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知取気亭主人の四方山話
 

『本当にやるの?』

 

2020年4月15日

新型コロナウイルスの猛威がとどまるところを知らない。欧米で実施されている外出規制によって人通りが途絶えた街並みは、まるで戦時下だ。米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、日本時間15日午前7時の時点で、感染者数は世界全体で200万人の大台に迫り、死者も12万人を超えたという。単純計算で致死率は6%を超えることになり、毎年流行するインフルエンザ(0.1%とも0.03%とも言われている)に比べて遥かに高い。世界各国が戦時下と思える様な対応をしていることも頷ける。正しく怖がっている証拠である。正に新型コロナウイルスとの戦いの真っ只中、と言って良いだろう。

翻って、日本ではどうだろう。日本での感染拡大も増加の一途をたどっている。7日に発出された緊急事態宣言の対象となっている7都府県以外でも感染の脅威は増すばかりで、私の住む石川県でも感染者は100人を超え、とうとう13日の月曜日、県独自の緊急事態宣言が出された。ただ、そうした状況でもあるにも拘らず、諸外国の様に強制的な外出禁止令などは出されていない。現在の法令では、緊急事態宣言が出されても“自粛の要請”が精一杯だと言う。「日本政府の対応は手ぬるい」と戦時下並みの対応をしている欧米各国から懸念の声が上がっている、との報道もある。確かに、車がさほど減っていないパチンコ屋の駐車場を見たり、ナイトクラブやバーでクラスター発生との報道を聞いたりすると、それらの懸念も“さもありなん”と思えてくる。

そうした日本政府の対応や対策の中で、特に国内外から批判の的となっているのが、「アベノマスク」と揶揄されている「布マスク」の配布である。全家庭に2枚ずつ無償で配る、というものだ。その費用、郵送費などを含めて466億円だと言うからビックリである。緊急経済対策で1世帯あたり30万円の現金給付が盛り込まれたが、この布マスク配布の費用を転用すれば、155,333もの世帯に給付できる勘定だ。しかもこの布マスク、これを付けていたら確実に新型コロナウイルスには感染しない、という代物でもないらしい。だとすると、既に市民が手作りしている布マスクとどこが違うのだろう。

布マスク、我が社でも有志が作ってくれていて、既に多くの仲間が使用させてもらっている(私も頂いて助かっている)。また、孫娘も作り方を習ってきて、我が家でも作り始めている。配布する布マスクに特別な効能がない限り、こうした一般市民による手作りマスクでも、感染予防効果はそう変わらないのではないかと思っている。そう考えると、この“布マスク配布対策”、政府は本当に緊急対策として必要不可欠だと判断したのだろうか。経済対策を直ぐにでもしなければいけないのに、466億円もの無駄遣いと言われかねないこの対策は、そんなに優先順位が高かったのだろうか。良く分からない。

ところで、すべての世帯の手元に届くには、どれくらいの日にちが掛かるのだろう。もう配布し始めたというのであれば、せめて素早く届けてほしいものである。くれぐれも、緊急事態宣言終了後ということがないように願いたい。

しかし、(官僚も含めて)我が国の政権を担う皆さんは、「飢えて困った人がいたら、魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」という格言をご存知なかったのだろうか。出典として中国、ユダヤ、東南アジア、アフリカ起源など諸説あり、それだけ世界的な教えとして知られているこの格言、コーチングなどの本でちょくちょく見かけ、人材育成などの時に引用されているものだ。中国語では『授人以魚 不如授人以漁』(日本語の読み下し文:人に授けるに魚を以ってするは、人に授けるに漁を以ってするに如かず)と書き、「人に魚を与えると1日で食べてしまうが、釣り方を教えれば生涯食べていくことが出来る」と老子が言ったとされている。私も老子の言葉として高校の時に習った記憶がうっすらとあり、「布マスク配布」のニュースを聞いた瞬間、パット頭に浮かんだ。格言と真逆のことをしたのではないか、と思ったのだ。

誰しもピンと来るとは思うが、配る“布マスク”はこの格言の“魚”に当たる。格言に習って言い換えれば、「布マスクを与えるのではなく、作り方を教えよ」となる。正に、正論ではないか。しかも、裁縫が得意で善意を持った人がいれば、我が社の仲間がそうであるように、政府の要請がなくても善意の輪は自然と広がっていく。作り方を覚えた自身の命どころか、提供することによって周りの人さえも救うことができる。この様に、よくよく考えれば、466億円も掛けて配布するよりも、テレビやネットで布マスクの作り方を伝える方が余程有効である、と思うのは私だけではないだろう。

しかも、外出自粛をしている人にとっては、作っている間は時間つぶしにもなるし、張り合いもできる。人によっては、チョットしたお洒落を楽しむことができるかもしれない。そう考えると、作り方を覚えた人が増えれば、ただ単に出来上がったものを配る政府の対策よりも、波及効果は遥かに幅広い。作ることによって、また手作りのマスクをもらうことによって、危機感もより醸成されるかもしれない。一歩進んで、そうした輪が広がることで日本の対応力を向上させることができる、と思うのは私のたわごとなのだろうか。

何度考えても、「本当にやるの?」と言いたくなってしまう。おかしいかなぁ…。


【文責:知取気亭主人】


会社の仲間による手作りマスク(左下の二つは子供用)不織布などのフィルターを入れるポケットもついている
会社の仲間による手作りマスク(左下の二つは子供用)
不織布などのフィルターを入れるポケットもついている

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