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知取気亭主人の四方山話
 

『えらいこっちゃ!』

 

2020年3月25日

これまで幾度となく家内の提案を断っていた「WOWOW」視聴の契約を、先週、急遽申し込んだ。もう随分も前から頭の中でモヤモヤとしたものを感じていた、あるテーマのドラマを見たくなったからだ。同じテーマでも以前だったら金を払ってまで見る気がしなかったのだが、家内が無料で視聴できる期間に録画してくれたそのドラマを見た瞬間、ビリビリッとくるものがあり契約を即決した。というのも、ドラマを見たその日の前日、たまたま同じような内容が書かれた本を読んだばかりだったからだ。そのテーマとは「日本の財政危機」であり、それを扱ったドラマとは、「オペレーションZ 〜日本破滅、待ったなし〜」である。

以前から、素人なりに日本の借金の多さは気になっていた。GDPの2倍を超す借金(財務省資料、2019年:対GDP比237.5%)があると聞くだけで、単純に「この国大丈夫なのかな?」と心配になってしまうのだ。多くの国民もそうだと思う。随分前になるが、私と同じ大学出の二人の同級生と飲みながら、口角泡を飛ばしながらしている「日本の財政は破綻するか、しないか?」の喧々諤々の議論を、横で聞いていたことがある。大概はチンプンカンプンの議論で、方や“破綻する”、もう一方は全くの逆で“破綻はしない”であった。二人とも経済卒業で、経理・財務関連の役員だったからそれなりの見識や知識を持っている筈なのに、真逆の意見を持っていた。それほど予見が難しい問題なのだろう。ただ、繰り返しになるが、素人には、素朴な疑問として「借金、多すぎない?」と思えてしまうのだ。

以前からこの議論については、対立する意見があったことは承知している。そして多くの国民も、良く分からないなりに、“破綻する・しない”の持論、というか多くは「こうであってほしいな」という“希望的観測”を持っていたように思う。それは、膨張する国家予算や気の遠くなるような国債発行額がニュースの俎上に上る度に喧伝される、政治家や経済学者の討論を聴きながら、「そうだ、その通りだ」と、“破綻しない”という専門家の意見をなぞってきたものだ。私も、何となくだが、破綻はしないだろうと高をくくっていた。しかし、今回のコロナ騒動が与える世界の景気悪化を目の当たりにすると、日本経済に深刻な打撃を与えるのではないか、と急に不安になってきた。この騒動が“よもやの引き金”になりはしないか、と疑心暗鬼になっているのだ。

折しも、22日の北陸中日新聞に、藤巻健史氏が書いた『日本・破綻寸前 自分のお金はこうして守れ!』(幻冬舎、2020)の広告が、大見出しで載っていた。そこには、キャッチコピーとして「新型コロナをきっかけに、日本経済に何が起こるか?」の文字が躍っている。正に、私の不安そのものである。当初は、今回の騒動でこれだけ人の動きが制限され、これ程景気が冷え込んでくるとは思いもしなかった。しかも世界規模で、だ。恐らく、破綻しない派のシナリオにはあり得ない前提条件だと思う。

破綻しない意見の根底にあるのは、「日本国債を買っているのは殆どが国内の投資家であるから日本国債の暴落は起きない→破綻しない、しかも借金とほぼ同じ額の個人や企業の貯蓄がある→破綻しない」という論理だと承知している。貯蓄に関して言えば、良く「○○歳で平均貯蓄額△百万円」などの統計データが出るのだが、「貯蓄ゼロ所帯が▼▼%」など貯蓄どころではない世帯がかなりある情報もあり、肌感覚としては実態とかけ離れているのでは、と疑問に思っている。また、「日本人の貯蓄率は以前ほど高くはない」との調査結果もあって、破綻しない裏付けの一つとなっている“国民の総貯蓄額”は、実際のところ減ってきているのではないか、と思い始めている。

PRESIDENT Onlineの記事『なぜ日本の貯蓄率は韓国より低くなったか』には、経済協力開発機構(OECD)の調査データを基にグラフ化した1990年以降の「主要国の家計貯蓄率の推移」がある(https://president.jp/articles/-/29440)。これを見ると日本は、20世紀まではまだそこそこの貯蓄率であったものが21世紀に入った途端に低下して、比較対象のドイツ、イタリア、韓国、スウェーデン、米国を含めた6か国の中で常に最下位争いをしている状態だ。特に、2014年には唯一マイナスを記録していて、貯蓄を取り崩して生活している実態が浮かんでくる。そうなると、「借金とほぼ同じ額の個人や企業の貯蓄がある→破綻しない」の図式は成り立たなくなるのではないか、と不安に思うのは自然の流れだろう。

では、破綻するとどうなってしまうのだろうか。行政サービスの質が落ちるのは、ギリシャやアルゼンチンなど、過去に破綻した国の惨状を知れば、ある程度想像はできる。ただ、文字やニュース映像では、悲壮感は伝わりにくい。そこにいくと、ドラマは違う。臨場感があって、自分事として捉えることができる。そう思ってくだんのドラマを見たのだが、第1話に出てきたのは、厚生年金の大幅なカットである。受給高齢者がカットに猛反対し、警察によって強制排除される姿を、身につまされる思いで見た。22日の第2話では、医療保険制度が破綻した場合の様子が描かれていた。具合が悪くなった我が子を診てもらうだけで100万円の初診料を請求されている、若い父親の姿があった。そして、そこにはクレジットカードも使えない現実が描かれている。街中がゴミで溢れ返るシーンもいずれ出てくるのだろう。

もしこれらが現実のものなったら、「えらいこっちゃ!」である。しかも、コロナ騒動によって世界の景気は日増しに悪化するばかりで、この状況が長引けばひょっとするとひょっとしてしまうのではないか、と不安は増すばかりだ。天が落ちてくるほどの心配事ではないにしても、杞憂に終わってくれれば良いのだが…。


【文責:知取気亭主人】


季節は春なのに…
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