2019年12月18日
今年も、公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン(以下、プラン)から「年次報告書」の小冊子が送られてきた。報告書の正式名を、「2019年度プラン・インターナショナル年次報告書 PLAN INTERNATIONAL ANNUAL REPORT 2019 2018/7〜2019/6」という(以下、報告書)。2018年7月から2019年6月までの、1年間にわたる活動報告書である。その報告書には、プランの活動目標として、「私たちは、子どもの権利が守られ、女の子が差別されない公正な社会を実現する」と掲げられている。そして、その活動としてどんなことを行うのか、具体的な内容が次のように書かれている。原文のまま転載する。
私たちは世界中の人々とともに、以下の活動を行う
1.子どもや若者・地域社会が、女の子や、疎外され弱い立場にある人々への差別の根本原因を断ち切り、変革できるように力づける
2.子どもたちが直面している課題に対し、私たちの知識や経験を生かして、地域や国・国際社会が政策や意識・行動を変えていけるよう促す
3.子どもたちや地域社会が、自然災害や紛争などの危機的状況に備え、対応し、困難を乗り越えられるようともに働く
4.子どもたちが、誕生から大人になるまで、安全な環境のもと、健やかに成長できるよう支える(原文のまま)
読んでみて如何だろう。心ある人ならば、グッと胸に迫る目標だろう。私も上記の理念や活動方針に賛同して、僅かばかりだが支援をしている。こうした目標のもと、プランではもう少し具体的なテーマを定め、そのテーマごとに支援をしていて、これまでに支援を受けた子どもたちや若者たちの数は、世界で1億人を超すという。報告書には7つのテーマが示されていて、例えば、@「子どもの健やかな成長のために」では、約1,879万人を支援したという。その他、A「誰もが質の高い教育を受けられるために」のテーマでは約1,371万人、B「子どもを保護するために」では約2,116万人、C「子どもや若者が社会変革に参加するために」では約1,028万人、D「女の子と若い女性の性と生殖に関する健康と権利を守るために」では約2,547万人、E「若者が生計向上の手段を得るために」では約485万人、そして災害などに対するF「緊急支援」では約1,430万人を支援している、と報告されている。これらを合計すると、先に書いた様に1億人を超えるのだ。凄い数である。
ところで、Fの「緊急支援」では、日本自身も支援の対象になっていて、勘違いしがちだが、実は支援している側ばかりではないのだ。2019年度に日本で寄付を募った緊急支援のプロジェクト数は4件で、そのうちの1件は「平成30年7月豪雨」緊急支援であった。支援の費用合計は約7,015万円、2,001人から寄付があったという。この支援の対象者数は1,600人、支援の内容は「『子どもひろば』の設置と学用品提供、心のケア研修などの実施」だったとある。それ以外の3つの緊急支援は、「アフリカ南東部サイクロン」、「インドネシア地震」、それと「グアテマラ噴火」だ。よく見てほしい、台風、地震、噴火どれをとっても、日本でも同じように大きな被害が発生する可能性が高いものばかりである。明日は我が身、ではないが、いつ何時支援を受ける側に回るかもしれないのだ。そういう意味では、日頃から支援をする側にいて、有意義な(他人の役に立つ)お金の使い方をしておく必要があるのではないかと思っている。
しかし、なかなかそう理想通りにはいかない。特に日本には寄付の文化が根付いていないのか、世界のプランの収益約1,092億円(1ユーロ122円で計算)に対して、日本のプランの収益合計(政府からの助成金を含む)は約35.5億円、僅か0.3%に過ぎないのだ。GDPで世界第3位だというのに、である。ところが、寄付以外になると、俄然気前が良くなってしまうらしい。最近でも、総理主催の「桜を見る会」に約52百万円もの税金が投入されたとして話題になっているが、昔よく言われた「生きた金の使い方」をしていないような気がしてならない。
その、2019年4月13日に開かれた安倍総理主催の「桜を見る会」、参加者は実に18,200人にも膨らんだという。我々が桜の花を愛でながら一杯やる、俗に言う「花見」と比べると、桁外れの人数だ。尤も、一国の総理が主催する会と、我々のものと端から比べてはいけないのかもしれないが、税金でご招待に預かったとなれば、文句の一言や二言、言いたくなるのが人情だ。今回の件で納得できない庶民は、私に限ったことではない。安倍内閣の支持率を下げるほど、大勢いる。しかも、参加者の名簿を破棄してしまったという、何となくの胡散臭さも、支持率の低下に拍車をかけているような気がする。
そこで、総理、というよりは政府に、内閣の支持率を上げ、しかも参加者も堂々と参加したことを公言できる、とっておきの方法を提案したい。会費制の「桜を見る会」にして、その会費の半分をプランへの寄付とするのだ。例えば、参加費を1人当たり1万円とすれば、今年の参加費合計金額は1億82百万円にもなる。参加費の半分5千円をプランへの寄付とすれば、寄付金は実に9千万円を超える。凄い金額だ。先にも書いた様に、日本の昨年度1年間(2018年7月〜2019年6月)の寄付総額は約35億円だというから、たった1日でその約3%を寄付できることになる。
こうすれば、安倍内閣の支持率が上がることは間違いない。好感度も確実に上がる。それも、日本ばかりでなく、世界中で上がる。安倍総理が主導して子どもたちの未来に心温まる支援をした、と大きく報道されるだろう。それは、集めた税金の中から助成したのではなく、自らのポケットマネーを出したことに、本気度を見るからだ。参加者の名前も堂々と出す。シュレッダーに掛ける必要なんて何もない。会費以上の寄付をすればなおさらだ。写真の横に寄付金額を書いてあれば、例え営業用に使おうと、誰もが大目に見てくれるだろう。ただ、余程の寄付金額でないと営業効果は期待できないとは思うが…。
冗談半分、本気半分で書いたが、同じお金を使うのなら、有意義な使い方をしたいものである。しかも、それが税金となればなおさらである。為政者の皆さん、頼みますよ!
【文責:知取気亭主人】
送られてきたプランの報告書
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