら絶対ダメ」と即断できる、運転に必要不可欠な機能である。70歳を過ぎたら念には念を入れて、ということだろう。加齢による機能の衰えを自覚して事故を未然に防ぐ、という意味では、これはお願いしてでもやってもらいたい指導(検査)だ。勿論自信は大ありだが、「運転に支障なし」のお墨付きを願うばかりである。
最後の「③実車による指導」については、その名の通り実際に車を運転した上で、「運動機能に関する課題」と「記憶力・判断力に関する問題」を実施して、安全に運転するために必要な知識及び運転時の危険な癖などに関する指導を行う、と説明されている。最近、駐車場に止める時、駐車スペースの真ん中にまっすぐ止められなくなった、と嘆く友人が増えてきたが、こうしたことも運動機能の衰えなのだろう。私自身は「まだまだ!」と信じているのだが、果たしてどんな結果が出るのやら、一抹の不安が無い訳でもない。
ところで、ハガキには、先ほども書いた「完全予約制です」に続いて、「…ご希望の会場へすぐに予約をしてください」と書かれていて、「すぐに」の単語に下線を付けて強調している。通常の更新と違い、時間が掛かる上に少人数の講習となるため、1日に講習できる人数が限られ、混みあうことを予想しているらしい。また、高齢化と共に70歳以上のドライバーが増えてきている、ということも原因しているのだろう。
その「すぐに」の注意喚起に従い、18日の月曜日、幾つかある会場うちの一つ、民間の自動車学校に電話をしてみた。すると、受け付け可能な1月末までの予約では、1月10日を除いてすべて埋まっているという。聞くと、それぞれ6人が一組となり、午前と午後の2回しか行われないのだという。しかも、やるのは平日のみだというから、混みあう訳である。急いで県の運転免許センターに予約を入れて、希望日を確保できたが、いつまでこうした高齢者講習を受けられるだろうか。少なくとも後1回は受けたいと思っているのだが…。
【文責:知取気亭主人】
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