いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
知取気亭主人の四方山話
 

『自転車に乗る様になって感じた事』

 

2022年11月2日

先月の中旬、自転車の交通違反に関して、気になる報道があった。「警視庁は、悪質な交通違反について、これまで罰則を伴わない専用のカードを交付して“警告”にとどめていたものを、10月下旬から厳格に対処し、刑事罰の対象となる交通切符(俗に言う赤切符)を切って“検挙する方針”を固めた」というものだ。対象となるのは、信号無視、一時停止違反、右側通行、徐行せずに歩道を通行の4項目についての、特に悪質な違反だという。そのニュースに関連する映像を観たが、確かに、都会では悪質で危険な違反が横行しているらしい。ただ、ニュース主体は警視庁で僕の様に地方に住む人間にとっては直接影響がない、そんな風に都合良く考えていた。ところが、31日のニュースで、警察庁も全国の警察に同じ様な指示を出したと伝えていて、どうやら知らんぷりを決め込む訳にはいきそうにないらしい。

そんな赤切符の話は兎も角としても、昨年からほぼ半世紀ぶりに自転車に乗る様になり、環境に優しく、SDGsの観点からももっと受け入れられて良い筈なのに…、などと現状に不満を感じる事が多い。車でなく、徒歩でもなく、自転車で走ってみて初めて見えてきた景色、初めて気が付いた不都合な点、と言ったところである。そんなあれやこれやをいつかこの四方山話で書きたいと温めていたところ、くだんの報道があり、チャンスとばかりに今回取り上げた次第である。なお、本題に入る前に、「自転車安全利用五則」というものがあるそうなので、それをおさらいしておきたい。

(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/bicycle/menu/five_rule/)

①自転車は車道が原則、歩道は例外(道路交通法では、自転車は軽車両)

②車道は左側を通行

③歩道を走る場合は、歩行者優先で車道寄りを徐行

④安全ルールを守る(飲酒・二人乗り・並進・無灯火・傘さし・携帯電話やヘッドホン使用の禁止、
   信号順守など)

⑤子どもはヘルメット着用

さて本題であるが、一言で言えば、「金沢の街は自転車に優しくない」ということである。ただ、金沢以外も、恐らく似たり寄ったりではなかろうか。したがって、自分が住んでいる街の事を思い返してもらえば、共感してもらえるところも多いのではないかと思っている。金沢は、戦災に遭っていない分、道幅が狭く、自転車専用レーンが殆ど無いのが実情だ。したがって、歩道がある道路の場合は、上記①の“原則”はほぼ守れない。自転車を通学・通勤で使っている人は、ほぼ歩道を走っている。僕もそうだ。また、戦災に遭っていない上に、これまで効率優先・車優先で車道を確保してきた結果、歩道がないか、あっても幅が狭く歩行者と自転車が同時に併進することが困難な所が随所にある。我が家から会社まで、今通っている約9キロの行程を概説し、「如何なものか」と感じた点を述べてみたい。

(ローカル色が濃くて申し訳ないが)安政の米騒動(1858年)の際の舞台となった卯辰山、その卯辰山の麓に我が家はある。その我が家を出発して約2.5キロ走ると(p-1、p-2参照)、兼六園下の交差点に着く。観光客が多い交差点だ。その交差点を直進して左手に兼六園、右手に金沢城公園の石垣を見上げながら、「お堀通り」を約0.8キロ走ると(p-3参照)、「21世紀美術館」近くの交差点(広坂)に着く。その交差点を右折して、「しいのき迎賓館(旧県庁跡地)」を右手に見て「百万石通り」を約0.2キロ走った辺りで、「21世紀美術館」の裏通りに出る。金沢市役所横の通りだ(P-4参照)。家からここまで約3.5キロの行程だが、ほぼ全て歩道を走って来る。自転車専用レーンが全くないのだ。

