いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
知取気亭主人の四方山話
 

『ブラックフライデー』

 

2021年11月24日

僕は、買いたいモノが無いのに、買い物に出かけることは基本的にしない主義だ。と言うよりは、当てもなく見て歩く、ウインドウショッピングが苦手なのだ。ただ、全くしない訳ではない。特に観光地などに行った時などには、土産物探しをしながらあちこちの店を見て回ることもある。そんな時、まだ味わったことのない酒や酒の肴になりそうな食材を見つけると、つい衝動的に買い込んでしまう。思い返してみると、チョクチョクある。旅行に出ると気が大きくなって、どうも財布の紐が緩んでしまうらしい。「酒にだらしない」とも言えるのだが、こればっかりは、「買い物の中でも例外」と言い訳しておいた方が良さそうである。しかも、根治は難しい。

ところで、財布の紐が緩むと言えば、「○○%引き」とか「●●バーゲンセール」、或いは年の初めに行われることの多い「福袋」など、お得感のある言葉に我々庶民は弱い。特に、「今だけ」とか「○○日まで」、或いは「先着△△名様まで」などの、呪文のような常套句が付くと、このチャンスを逃したくないとの強迫観念に駆られるのだろう、財布の紐は一挙に緩くなる。そうした消費者心理は、最近流行りのネットショップでも言える。「◆◆セール」とか「ポイント◎倍」の文字を目にすると、マウスのクリック回数はうなぎのぼりに増える。そして、「セールが始まる迄」と買い控えていた品を、この時とばかりに購入することになる。結局、財布の紐は緩んでしまうのだ。

そんな財布の紐を緩ませる“お得感のある言葉”の仲間に、最近(というか僕が最近になってやっと“謂われ”を知ったばかりなのだが)、聴きなれない新たな言葉が加わった。「ブラックフライデー」である。買い物好きな人は既に知っていたかとは思うが、僕がその言葉を知ったのは、昨年のことだ。家の近くにあるイオンに出かけた時、たまたま「ブラックフライデー・セール」に遭遇したのだ。店内に吊るしてあるセールを知らせるチラシを見ても、何のことだかさっぱり分からなかった。近ごろ段々派手になって来たハロウィーンと同じで、「また外国かぶれか!」としか思わなかった。特に買いたい品があった訳でもないから、何のことか調べもせず、そして今年である。

先週だったか、数年前から会員になっているネットショッピングのサイトから、「ブラックフライデー・セール」を知らせるメールが届いた。実際安くなっているのかどうかは分からないが、付与されるポイントが増えるらしい。「でも、クリスマスでも年末でもないのに何で今頃セール?」と不思議でならない。「そもそもブラックフライデーって、なあに?」である。そこで調べてみた。

ウェブサイトの「ビギナーズ」(https://www.rere.jp/beginners/32004/)によれば、「ブラックフライデー」とは、11月の第4木曜日(今年は25日)に行われる「感謝祭」の翌日の金曜日のことで、この日をきっかけにクリスマス商戦が始まるという。アメリカでは、感謝祭の翌日を(正式ではないものの)休暇にして、土日と合わせて4連休にすることが多く、小売店などでは大規模な安売りが実施されるらしい。そのため、小売店の販売員や交通整理を行う警察官が忙しくなり、皮肉を込めて「皆休んでいるのに休めない金曜日=真っ黒な金曜日」と呼んだことが発端だったという。その後、新聞社が“収支が黒字になる”という意味の「黒字の金曜日=ブラックフライデー」という解釈を示し、プラスのイメージが浸透していったらしい。『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば、1961年頃からフィラデルフィアで始まった比較的新しい言葉だという。

日本で広く知られるようになったきっかけは、イオンが2016年11月25日に大々的にCMを打ち出したことだという。5年前だ。これを聞くと、僕が初めてこの言葉を知ったのがイオンだったというのも頷ける。そして、何でも取り入れてしまう我が日本では、早くも定着しつつある様だ。商魂逞しいというか、お祭り好きというか、見境が無いというか、「SDGsに通じる、日本人の多様性を受け入れる懐の深さを垣間見ている様だ」とは、皮肉過ぎるだろうか。感謝祭をそっちのけにしている日本のブラックフライデーは、発祥の地であるアメリカの人々にはどのように映っているのだろう。聴いてみたいものである。

ところで、僕が会員となってるショッピングサイトでは、11月18日(木)の夜から始まったセールが11月23日の深夜2時直前に終了した。感謝祭翌日の第4ではなく、1週間前の第3金曜日を挟んでのセールになっていたのだ。これでは、結局「売れさえすれば“謂われ”なんかどうでもいい」ということではないか。と書いてはみたものの、実は、強くは言えないのだ。買い控えていた“自転車用ヘルメット”と“ダウンベスト”を買い、僕自身も財布の紐をすっかり緩めてしまったからだ。「浅いつもりで深いのが欲望」とは、よく言ったものである。それにしても、お得感を匂わせる言葉に弱いなぁ〜!

最後に、いつものジョンズ・ホプキンス大学による感染状況の集計結果を記載しておく。日本時間11月23日17時の時点で、世界全体の感染者数は2億5828万人に、亡くなった人は516万に迫っている(NHK 特設サイト 新型コロナウイルス:※1)。

(※1:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/

【文責:知取気亭主人】


部分月食(2021年11月19日(金)18時ごろ)
宇宙でも1週間早いブラックフライデー(?)

Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.