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知取気亭主人の四方山話
 

『今年もご愛読ありがとうございました』

 

2019年12月25日

早いもので、今年も残り僅かとなった。今年は、2003年から書き綴ってきたこの四方山話の中で、初めて元号が代わった年である。平成から令和へと引き継がれ、この先何年経っても必ず歴史に刻まれる、記念すべき節目の年となった。そうしたお祝いムードに溢れた一年であった一方、15号、19号の二つの台風により関東地方を中心に甚大な被害が発生し、改めて自然の猛威を思い知らされた年でもある。特に台風19号は、激しい雨により多くの河川を氾濫させ、日本中を熱狂の渦に巻き込んだラグビーワールドカップにも影響を与えてしまった。自然の猛威になす術なし、を実感した人も多かったのではないだろうか。そうした自然の荒ぶる猛威以外にも、ある意味台風以上に広く庶民の生活に影響を与える「消費税率のアップ」という強風が、10月、秋風と共に日本中に吹き始めた年でもある。

一方、世界に目を向けてみると、世界中が固唾をのんで見守っている米中による貿易戦争が、未だに続いていて、先行きが見通せないでいる。昨年から続くGDP1位、2位の大国によるチキンレースは、世界経済に暗い影を落とし、これに関わるアメリカの発表に世界中が一喜一憂している。株価もこのチキンレースに翻弄されている格好だ。もうひとつ、こちらは世界的な懸念とはなっていないものの、日韓摩擦も、双方にとって頭の痛い問題だ。お互いの経済にも影を落とし始めている。

どちらの問題も、お互いに落としどころを見つけようとしているのだろうが、解決の糸口すら見つけられないように見える。年明けには「晴れて解決!」となってほしいものだが、さてどうなることやら…。

こうして振り返ってみると、いつもの年と同じように、今年も悲喜こもごもの一年であった。そんな悲喜こもごもの中の印象深い出来事を、例年通り拙い狂歌で振り返ってみたい。

 

 平成に 代わり令和の 幕が開き 期する舞台は 平和安寧

4月30日をもって「平成」が終わり、5月1日、新たな「令和」時代の幕が開いた。情報源がネットであるため、不安は多少残るが、譲位によって元号が代わるのは202年ぶりだという。全てが自粛ムードに包まれていた前回の「昭和から平成」のときとは大きく異なり、今回は、平成天皇が健在なうちの代替わりとなったため、国中が祝賀ムードに溢れ高揚感に包まれた。令和幕開けの5月1日が今年限定の祝日になり、これまで通りの5月の連休と合わせ、最長で10連休の大型連休となったことも、高揚感に拍車をかけた。

そのため、旅行業界は随分と潤ったらしい。ただ、この連休を謳歌する人たちがいた一方で、連休返上で働かざるを得ない人や、暇は持て余しているのに使える金を持ち合わせていない人たちも多くいて、ここでも格差がクローズアップされることになった。不思議なことに、人手不足なのにも拘わらず、格差は一層顕在化してきている。そうした課題が山積している中での幕開けとなった令和の時代、この先どんな未来が待っているのだろう。万民が平和と安寧を実感できる世の中になってほしいものである。

 

 日韓は 野外迷路と 格闘中 俯瞰できずに 出口分からず

今年になって勢いよく燃え広がった日韓摩擦の火は、新たな年を迎えようとしているこの時期になってやや沈静化の動きも見え始めてはいるが、いまだにくすぶったままだ。徴用工問題や従軍慰安婦問題に端を発した両国のいがみ合いは、日本のホワイト国外しという外交手段によってますます混迷を深めていて、素人目にも出口が見えない様に映る。お互いの政権は、見事なまでに頑なだ。アメリカが強く懸念した軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を巡り、文在寅政権は失効期限(11月22日いっぱい)ぎりぎりになって、破棄決定の撤回を表明したが、“一挙に雪解け”という訳にはいきそうもない。

冷え切った関係は、韓国国内での日本製品の不買運動や、日本への旅行自粛などによって、お互いの経済活動にも大きな影を落とし始めている。本来は友好であるべき隣国同士、どこかのタイミングで和解しなければいけないのだが、その出口は当分見えそうもない。まるで、ヒマワリなど背の高い遮蔽物で造られた野外迷路と格闘している、子どものようにも見える。俯瞰できない故、出口が分からず右往左往している様は、今の日韓関係そのものである。

 

 多国籍 スクラム組んで ワンチーム 世界のハートに 見事なトライ

ラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会が、9月20日から11月2日までの44日間にわたり、北は北海道から南は九州熊本まで、全国12の会場で開催された。開催前は、盛り上がりに欠けるのではないかと心配していたのだが、開幕試合となった9月20日の日本−ロシア戦に日本が勝利すると、一気に盛り上がりを見せた。続いて行われた第2戦で格上のアイルランドに勝利すると、目標と公言していたベスト8進出がグンと現実味を帯び、にわかファンが一気に増えた。私もその一人だ。