P-1
P-1
P-2
P-2
P-3
P-3
P-4
P-4
P-5
P-5
P-6
P-6

P-1は、我が家がある団地を出てすぐの交差点だが、ガードレールが見える歩道の幅は約2mしかない。二人並んで歩くのも窮屈だ。古い団地だから仕方が無い面もあるのだが、勿論自転車専用レーンなどは無い。続いてP-2は、兼六園に向かう幹線道路なのだが、車道そのものが狭く、バス停に止まっているバスがレーンをはみ出しているのが分かるだろうか。これでは、自転車専用レーンなどつくれる筈もなく、必然的に歩道を走ることになる。

ところが、“この歩道”にも思うところがある。歩道幅はさして問題ではないのだが、歩道脇には住宅や商店が立ち並び、車出入りの為の歩道の切り下げが至る所にあって、小さなアップダウンが激しい。それでも、乗り心地の悪ささえ我慢すれば、自転車にとってはさほど問題は無い。しかし、目の不自由な人や車椅子の人にとっては難儀しそうな歩道となっていて、SDGsの思想とは少々かけ離れている様に思えてしまう。

P-3は、兼六園下から21世紀美術館方面を見た、「お堀通り」の写真だ。観光客が多い場所だけに、歩道に敷き詰められた石畳の幾何学模様が美しい。通勤・通学時の人通りはさして多くなく、余裕がある広さではないものの、歩道の幅に関してはさほど不自由は感じない。ただ、僕が乗っている自転車のせいなのか、石畳の凸凹を拾って如何せん乗り心地が悪い。この「お堀通り」にも自転車専用レーンが設けられていないだけに、もう少し何とかならないものだろうか、と思っている。自転車に与える凸凹による振動の影響なのか、P-6に収めた様にギアボックスを止めていたビスが1本抜け落ちてしまっていた。兎に角、車道に比べると、見た目は良いが、乗り心地は悪い。車椅子にとっても同様だと思う。

P-4は、全行程中に2カ所だけある自転車専用レーンの一箇所で、距離は僅か約0.3キロだ。もう一箇所は申し訳程度の幅と距離しかないから、ここが唯一の専用レーンだと言える。ただ、写真の場所のレーン幅は約1.2mしかなく、余裕は全くない。ふらつきが怖い。写真に写っている我が愛車と対比すれば、その余裕のなさが分かる。しかも、その先は21世紀美術館の庭と通じてる為か、P-5に映っている様に、専用レーン上に何とタクシーの駐車スペースが設けられている。P-5の奥に映っている黒い車は、正に乗車中のタクシーである。この写真を撮った後、僕はタクシーを避けて大きく車道側に膨らんでしまった。この場合、①の“原則”を優先させるべきなのか、それともレーンがあっても“例外”を優先させるべきなのだろうか。そのどちらでもない答えがあるような気もするのだが…。

さて、唯一の専用レーンを過ぎ、時たま会う朝帰りの酔っぱらいを横目で見ながら片町を横切り、我が家から4.7キロほど走ってきたところで、犀川河川敷に設けられた「犀川自転車道路」に到着する。ここから、犀川の流れに沿い、下流に向けて約1.8キロ走る。この1.8キロが、全区間の中で唯一自動車と出会うことのない、安全・安心な道路となっている。写真はないが、全線アスファルト舗装されていて、比較的平坦で乗り心地も良く、思いの外スピードも出せる。これで走った距離は5.5キロ、残り約3.5キロである。

河川敷を後にして一般道に出ると、3.5キロの内の約2.9キロは、再び歩道を走ることになる。走るのは、やはり①の例外コースだ。この2.9キロ区間も歩道幅が狭く、街路樹もあって、歩行者や自転車とすれ違うのは至難の業だ。必ずどちらかが立ち止まり、相手をやり過ごしている。それ程狭い区間が多い。また、この区間も小さな凸凹が多く、歩行弱者にとって優しくない歩道となっている。そうした苦労も知らず、直ぐ脇の車道を次々と車が走り去っていく。『俺たちの道だ!』と言わんばかりに…。

最後に、いつものジョンズ・ホプキンス大学による感染状況の集計結果を記載しておく。日本時間11月1日17時の時点で、世界全体の感染者数は6億3055万人に迫り、亡くなった人は659万人を超えた(NHK 特設サイト 新型コロナウイルス:※1)。

(※1:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/


【文責:知取気亭主人】


Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.