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知取気亭主人の四方山話
 

『香味野菜』

 

2021年9月29日

あまり自慢できた話ではないが、今の僕は殆ど料理をしない。味噌汁やチャーハンなど、昔は多少台所に立ったこともあるから全くできない訳ではないが、最近はもっぱら食べることに専念している。結婚以来腕を振るってくれている妻をシェフとして、長男夫婦もそれぞれ得意料理に腕を振るってくれているので、包丁さばきの心許ない呑兵衛親爺など、出る幕はないのだ。特段、「男子厨房に…」にこだわっている訳ではない。むしろ、「大きいのがいるとかえって邪魔!」ということもあって、気配り上手な僕としては、出しゃばらない様に気を使っている。ただ、料理をしない割には、食レポには気配りできないというわがままな面も持ち合わせている。そんな僕が最近食欲増進剤として再認識しているのが、妻が良く使ってくれる香味野菜である。

料理が得意な人には釈迦に説法だが、香味野菜、ポピュラーなところでは、紫蘇、生姜、にんにく、茗荷、長ネギ、三つ葉、韮、パセリなどが、味を引き立てるために良く使われている。パクチーもある。我が家も比較的よく使う。そこで、割と多くの種類を、猫の額ほどの庭で僅かずつだが収穫できるようにしている。長ネギ、三つ葉、韮、茗荷、パセリ、バジル、ミント3種類、そして青紫蘇、いわゆる大葉が採れる。

茗荷は植えた訳でもないのに自生してくれたし、三つ葉、青紫蘇は移り住んだ時に種を撒いて以来放っているのに、庭の至る所から芽を出し、毎年そこそこ収穫できている。お蔭で、そんなに多くはないが、それでも収穫する喜びと食べる喜びを楽しませてもらっている。家で消費するのに丁度良い位の量だ。自然任せでない他の長ネギなどは、苗を植えたり株分けをしたりして、プランタと小さな花壇で栽培している。いずれにしても、自宅の庭で採れるというのは有り難いことで、必要な時に調達でき、その分食卓を彩る頻度も高くなる。

我が家では、これら香味野菜の多くは、冷ややっこ、冷やし素麺、ざる蕎麦など、夏の冷たい料理の薬味として大活躍している。ホンのひとつまみ加えるだけで、味が引き立ち、食欲を増進させてくれる。特に今年は、青紫蘇が大活躍している。毎年バッタの食害にやられるのだが、今年は意外と被害が少なく、長い期間収穫できていることもあって、色々な料理の主役や脇役として食卓に上っている。

一番頻度が高いのは、何といっても薬味としての登壇だ。夏の休日の昼食に食べることの多い、“冷やし素麺”や“ざる蕎麦”、或いは最近俄然人気が高くなった“おろし蕎麦”の薬味として、長ネギ、もしくは生姜、或いは茗荷などと一緒に青紫蘇が添えられるのが、我が家の定番だ。これに“下ろした生山葵”があれば最高だ。暑さで落ちた食欲も、刺激的な辛みと爽やかな香りで一気に蘇る。

次に良く食卓に上っているのが、甘辛く味付けした胡桃入りの味噌を青紫蘇で巻き、これを油で揚げた、「紫蘇巻き」である。僕も妻も静岡に住んでいた頃よく食べた懐かしい味で、ご飯のお供に、酒のつまみに、どちらにも合う逸品料理だ。妻の大好物でもある。胡桃味噌の味と食感に加え、口から鼻に広がる青紫蘇の爽やかな香りが堪らない。食したことの少なかった長男の嫁も、今では大好きな一品となっている。下準備に手間暇掛かる料理だが、いつも妻がせっせと作ってくれる。月曜日(27日)も、(買ってきた青紫蘇だったが)半日余りかけて、黙々と100個余りも作ってくれた。根気のいる作業だが、冷蔵庫で保存すればひと月ぐらいは作り置きが利くので、これでしばらくは楽しめる。有難い!

「紫蘇巻き」には使えない小さな葉っぱや、多少傷んだ葉っぱも、使い道はある。良く乾燥させて保存しておくのだ。これを揉みつぶしてご飯に混ぜれば、「大葉ご飯」の出来上がりだ。日曜日(26日)の夕食に出たが、大人は勿論、孫らにも大好評だった。他の香味野菜は癖が強く小さな子供には苦手なものが多いが、青紫蘇は、辛みも苦みも殆どなく、ほんのりと匂う爽やかな香りが、万人好みとなっているのだろう。その爽やかな香りは、葉ばかりでなく花や実にもある。

花は、最近の我が家では使わなくなったが、旅館や割烹などでは刺身の“つま”としてよく使われている。彩も良い。その花が終わり暫くすると、今度は小さな実を付ける。その実を枝から丁寧に取り外し、塩漬けして置くと、色々なものに混ぜて風味付けとして使え、大変重宝する。ごはんに混ぜるもよし、漬物に添えるもよし、僕は大好きだ。ただ、「紫蘇巻き」同様、下準備が大変なのだ。枝から小さな実を取り外すのに手間暇が掛かる。親指と人差し指で軽く挟み、こすり取るように取り外すのだが、意外と根気がいる。26日の日曜日、親指の爪を真っ黒にして、久しぶりに作業を手伝った。台所に立たない僕としてのせめてもの参加の仕方だったのだが、作業中に顔を出して来たシャクトリムシやカメムシ、青虫や名前も知らない虫たちの処理係として活躍の場があったことは、横で見ていた孫たちに何とか香味野菜位の存在感を示せたのではないか、と内心安堵している。さてどんなもんやら…?

最後に、いつものジョンズ・ホプキンス大学による感染状況の集計結果を記載しておく。日本時間9月28日17時の時点で、世界全体の感染者数は2億3234万人に、亡くなった人は476万に迫っている(NHK 特設サイト 新型コロナウイルス:※1)。

(※1:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/

【文責:知取気亭主人】


百日紅の実?、ではない。冬瓜
百日紅の実?、ではない。冬瓜

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