最終結果はみなさんご存じのように、日本代表は優勝こそ逃したものの、目標としたベスト8進出を果たす快進撃で、日本国中にラグビーブームを湧き起こした。日本国内での盛り上がりがどれほど凄かったかは、毎年恒例となった新語・流行語大賞の候補として、「にわかファン」「ONE TEAM」「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」「笑わない男」「ジャッカル」と本大会に関連する言葉が五つもノミネートされ、そして「ONE TEAM」が大賞に輝いたことにも表れている。

大会終了後、国際統轄団体ワールドラグビーのビル・ボーモント会長は「2019年日本大会はおそらく過去最高のラグビーW杯として記憶されるだろう。日本は開催国として最高だった」と今大会の成功を称えた、と報じられている。来年の2020東京オリンピック・パラリンピックもそう賞賛されるように、盛り上がってほしいものである。

 

 消費税 上り専用 エレベータ 8に10階 次は何階
  消費税 大麻のごとき 魔力あり 一度やったら もう止められぬ

10月1日、安倍内閣発足の時の公約通り、消費税率が10%に引き上げられた。安倍内閣になって二度目の引き上げだ。消費税の歴史を振り返ってみると、最初に導入されたのが、竹下内閣の時で、1989年4月、丁度30年前である(3%)。その後、1997年4月、橋本内閣の時に5%に引き上げられた。そして、2012年6月、民主党の野田内閣の時に、「2014年に8%、2015年に10%に引き上げる法案」が可決された。それを受け、後を継いだ安倍内閣が、法案通り2014年4月に8%へ、そして2回の延期を経て、今回10%に引き上げた。30年を経て、3%→5%→8%→10%と3回の引き上げを実施していることになる。

こうしてみると、導入されて以降、一度も税率が下がったことはない。当然のことかもしれないが、上がる一方である。予算を取り仕切る財務省にとっては、数字が読める何とも有り難い税収になっているのだ。言ってみれば、政府にとっては一度処方してしまった劇薬の様なもので、恐らくもう止めることはできない。そればかりか、2、3年後には15%へと早くも次の議論が俎上に上るような気がしてならない。考え過ぎならいいのだが…。

 

 綱吉の 思い届かぬ 花見会 堤防よりも 人気地固め
  花見会 招待客は 蜂の如 忖度利かせ 安倍に群がる

年の瀬も差し迫った11月、桜にとっては季節外れのこの時期に、急に花見の話題がクローズアップされ、政界に嵐が吹き荒れている。総理大臣主催の「桜を見る会」をめぐる騒動だ。(初めて知ったのだが)税金を使って開く会なのに、国会議員の家族までもが含まれていた招待者の人選や、年ごとに招待者の数が増えてきていることなどをめぐり、常識とかけ離れていると非難の声が上がっている。また、安倍晋三首相の地元後援会関係者らが多数招待されていたことも、問題視されている。

更には、反社会的勢力の関係者が参加していたのではないかとの疑念もあって、招待者名簿をシュレッダーにかけてしまったとの答弁は、やましさがあったからこそではないか、と指摘されている。花見ぐらいやってもいいのだが、どうせやるなら自腹でどうぞ、と思う。3日の北陸中日新聞には「首相 疑惑残し幕引きへ」の文字が一面に踊っているが、データの改竄問題があったり、資料請求をすればほとんどが黒塗りの“のり弁だったり”、そして今回のシュレッダー疑惑と、どうも庶民には納得いかなことが目立つ。29日に死去した中曽根康弘元総理大臣だったら、何と言っただろうか。聞いてみたいものである。また、多数人が動き回ることによって堤防が強化される、そうした効果を狙って花見を奨励した言われる徳川綱吉は、最近の「桜を見る会」を草葉の陰でどんな思いで見ていたのだろう。

 

以上、気になった世情を切り取ってみました。我が身を振り返ってみると、お墓を静岡から移設したことなどもあって、個人的にも何やかやと慌ただしい一年でした。年とともに遅筆になる一方ですが、今年もヨレヨレながら、こうして何とか納めの四方山話を迎える事が出来ました。ただ、昨年も愚痴をこぼしましたが、テーマ探しに苦労していて、多くの方々から話題を提供していただいたり、窮余の一策として孫を引っ張り出したりと、何とも心もとない状態でした。改めて話題提供の関係各位に深く感謝申し上げると共に、迎える年も何卒ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

また、途中で諦めることなく続けて来られましたのは、一重に拙い文章にお付き合い下さる皆様のご声援・ご愛読の賜物、と深く感謝しております。本当にありがとうございました。皆様にとって迎える年が素晴らしい一年になりますように、そしていさぼう会員皆様のご多幸とご健勝を祈念して、四方山話2019年の締めと致します。


【文責:知取気亭主人】


皆さんに幸運が舞い込みますように!
皆さんに幸運が舞い込みますように!

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