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知取気亭主人の四方山話
 

『経験を生かせ』

 

2020年7月8日

東京都の新型コロナウイルス感染者数が再び増加傾向にある。暫くは二桁台で推移していたのに、緊急事態宣言解除後に徐々に増え始め、先週の中ごろから連日三桁台を記録している。このままだと世界の趨勢と同様に再び急増するのではないか、と心配している。何しろ、世界の趨勢は、いまだに加速度的に増え続けているのだ。いつものジョンズ・ホプキンス大学の集計データによれば、日本時間の6月28日の夜に1000万人を超えた世界の感染者数は、凡そ10日経った7月8日には1180万人に迫っていて、1日当たり約18万人ずつ増えている勘定になる。死者数も54万人目前と、増加傾向に衰えは見られない。

増え方が一向に減らないのは、新たな地域で感染拡大しているためと、世界各国で“新型コロナウイルスの抑え込みと経済活動再開のせめぎ合い”をしているためだ。そしてそのせめぎ合いは、「新型」が示すようにこれまで経験した事が無いウイルスであるため、人類は制圧する術を持たず、極めて分の悪い戦いを余儀なくされている。極端な言い方をすれば、『孫子』の一節にある「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」の真逆を行かざるを得ない状況になっている(彼とは敵のこと指す)。

何事も、“経験がない”というのは辛い。敵の弱みや強みを知ることができないからだ。また、敵と交わった時の己の弱みや強み、そしてどんな武器が有効なのかも知ることができない。普通は、迫りくる難題にはこれまで経験して学んだことを総動員して対応を試みるのだが、この新型コロナウイルスに限らず、そうした難題に真正面から対峙し解決した経験がないと、上手く対応できないのが普通だ。それは、子供の成長過程を見ていれば良く分かる。成長過程の子供にとっては、とにかく初めて経験する事が多い。特に小さな子にとっては初めての事ばかり、といっても過言ではない。そこで親は、自活できる大人に育てるために、子供にできうる限り、生きていくために必要な経験を積ませることになる。

例えばツバメ。我が家のお隣さんに、毎年ツバメが巣を作りに来るガレージがある。卵からかえったヒナは、親から餌をもらい、やがて巣立っていくのだが、羽が生え親鳥と寸分たがわぬ姿形になっても、直ぐに巣立つという訳ではない。巣立つ前に、巣の中でまず羽ばたきの練習をする。羽ばたきの練習をし(経験を積み)、十分力強さが備わったと分かると、今度はガレージの中で飛翔の練習を繰り返す。そして、外に出ても十分飛び回れるくらいになって、やっとガレージの外に飛び出してくる。周りには天敵のカラスがいるから、親鳥もヒナも慎重なのだ。

それでも、ガレージから飛び出したヒナは、まだ飛び方がぎこちない。まだ体力がないのだろう。ぎこちなさが無くなり、親鳥と遜色ないほど俊敏に飛び回れるようになり、採餌にも困らないようになって、やっと南に帰る準備が整ったことになる。それまで親鳥が必死になるのは、子どもに経験を積ませることだ。人間風に言えば、自活できるツバメに育てることだ。そうすることが親鳥の責任だ、と刷り込まれているのだろう。ましてや、このガレージ、昨年だったかカラスに襲われてヒナが全滅したことがあるから、お隣さんによって襲われないような工夫を施してあるとは言え、親鳥の心配は半端ではないと思う。したがって、ツバメに聞いてみないとわからないが、他の仲間以上に厳しい経験を積ましているのではないか、と思えてしまう。

ツバメのことを例にとったが、人間はツバメ以上に経験がものをいう動物なのかもしれない。もう少し分かり易い言い方をすれば、初めて体験したことも次には直ぐに経験として生かすことができる動物だと言える。そういう意味では、今回の新型コロナウイルスによる感染症の被害拡大に対しては、今のところ分の悪い戦いを強いられてはいるが、分が悪い戦いながらも徐々に経験を積み、それを対策に生かそうとしている。実際、マスクに見られるように、既に経験が生かされている事例もある。

そう考えると、新型コロナウイルスも、もう少し立てば丸裸にされる時期が必ずくる。そうなれば、我々の戦いの分は格段に良くなっていく筈である。もう少しの辛抱だ。また、そうしたウイルスそのものに対する経験もさることながら、この騒動は日本にとってまたとない経験をさせてくれた、と思っている。行政や学校現場でのIT化の遅れが、明らかになったことだ。一部民間も含まれるかもしれない。これまで、従前のやり方で満足していた人たちも、「このままではいかん!」、「日本は世界に置いて行かれる」と気付かされた筈である。この気付きを経験として次に生かすチャンスを得た、と言えるのだ。

7月7日の日本経済新聞を読んでいて、特集記事「教育改革 危機が促す」欄に書かれている「文科相が絶句」の文字が飛び込んできた。ユネスコの会議で「最も遅れていることを改めて自覚した」というのだ。デジタル先進国に比べ20年遅れているという。

世界に冠たる技術立国日本、という日本人に心地よい言葉は、既に死語になりつつある。新しいことにチャレンジし、失敗や成功を経験してこなかった付けだ。このコロナ騒動の苦い経験を活かし、再び世界で輝くためには、しがらみや既得権益にどっぷりつかった岩盤規制を打ち破り、果敢にチャレンジしていくしかない。今がラストチャンス、なのかもしれない。

【文責:知取気亭主人】


夏です!ゴーヤです!
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