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知取気亭主人の四方山話
 

『貧困、飢餓、不平等』

 

2020年10月14日

このコロナ禍でどうなることかと心配していた今年のノーベル賞、今月に入って各賞が相次いで発表になり、新型コロナに負けなくてよかったと胸を撫で下ろしている。残念ながら日本人の受賞はならなかったが、受賞された各位には、心より拍手をお送りしたい。人類の発展と平和のために、これからも研鑽を積んでいただきたいと切に願っている。ところで、今年のノーベル平和賞は、名前の挙がっていたWHOやスウェーデンの少女グレタ・トゥーンベリさんではなく、紛争地域などで食糧支援活動をしている世界食糧計画(WFP:World Food Programme、本部ローマ)が受賞した。その結果、このコロナ禍における世界の貧困が、思わぬ形でクローズアップされることとなった。

10日の北陸中日新聞(以下、新聞)によれば、ノルウェーのノーベル賞委員会による授賞理由は、「被災地域や紛争地域で食料支援を行う事によって、人道支援やさらなる紛争の予防に貢献している」とのことだという。WFPは、国連が採択した持続可能な開発目標(SDGs)の一つである「飢餓をゼロに」の活動に取り組む主体組織でもあり、昨年は88カ国で1億人近くの人々を支援したという。しかし、新聞によれば、国連の報告では世界で飢餓に苦しむ人は、2019年時点で約6億9千万人もいるという。WFPの懸命な活動にも拘らず、支援はまだまだ足りないのが実情だ。

しかも新聞には、今年はコロナ禍によって最大1億3千万人が新たに飢餓に陥る可能性がある、とも書かれている。合わせれば8億2千万人だ。世界の人口は2019年の推計で77億人とされていて、9人に一人が飢餓に苦しんでいることになる。幸せなことに、私自身は、今もそしてこれまでもそうした経験はない。しかし、世界を見渡せば、極度の貧困により飢餓状態にある人たちが、こんなにもいる。そして、かつて一億総中流社会と言われた日本でも、時々餓死のニュースが流れる様になってきた。10日の日本経済新聞の「春秋」欄によれば、日本の家庭やコンビニなどで毎日10tトラック1700台分もの食品が廃棄されるというのに、である。折しも、10月7日、世界銀行が「極度の貧困層」について推計データを発表したが、世界の繁栄は大きな格差も生じさせていることが浮き彫りになった。

世界銀行が発表した推計によると、1日1.9ドル(凡そ200円)以下で暮らす「極度の貧困層」は、今年、7億2900万人に達するという。1.9ドルという基準の根拠を詳しくは知らないが、1日200円だとして、1ヶ月たったの6千円、1年にしたところで7万3千円にしかならない。これでは、(日本に於いては、という注釈が必要なのかもしれないが)200円全てを食費に当てたとしても、1食あたり70円にも満たないことになり、満腹感を得ることは勿論、必要最低限の栄養を摂ることすら難しいのではないかと思う。特に、育ち盛りの子供には、極めて深刻な状況だと言える。

しかも、衣食住と言われる様に、生活に必要な費用は食べること以外にもある。子供にとっては教育も重要だ。健康もある。全てを自給自足することは不可能であるから、例えもう少し所得があったとしても、劣悪な生活を強いられるのは変わらないと思う。そうした実態があることを踏まえてのことだと思うが、世界銀行とは別に、国連開発計画(UNDP)による「多次元貧困指数(MPI)」と呼ばれる指標がある。世界の恵まれない子供たちへの支援を続けているWorld Visionのコンテンツ「貧困層とは?世界の貧困層の定義と割合を調べよう」によれば(https://www.worldvision.jp/children/poverty_17.html)、UNDPは多次元貧困層を「健康、教育、生活水準に関する加重指数のうち、少なくとも3分の1で貧困状態にある人々」と定義していて、こちらの方がより実情に近いのではないかと思われる。

その定義によると、2019年では全世界に13億人もの貧困層がいる、というから驚く。世界銀行の定義による「極度の貧困層」の約1.9倍と2倍近くもいて、何と世界の人口の6分の1にもなる。そして、そのうちのほぼ半数(6億6300万人)が子供であり、32%(4億2800万人)は10歳未満の子供が占めているというからいたたまれない。しかも、こうした貧困層は、開発途上国の多いサハラ以南アフリカや南アジアなどに集中しているとされていて、ここにも格差・不平等が歴然と存在していることが分かる。

SDGsには17の目標(その下に169のターゲット)があり、10番目に「人や国の不平等をなくそう」というものがある(1番目は「貧困をなくそう」、2番目が「飢餓をゼロに」)。この目標に則り、差別をなくすための取り組みがなされているが、達成のためには富を再分配する仕組みが必要とされている。世界経済は発展しているにも拘らず、貧富の差は拡大し続けているからだ。それを裏付けるかのように、国際労働機関(ILO)は、昨年の1月4日、世界で支払われている労働所得の半分を世界の僅か10%の人々が得ている、と報じている。
https://www.ilo.org/global/about-the-ilo/newsroom/news/WCMS_712234/lang--en/index.htm)。こうした不平等は、顕著になる一方だ。表題の貧困、飢餓をなくすには、この不平等を是正するしかない。それには「税の公平」が有効だとされているのだが…。

さて、いつものジョンズ・ホプキンス大学集計による感染状況を記載しておく。日本時間10月14日午前3時の時点で、世界の感染者数は3,796万人を、死者数は108万人を超えた(NHK NEWS WEB)。感染人口の多さ、致死率の高さは、医療格差の表れだと言えるかもしれない。先進諸国の中でも格差は確実に広がっている。日本も他人事ではない。

【文責:知取気亭主人】


蜘蛛にも飢餓って頻繁にあるのかな?
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