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知取気亭主人の四方山話
 

『待ち遠しい!』

 

2021年2月3日

つい先日初詣したばかりと思っていたのに、早いものでもう2月である。新型コロナウイルス感染への気疲れもあって、何をするでもなく、あっと言う間にひと月が過ぎてしまった。例年だと未だに浮かれ気分でいる時期なのに、今年は一つの新年会もなく、呑兵衛としては痛く寂しい1月だった。もっとも、肝臓と懐にとっては優しいスタートとなったから、良かった事が無い訳でもない。しかしそうは言っても、やはりコロナ騒動が落ち着いてくれないといけない。慣れたとはいえ、何をするにしても、気を遣うからだ。兎にも角にも、終息宣言が待ち遠しい!

待ち遠しいと言えば、今回の四方山話がアップされる前日(2月2日)の夜は、小さな子供たちにとって待ち遠しいひと時だろう。我が家の孫たちも、保育園や学童保育で、もう既にその待ち遠しい準備に取り掛かっている。節分、豆まきである。我が家では、私と長男が鬼役で、豆をぶつけられることになる。父親や爺がキャーキャー言って逃げ回るのが、堪らないのに違いない。その気持ち、良く分かる。私の息子たちが小さかった時から、今と同じ様に賑やかに楽しんできた。(鬼の面を被っているから)怖いながらも、親に向かって真剣に(大豆や菓子ではあるけれど)物を投げられる滅多にないことを、しかも怒られもせず出来るのだから、楽しくない筈がない。
 その節分、今年はいつもの年より1日だけ早くなったらしい。既に報じられている様に、今年は2月3日ではなく前の日の2月2日が、その日に当たるのだという。節分は、暦の上で春が始まる日とされる、二十四節気のひとつ立春の前日と決められていて、その立春が124年ぶりに2月3日になったため、節分も1日前倒しになったという次第である。ただ、正確に言うと、丸一日早くなった訳ではないらしい。

地球は太陽の周りを365日5時間48分46秒で回っていて、そして地球の自転周期も23時間56分4秒と24時間ピッタリではない。また、地球の自転軸は、公転軸に対して約23.4度傾いている。こうしたズレが、今回の立春のズレに繋がっているらしい。昼と夜の長さが一緒になる春分を基準に0度として、夏至は90度、秋分は180度、冬至は270度とする考え方の太陽黄経では、立春は315度に当たり、その丁度315度になる時間を国立天文台が計算し、発表している。太陽黄経については皆さんに調べていただくとして、国立天文台の「令和3年(2021)暦要綱(https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/yoko/2021/rekiyou212.html)」によれば、315度になるのは2月03日23時59分だという。たった1分ずれ込んだだけで、124年ぶりの珍事になった訳である。

ところでこの立春、この言葉を聞いただけで、何となく明るく、晴れやかな気持ちになるから不思議だ。もう少しで本格的な春が来る、と思わせてくれるからだろう。その前夜の豆まきで、鬼を外へ追いやった安心感もあるのかもしれない。それは冗談としても、言葉と共に、自然の草花から"厳しい冬とおさらばできる頃になって来た感"を感じられるからだろう。そんな"おさらば感"は、禅宗の風習でも感じられる。我が家は曹洞宗なのだが、曹洞宗には、立春の早朝に「立春大吉」のお札を貼り、一年何事もありませんようにと厄除けをする風習がある。我が家にも、以前お墓を置いていたお寺から送られた、「立春大吉」と「鎮防火燭」のお札を玄関に貼っている(本来は毎年貼り換えるのだが…)。こうした風習も、立春を一年の始まり、と考えていたからなのだろう。
 その一年の始まりである立春に、今年は私にも楽しみができた。待ち遠しい"ある物"が手に入るのだ。待ち遠しいと言っても、毎年同じ時期に手に入れて楽しんでいる物ではない。つい先日、とある店で"立春の日にしか手に入らない商品です"と書かれたパンフレットが目に止まり、ついつい大枚はたいて注文してしまったのだ。その"ある物"が、もう直ぐ手に入り、今日の夜には私の喉を潤してくれることになっている。と書けばもう察しは付いていると思うが、"ある物"とは日本酒である。立春の早朝に搾りあがった、火入れもしていない生原酒「立春朝搾り」を予約販売していたのだ。
 「立春朝搾り」をネットで調べると、「日本名門酒会」に所属する、全国44の蔵でしか造られていないらしい。その上、搾りあがったその日の夜に届ける仕組みのため、蔵元近郊でしか飲めない地域限定酒になっているという。呑兵衛は、こういう言葉に弱い。搾りたて、生原酒、地域限定、その日にしか手に入らない、呑兵衛の意地汚い心をくすぐる言葉が、"これでもか"と続く。しかも、その時のパンフレット(巻末写真参照)には、「無病息災」、「商売繁盛」、「疫病退散」とある。有難く頂戴すれば、きっとご利益があるに違いない。「疫病退散」もあることだし、コロナにも効くに違いない。あー、待ち遠しい!

さて最後に、いつものジョンズ・ホプキンス大学による新型コロナウイルスの感染状況の集計結果を記載しておく。日本時間2月3日午前3時の時点で、世界全体の感染者数は1億360万人に迫り、亡くなった人は224万人を超えた(NHK NEWS WEB)。第三波の勢いは、日本ばかりでなく世界的にも一向に治まる気配を見せない。今読んでいるコロナ関連本には、終息に至る三つのシナリオが書かれている。その三つのシナリオのいずれもが、このコロナ禍の影響が2022年まで続くというものだ。外れてくれれば良いのだが…。 

【文責:知取気亭主人】


「立春朝搾り」の注文書を兼ねたパンフレット
「立春朝搾り」の注文書を兼ねたパンフレット

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