2019年12月4日
いよいよ師走、2019年も最後の月となった。教師そのものなのか、或いは師と崇められることの多かった僧侶なのかはこだわらないこととして、何時も落ち着いている師と呼ばれる様な人でも、昔から12月は、普段より忙しく走り回らなければならない月だったらしい。借金を始めとして、片づけられるものは全て年内に片づけて新年を新たな気持ちで迎えたい、そういう強い思いがあったからなのだろう。
「昔と違い今の教師は忙し過ぎる」と言われることの多い21世紀になった今日でも、そうした思いは変わらない。変わらない理由は、クリスマスよりも新年をより盛大に祝う、仏教などの東洋思想からきているのではないだろうか。いずれにしても、12月の声を聞くと、家でも会社でも、「身の回りをきれいにしなければいけない」という強迫観念じみたものが何となく湧いてきて、その他の月よりも妙に慌ただしく感じる。気が付かないうちに逞しい商魂に踊らされているのかもしれないが、毎年繰り返される。不思議なものである。
そんな何となく慌ただしさを感じ始めた、師走最初の日曜日(12月1日)、今頃の金沢にしては珍しく天候が良かったこともあって、出しっぱなしにしてあった扇風機をやっと、本当にやっと、片付けることにした。前から気にはなっていたのだが、いつも「そうだった、片付けなくっちゃ!」と思い出すのが晩酌をし始めてから、ということもあり、その度に「まっ、いいか」と先送りしてきてしまっていたのだ。不精癖がすっかり根を張ってしまっていたらしい。ただ今回の日曜日は、「いくら何でも、もう師走!」と我が身に言い聞かせ、重い腰を上げたという次第である。
扇風機の空箱を探しに行くと、同じ所にしまってあったセラミックヒーター(以降、ヒーター)が目に入り、こちらも引っ張り出してきた。脱衣所でヒートショックを起こさないためのもので、随分前から使っている。「いつもこんな時期だったかな?」と思いつつ、脱衣所に置いた。一昨日までは素足の方が気持ち良かったのに、とうとうスリッパが欲しくなってきたから、タイミングとしては良い時期なのだろう。しかし、いつもより随分遅い気がする。しかも、実際のところ、今でもヒーターが欲しくなるような寒さではない。ひょっとすると、少し厚みを増してきた肉布団のお陰?
そう考えた途端、ヒーターもそうだが、まだ炬燵も出していないことに気が付いた。いつも炬燵とセットで使っているホットカーペットも、だ。先にも述べた様に先週までは素足でOKだったから、今シーズンの冬は、(これまでのところ)例年に比べると随分と暖かいことが分かる。ただ、いくら暖かいと言ってももう師走、春から通している素足でいるのは、そろそろ限界の様だ。と言うことは、炬燵が恋しくなる季節が到来した、ということの合図でもある。そこで、私の足よりも先にみんなが集うところを温かく、ということでスリッパの前にまずホットカーペットを敷くことにした。炬燵はその後だ。
家内と二人で、畳の上にアルミの遮熱シート、その上にホットカーペット、更にその上にカーペットカバーを掛け、準備はできた。ダニハンター用に高温での試運転を始めると、堪らなく暖かい。冷たい足には離れがたい暖かさだ。この暖かさを実感してしまうと、誰しも動くのが億劫になってしまう。この上に炬燵が載ると尚更だ。炬燵を使っている時の、7人家族の我が家の様子を思い出してみた。炬燵に足を突っ込み、ドテッと寝て動かない様子は、殆ど“ゾウアザラシ”か“座敷ブタ”状態だ。勿論、それらの間には押しつぶされそうな子ブタも顔をのぞかせている。込み入ったぎゅうぎゅう詰めの状態だが、むしろその方が暖かく、全員が一層動こうとしない。ホットカーペットを敷きながら、そんな愉快な我が家の様子を想像していた。
やがて敷き終わり、持ち帰っていた仕事を片付けに二階に上がった。夕方になり、出かけていた息子家族が帰って来た。気が付けば外はもう暗い。そのためか気温が下がり、素足の足元からグンと冷え始めてきた。レッグウォーマーも使って頑張っていたのだが、とうとう我慢できなくなって一階に下りて行った。ホットカーペットのお世話になるためだ。
下りると、案の定、大きいのや小さいのがゴロンと横たわっている。しかも、気持ち良さそうに。完全に、日向ぼっこを楽しんでいる猫状態だ。彼らの幸せそうな顔を見ていると、頑張った甲斐があるというものだ。そして、いよいよ師走、という感じもしてきた。となると、早々に炬燵も出さないと!どこまでやるかは別にして、大掃除もしなくちゃ!
【文責:知取気亭主人】
お向かいの菊の花も、つい先日、来年のために片づけられた
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