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知取気亭主人の四方山話
 

『敬老の国』

 

2020年9月23日

今年の9月21日は、敬老の日である。私もその対象になる年齢だが、周りを見回すとご同輩や諸先輩のなんと多い事か。それを裏付けるかのような驚きの発表が、9月15日、厚生労働省からあった。15日時点で100歳以上の高齢者が8万450人となり、初めて8万人を超えたというのだ。しかも50年連続で過去最多を記録したというから凄い。とりわけ女性が多く、全体の88%、約9割が女性だというから恐れ入る。

男性に比べ女性の方が長生きする秘訣は何だろう。家庭では男女とも同じような食事をしている筈なのに、平均寿命で6歳も違う(2019年で、女性87.45歳、男性81.41歳)。この地球上には圧倒的に多くの男性優位社会がはびこっていると承知しているが、どうやらそうやって威張っておれるのも体力があるまでで、敬老の対象になってしまえばからっきし意気地が無くなってしまうらしい。どんな男も、生まれてくる時も女性のお世話になり、亡くなるときも女性に看取られる。そう考えると、我々男性は、女性の掌の上で息巻いている孫悟空の様なものなのかもしれない。大阪のオバチャンに代表される様に、歳を取ると女性の方が圧倒的に図々しくなるからだ、なんて口が裂けても言いません。

と、そんな危ないネタは兎も角として、今回は、「敬老の日」にちなむ興味深い話を聞いたので、それを紹介したい。21日の月曜日、孫息子とドライブをしていた時のことだ。カーラジオから大竹しのぶの声が聞えてきた。NHKラジオ第一放送の「大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”」という番組だ。その中で、敬老の日が誕生するいきさつを話していた。「母の日」や「クリスマス」と同じ様にてっきり外国の風習を真似たものだ、と思い込んでいたら日本発祥だという。物真似ではないと知って、チョッピリ嬉しくなってきた。

大竹しのぶの話と、確認のために調べたネットからの情報(敬老の日の由来・起源:https://keirounohi.jp/keirouday/yurai/)を総合すると、「敬老の日」が誕生するきっかけとなったのはこうだ。1947年(昭和22年)、兵庫県多可郡野間谷村(現:多可町)で、「老人を大切にし、お年寄りの知恵を借りて村づくりに生かそう」と行われた“敬老会”が始まりだという。この時対象になったお年寄りの年齢は、何と“55歳以上”だったというからビックリだ。太平洋戦争敗戦直後だったとはいえ、当時の平均寿命が如何に短かったか良く分かる。公衆衛生も食糧事情も今と比べるべくもないほど劣悪だったことが、短命の原因だったのは確かだ。厚生労働省の資料によれば、当時の平均余命は、男性50.06歳、女性53.96歳とある。村に集まったお年寄りの基準にも達していないのだ。だとすると、当時の55歳以上とは、現代の100歳以上と同じくらい目出度い事だったのかもしれない。

少し横道にそれた。本題に戻そう。この時敬老会を開催した日付は、いわゆるハッピーマンデー制度が実施されるまで「敬老の日」となっていた、9月15日だったという。この「9月15日」という日は、農村だけに“気候が良くて農閑期であること”が大きな選定理由で、それに加え、「養老の滝伝説」なるものがあって、それにも基づいているらしい。この敬老会の取り組みは、やがて小さな村から県へ、県から国へと広がり、ついに1966年(昭和41年)に国民の祝日に関する法律が改正され、「敬老の日」と定められることになる。そして、今から17年前の2003年(平成15年)、ハッピーマンデー制度の実施によって9月の第3月曜日に変更され、今年は21日がその日になった、という訳である。

面白いのは、その呼称の変遷だ。初期の兵庫県などは「としよりの日」としていたと言い、また国民の祝日に関する法律が改正される以前の1963年(昭和38年)には、老人福祉法によって「老人の日」として制定された歴史があるらしい。どちらの呼び方も、確かに間違いではない。しかし、心地良い響きではない。敬意が伝わってこないのだ。当事者になって初めて理解できることだが、多少なりとも敬意が感じられると嬉しいものである。そういう意味では、今使われている「敬老の日」は耳に心地よい呼び方だと言える。

ところで、55歳に驚かされた高齢者の定義だが、国連の世界保健機関(WHO)では65歳以上とされていて、日本でも65歳以上が一般的だ。ただ、高齢化が進んでいる日本では、75歳未満を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼び、分けている。当事者としては、どちらもあまり心地良い呼び方ではない。3年ほど前に、日本老年学会と日本老年医学会が提言した呼び方もそうだ。65〜74歳を準高齢者、75〜89歳を高齢者、90歳以上を超高齢者と呼ぼう、との提言だ。さしずめ私は“準高齢者”ということになるのだが、何やら、高齢者への登竜門試験があって、合格していない人を準高齢者、合格している人の中で目立って健康な人を超高齢者と呼ぶ、なんて感じがしないでもない。

そうした呼称は、行政の考え方が如実に表れるものだ。子供や現役世代が夢をもって安心して暮らしていけることは勿論だが、そのためには老後の事を心配せずに済む国になる、そうした考え方を基本に据えるべきだと思う。そして、働き盛りの人たちが野間谷村の様に「お年寄りの知恵を借りて国づくりに生かす」、そんな「敬老の国」になってほしいと願っているのだが…。菅さん、お願いしますよ!

さて、いつものように、最後にジョンズ・ホプキンス大学集計による新型コロナウイルスの感染状況を記載しておく。日本時間9月23日午前3時の時点で、世界の感染者数は3,141万人に、死者数は97万人に迫って来た(NHK NEWS WEB)。ようやく、巷ではワクチンの話題が大きく聞こえ始めた。期待して良いのだろうか?

【文責:知取気亭主人】


ニラの花
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