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知取気亭主人の四方山話
 

『おせち料理』

 

2020年12月2日

最近の新聞に入ってくるチラシは、ひと月ほど前に比べて、実に華やかなものが多い。クリスマスとお正月の、二大イベントが目の前に迫って来ているからだ。ほぼ毎日、我が家周辺の衣食に関する小売店から、たくさんのチラシが入ってくる。一瞥しながら片づけているのだが、さながら、年末年始商戦幕開けの様相を呈している。どの店も、この機を逃すまいとの思いを込めているのだろう。とにかく目を引く色使いの写真とキャッチコピーが紙面狭しと印刷されていて、このコロナ禍で落ち込んだ売り上げを少しでも取り戻そうとの思いが伝わってくる。こうしたチラシは、実は毎年恒例のことなのかもしれない。しかし、経済の落ち込みが叫ばれているだけに、年末年始商戦に掛ける期待の大きさの表れではないか、と思えてくる。

特に華やかなのが、食に関するチラシだ。ステイホームで、クリスマスを含め年末年始を自宅で過ごす人が多い、と踏んでいるのだろう。甘そうな(人によっては美味しそうというかもしれない)クリスマスケーキとおせち料理に関する予約のチラシが、新聞を開いた途端に目に飛び込んでくる。近くのスーパーマーケットのチラシを見てみると、本家本元であるスーパーの商品ばかりでなく、業務提携しているのであろうホテルなどが作っている商品も掲載されている。こんなところで業務提携しているとは、初めて知った。特に、おせち料理を提供する店は、ホテルに限らず、割烹や料理店などもあって、掲載されている数が多い。

実は、毎年自慢できるくらいのおせち料理を準備する我が家だが、今年はたくさん食べる料理は作るとして基本的には出来合いのやつを買おうと言う話が出ていて、どこのどんなおせち料理を買うか吟味している最中なのだ。そんなこともあって、決定権のない私でもやけに目に付いてしまう。しかし、改めてチラシを見ると、和、洋、中華、和洋折衷など、どれも美味しそうだ。それもそうだ。どれもそこそこの値段をしている。一万円ぐらいから、高いものになると十万円近くするものさえある。ただ、どれも少人数向けで、大家族の我が家には物足りない。二段重や三段重を複数個買えば良さそうだが、それでは懐が悲鳴を上げる。と言うことは、結局半分以上は作ることになるのではないかと思っている。私の好きな、なます、田作り、黒豆、筑前煮などなど、指折り数えていくと、毎年食している料理のほとんどが口を衝いて出てしまう。やっぱり、少しだけでもリクエスト出しておこう!

ところで、先日、おせち料理によく使われるある食材に見慣れない名前がついているのを、近江町市場で見つけた。その写真を最後に添付しておいたが、皆さんはこんな名前知っていただろうか。ニシンの腹子である“かずの子”は、通常「数の子」と書く。というかこれしか知らなかったのだが、近江町市場にあったそれは、「賀寿の子」と表記されている。料理に詳しい妻に聞いても、初めて見たという。ネットで調べてみても、手元にある『広辞苑 第四版』(新村出編、岩波書店、1992)にもそんな表記は載っていない。どうやら当て字を使った商品名らしいが、なかなか上手い、そして目出度い文字を当てたものである。

調べているうちに、「数の子」に関する別の面白い情報も知った。広辞苑の「数の子」の説明に、「鰊(かど)の子の意」と書かれている。別の国語辞典にも同じ説明文がある。そこで、「鰊(かど)」を引いてみた。すると、「(東北地方で)ニシンの称」と説明されている。どうやら「かどの子」が訛って「かずの子」と言うようになったらしい。このことは、“くまさん”なる人物が運営しているウェブサイト「かずのこ総合研究所 数の子チャンネル」にも書かれている(https://ameblo.jp/kazunoko-kuma3/entry-11739252616.html)。ただ、くまさんによれば、それも説のひとつで、よく聞く「卵の数が多いことからそう呼んだ」という説もあるらしい。また、上記サイトの説明によれば、漢字一文字で表す「鯑(かずのこ)」という書き方(国字)もあるそうだ。ただ、このサイトでも、「賀寿の子」という書き方はお目に掛かれなかった。

書き方と言えば、チラシを見ていて、おせち料理の漢字表記を初めて知った。てっきり“ひらがな表記”しかないと思い込んでいて、それを言ったら妻に半分笑われてしまったが、「御節料理」とか「お節料理」とか書くそうな。何で“御節”と書いて“おせち”と読むのか、気になって調べてみた。すると、意外なことが分かって来た。『おせち』とは平安時代に始まった『節供(せっく)料理』の意味で、五節供(節句とも書く)(元旦、ひな祭り、端午の節句、七夕、重陽の節句の五つ)に神様に供えた供物料理を指していたらしい。元々「御節供(おせちく)」と言っていたのが「おせち」と略され、やがて正月に用意する料理だけを指すようになったのだという。それは、江戸時代のことらしい。恐らく、重箱に入れるのも、入れる料理も、時代とともに変わってきているのだろう。だとすると、自宅で作らず出来上がったものを買い求めるという今どきのスタイルも、やがて主流になるのかもしれない。それを裏付けるかのように、2日朝のNHKテレビニュースでは、例年の1.5倍の売り上げがあるというお店も登場していた。また、変わったところでは取り箸を必要としないおひとり様用も紹介されていたが、コロナ禍とは言え、なんだか味気ない気がするのだが…。

最後に、いつものジョンズ・ホプキンス大学集計による感染状況を記載しておく。日本時間12月2日午前3時の時点で、感染者数は6,352万人を、死者数は147万人を超えた(NHK NEWS WEB)。

【文責:知取気亭主人】


正月らしい目出度い商品名だ
正月らしい目出度い商品名だ

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