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知取気亭主人の四方山話
 

『まさか!』

 

2019年11月27日

人間、長く生きていると、時に「まさか!」とビックリ仰天するようなことに出くわすことがある。普通では有り得ない失敗を仕出かした時や、他人の思わぬ失敗や想定外の行動を目の当りにした時などだ。そんな時、「まさか!」が思わず口をついて出てしまう。動物の奇想天外な行動や能力などを見て、純粋に驚かされる時も出ることがある。ただ、そうした想像の域を超える出来事は、誰しも一度や二度は経験するものだが、滅多やたらとあるものではない。私の長い人生を振り返ってみても、そんな風に驚いたのは数えるしかなかった、と思っている。

ところが、滅多にある筈のないその「まさか!」を、僅か三日間に二回も発するという、驚きの体験をしてしまった。どちらも大事に至るようなものではなかったから良かった様なものの、今振り返ってみると、「まさか!」の言葉がぴったしの(?)、通常では有り得ない出来事であった。そこで今回はこの話題を書いてみたい。順序は後先になるが、まず後の「まさか!」から紹介しよう。

24日の日曜日、結婚40年を記念して出かけた旅行から、北陸自動車道を走らせ金沢に帰って来た。金沢市の東端にある金沢森本インターチェンジ(以降、インター)で高速道路を降りた。富山側から帰って来た時には、いつも使うインターだ。四つある改札口のうち、真ん中に二つ並んでいるETC使用可能レーン、その右側のレーンを使うことに決め、福井側からの合流車両がないか注意深くコース取りをして、目的のレーンに入った。レーン変更したのとほぼ同時に、前を走る白いハッチバックの小型乗用車が、降りているバーに近づいた。ゆっくりと近づき、やがてバーが上がり、白い車は通り抜ける。

当然、そうなるだろうと思っていた。ところが、バーは降りたままだ。その上、車の方も止まる気配がない。と、突然左にハンドルを切り、バーが車体の右側に僅かばかりだが当たっているにも拘らず、すり抜けるかのように走り去ってしまった。家内と顔を見合わせ、「まさか!」である。バーが上がらないということは、ETCカード未搭載か、搭載してあっても期限が切れているか、なのだろう。いずれにしても、明らかな違法行為だ。

唖然として逃げていく白い車を目で追う間もなく、今度は自分の車がバーに近づいた。ところが、バーは下がったまま上がらない。折れてはいないのだが、無理やり通り抜けた為故障してしまったのかもしれない。仕方なく、バーの前で止まった。すると、真横の小さなスピーカーから、「異常を検知しました。係員が行くまでそのままでお待ちください」とのアナウンスが聞える。言われたまま待つこと凡そ10秒、係員が直ぐにやって来た。素早い対応だ。

ハザードランプを付けて止まっているように指示され、私の車の後方に進入禁止のバーが下ろされた。これで前も後ろもバーが下ろされ、完全隔離状態だ。近づいてきた係員に我々が見た様子を説明すると、何やら事務所とのやり取りをし始めた。すると、我々の説明を納得してくれたのか、バーを手で持ち上げながら、前に車を出してくれという。課金されているかどうかだけ確認するらしい。ゆっくりとバーの前に出て停車すると、同時に、「課金を確認しましたので出発してください」との指示が来た。

妻が気付いて、「ドライブレコーダーに一部始終が写っていると思いますが…」と、情報の提供を申し出たが、「管理事務所にある監視カメラのモニターにハッキリと写っているから大丈夫です」と、丁重に断ってきた。その即答ぶりや手際の良さから想像するに、この手の違法行為は比較的頻繁にあるのかも知れない。対応が慣れている感じがするのだ。

それにしても、違法行為が目の前で、しかもあれ程堂々と行われるとは、本当に「まさか!」である。初めての体験だ。緊迫感は全くなかったが、まるでサスペンスドラマか映画を見ている様だった。そういう意味では、二回経験したという先の「まさか!」も、まるでドラマか映画だ。ただ、こちらはコメディーではあるのだが…。

22日の金曜日、結婚40周年の記念にと、休みをもらい娘夫婦の所に行ってきた。金沢を出るのが遅れたこともあり、娘たちのアパート到着が、予定よりもずいぶん遅れてしまった。お蔭で、ゆっくりする間もなく、近くに住む婿殿の実家に挨拶に行くことにした。娘と孫は別車で、私たち夫婦は婿殿の運転で行くことになった。今にも雨が降り出しそうな気配もあって、夕方の5時前だというのに、辺りはほんのりと薄暗い。

婿殿が運転席に、私が助手席に座り、家内の乗車を待つことになった。待つ間、久しぶりの再会で会話が弾み、話に夢中になった。やがて、助手席側の後部座席ドアが閉まる音がして、婿殿は、実家に向けゆっくりと動かし始めた。実家とアパートは徒歩でも5分ほどしか離れていないから、いつもなら歩いて行くのだが、今回は次の予定が入っていて車を使うことになったのだ。それがいけなかったのかも知れない。

車で僅か1〜2分、その間も夢中になって話し込んでいた。直ぐに実家に着き、車から降りた。ところが、家内が降りてこない。おかしいなと思いながら社内を覗き込んでみたが、薄暗いせいもあるのだろうか、人の気配がしない。アレッ、と思い、もう一度目を凝らして覗き込んだ。いる筈なのに、いない! それに気づいた婿殿、「お義母さんを忘れてきた!」、と大きな声を上げた。

そう、乗り込んだものと思っていた家内を忘れてきてしまったのだ。「一番大事な人を忘れて来たんじゃ、ダメじゃん!」の声を背に受け、直ぐに引き返した。引き返して直ぐに道端にたたずむ家内を見つけ、必死に婿殿と言い訳を並べたのは言うまでもない。


【文責:知取気亭主人】


お向かいの菊師匠によれば、今年の育ちは悪天候の影響で散々だという。大きくならず、綺麗に開いてくれない(これを“暴れる”と言う)らしい。
勿忘草(ワスレナグサと読む、奥さんごめんね!)

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