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知取気亭主人の四方山話
 

『実感』

 

2021年4月14日

先週の木曜日(8日)、生まれて初めて、小学生の下校時を見守る交通安全活動に参加してきた。俗に言う旗振りである。我々爺婆が子育てしていた頃には無かったもので、小学5年生になった一番上の孫娘の、父兄活動の一環だ。これまでは息子夫婦がほぼ2カ月に一度駆り出されていたらしいが、4月から少し時間に余裕ができた私に出番が回ってきたという次第である。違う校下ではあるが、朝の通勤時には旗振りの方にいつもお世話になっていて、手慣れた誘導ぶりを見るにつけ、『いつかはやらないといけないだろうな』と思っていただけに、満を持してのデビューである。「安全パトロール隊」と書かれた黄色いジャンパーを着て、黄色の帽子をかぶり、「横断中」と白く書かれた黄色の旗で、横断歩道を渡る小学生の安全を守る大事な役目である。

11時20分から12時05分までの45分間が、見守る時間帯だ。私がデビューした4月8日は入学式の翌日ということもあって、新1年生は先生方が直接家に送り届けたり、学童保育所(以下、学童)に送り届けたりしていて、今回実際に見守ったのは2年生から6年生までの5学年の生徒である。学校に程近い、信号がある交差点の横断歩道が私の管轄で、遠目ながら学校から出てくる生徒全員を見ることができる位置だ。しかも、坂の上に位置しているから、顔は見えないながらも、どちらの方向に歩いて行ったか、或いは曲がっていったか、全て把握できる好位置である。

指定の時間を少し過ぎた辺りから、少しずつ下校し始めた。校門から私が立っている所迄距離にして70〜80m程。遮蔽物はなく、一直線に伸びた歩道が良く見える。目を凝らして見ていると、生徒の多くが、私の方に向かってくる途中で左右に分かれて行く。授業終了と共に急いで駆けつけてくれた孫娘の話だと、『左右の方向にそれぞれ学童があって、あの子たちは恐らく学童に行く子たちだと思う』と言う。孫娘もそうだったが、共稼ぎ世帯が如何に多いか、まさかこんなところで実感させられるとは思わなかった。実感したと言えば、もう一つ実感させられたことがある。子供の少なさ、いわゆる少子化の深刻さである。

もう一度下校時の様子に戻ると、学校を出た生徒は、前述した左右と、私の立っている方向、そして私とは逆の坂の下へと向かって行く方向の、都合4方向に散っていく。その他に行く道はない。したがって、ほぼ均等に帰るとすれば、全校生徒の約1/4は私が立つ場所を通る筈である。ところが、指折り数えられるほどの人数しか通らない。途中で数えるのを止めたが、恐らく20人そこそこだったと思う。実は、私が旗振りをした横断歩道の先には大きな団地が三つもあって、かなりの数の住宅がある。恐らく500軒はくだらないだろう。指定された通学路以外の道、長男たちが良く言っていた「つうやぶ(通学路破り)」をしている子がいるにせよ、50〜60人くらいは通ると思っていただけに、あまりの少なさにビックリだ。

全校生徒で500人前後だというから、小規模学校であることは間違いないのだが、それにしても帰宅先の住宅数からするとあまりにも少ない。少子高齢化の極みのような現象だ。それは、我々の町会や班が直面する課題でもある。今回の旗振りを四方山話のテーマと決めた時、班の現状をつとつと思い返して、愕然とした。我々の班は14軒あるのだが、そのうち中学生以下は、我が家の3人を含めて僅か5人しかいない。私たち夫婦が子育てしていた頃は一番多い時で15人もいたのに、である。今はその当時の4割にも満たないのだ。

赤ちゃんの泣き声も聞こえない。幼児の元気な遊び声も聞こえない。こうして四方山話を書いている火曜日の昼も、辺りは静かなものである。改めて、少子化を実感している。コロナ禍の影響が多少はあるのかもしれないが、高齢者が多く、活気という文字とは縁遠い町会になってしまっている。地域に活気があればこそ、「こうもできるかも?」とか「そうもできそうだ!」などと、前向きな発想が出てくるものだが、年寄りばかりだと地域は沈滞化する一方だ。まるで、日本の縮図を見せられている気がする。

「2050年には日本の人口は1億人を切る」との推計がある。遠い先に聞こえるが、僅か30年後である。あっと言う間に来る。今のワクチン騒動で、改めて高齢者(65歳以上)の多さに愕然としている国民も多いと思うが、少子高齢化は国家経済の沈滞化に通じるものだ。国全体の購買力も購買意欲も落ちるからだ。ところが、国家の浮沈に係る問題だというのに、政治家の先生方の興味はそんなところに無いらしく、選挙資金にと1.5億円も支援を受けたご夫婦もいた。その多くは、血税の政党助成金だ。そんなことに使うぐらいなら、国家の100年先、200年先を憂い、「国の宝」と言われた時代もあった子供たちをいかにして増やすか、その施策に税金も頭も使うべきだろう。そうしないと、いずれ日本は本当に沈没してしまう。旗振りをしながら、そんなことを考えさせられた一日であった。

最後に、いつものジョンズ・ホプキンス大学による新型コロナウイルスの感染状況の集計結果を記載しておく。日本時間4月12日午前3時の時点で、世界全体の感染者数は1億3562万人に迫り、亡くなった人は293万人を超えた(NHK NEWS WEB)。欧米ではワクチン接種の効果なのか、やや沈静化の様子がうかがえる様だが、日本は相変わらずだ。そんな中、13日の火曜日、大阪で新規感染者が初めて1,000人を超えたという。三度緊急事態宣言が発出されるのも、そう遠くないかもしれない。ヤレヤレだ!

【文責:知取気亭主人】


シャクナゲ
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