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知取気亭主人の四方山話
 

『それでも雪は降る』

 

2020年12月23日

今頃の季節になると、以前カラオケでよく歌っていた、ある歌を思い出す。イタリア生まれのベルギー人歌手アダモが日本語で歌いヒットした、『雪は降る』である。北陸のどんよりとした冬の天候にピッタリの歌詞(作詞:アダモ、訳詞:安井かずみ)と、シャンソン風のメロディー(作曲:アダモ)が好きで、良く歌ったものだ。その出だしの歌詞は、「♪雪は降る あなたは来ない 雪は降る 重い心に…♪」と、(多分)切ない恋心を巧みに表現している。失恋でもしたのか、雪の降る寒い夜の街で来る当てのない恋人をジッと待っている、そんな情景が浮かんでくる。切ない情景だ。野暮な私でも堪らない。音も発てずに降る雪は、さぞかし重い心に応えたことだろう。

と歌の世界では詠い上げているが、現実世界の雪は、それ程ロマンティックなものではない。程よい降り方であればそんな哀愁を感じる人もいるのだろうが、豪雪地帯に暮らす人々にとって、そんな感傷に浸っている余裕はない。雪なんてもうこりごりだ、と雪に対して怒りすら覚える人も多い。今年で言えば、先週の前半から降り出した大雪で、上越自動車道と関越自動車道で長時間立ち往生した人達や、連日の雪かきで辟易としているこれらの山沿いの人達もそうだろう。新潟県と群馬県、そして長野県との県境付近が特に顕著で、例年雪の多い地域ではあるものの、12月としては記録的なドカ雪(ドカ雪:短時間に降る大雪)となっている。

年が明けてからの大雪は、ここ金沢でも何度か経験しているが、冬至(21日)前にこれだけ降ったのはちょっと記憶にない。19日の日本経済新聞に掲載されていた雪による車の立ち往生のデータで、2010年12月に福島県と新潟県の県境付近の国道49号線で約300台が被害に遭ったことがあるそうだが、調べてみると12月24日から26日に掛けての事だったらしく、やはり冬至前ではない。ただ、多少の日にちの前後はともかくとして、どうやら12月のうちにドカ雪が来ることはあるらしい。

しかし、ここ数年の日本の夏が尋常でない暑さなのに、対極の冬も尋常でない雪の降り方になるとは、地球は一体どうなってしまったのだろう。温暖化の影響は極端な気象現象を惹き起こすことはある程度承知しているが、今回の様なドカ雪は、どんな理論で説明でき、この先いつまで続くのだろう。そんな事が気になり出して、積読したままになっていたある本を読んでみた。川瀬宏明著『地球温暖化で雪は減るのか増えるのか問題』(ベレ出版、2019)である。変わった長いタイトルの本だが、私が抱いている疑問そのままのタイトルで、気になって買っておいたのだ。

ここ金沢では、2018年2月の上旬に1mを超える積雪を観測し、当時は「温暖化の影響でこんなドカ雪が毎年続くのか」と心配していたのだが、翌2019年も2020年の冬も、拍子抜けの様に2年続けて極端に雪が少ないシーズンとなった。日本海の海水温は温暖化により徐々に上昇していて、日本海上空を通る大陸の高気圧に大量の水蒸気を供給して大雪になりやすい、とはよく聞く。しかしだとすると、幾らエルニーニョ現象が活発で暖冬傾向になりやすいと言っても、2年も続いてこれだけ少ないとはちょっと極端すぎやしないか、また増えるのか減るのか一体どっちなんだ、というのが私の素朴な疑問なのだ。

いつの頃からか天気予報に登場し始めた北朝鮮と中国の国境にそびえる白頭山、大陸から吹く寒気がこの山で南北に別れ、日本海上空で再び合流して、合流付近の陸地にドカ雪を降らせる、との気象予報士の説明を聞くことが近年増えた。2018年、金沢がドカ雪に見舞われた時も、そんな説明を聞いた記憶がある。本書に依れば、そう言った現象を「日本海寒気団集束帯(JPCZ)」と言うらしい。このJPCZがどこで発生するかによってドカ雪の場所が決まってくるのだという。成程、である。

また、日本海の海水温と寒気団の温度差が大きいほど大雪なり、結果的に、海水がまだ冷え切らない初冬に多発するようになるという。寒気団の強さとの兼ね合いもあるが、確かにその通りだと思う。正に冬至前に高速道路での立ち往生を発生させた、先週のドカ雪がそうだったのだろう。本書の指摘通りになっている。では、肝心の「将来、雪は増えるのか?減るのか?」の問題に関しては、どうだろう。本書によれば、ほぼ確実に「ひと冬に降る雪の総量は減る」という。ただ、北陸地方などに降るドカ雪は…。

内容の紹介はこれぐらいにしておこう。続きは、手にとってどうぞ! 本書は、平易な文章で大変分かり易く書かれている。雪と縁のある方、興味ある方にはお勧めの本である。

さて、いつものように、最後にジョンズ・ホプキンス大学の集計結果を記載しておく。新型コロナウイルスによる世界の感染状況は、日本時間12月23日午前3時の時点で、感染者数が7,767万人に、死者数は171万人に迫っている(NHK NEWS WEB)。ここに来て、イギリスで感染力の高い変異種が急速に広がっているというニュースが流れてきた。これにより、欧州各国はイギリスとの国境封鎖に相次いで踏み切っているという。まるで映画を見ている様だ。ただ、WHOは、イギリス以外の5か国でも見つかっていて従来種より致死率が高いかどうかは確認されいない、と発表している。いずれにしても心配の種は尽きそうもない。

【文責:知取気亭主人】


ぼくは風船爆弾 「地球温暖化で雪は減るのか増えるのか問題」

【著者】 川瀬宏明
【出版社】 ベレ出版
【発行年月】 2019/12/25
【ISBN】 978-4860646035
【頁】 256ページ
【定価】 1,700円 + 税

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