2022年11月23日
西郷隆盛が没した西南の役。その戦いの様子を詠ったとされる熊本県民謡がある。今の若い人は殆ど聞いたことがないだろうが、僕の若い頃(半世紀ほど前)には、酒の席で良く歌い、聴いたものだった。その名も『田原坂(たばるざか)』という。名前の由来となった田原坂とは、熊本市北区植木町豊岡一帯を指し、西南の役で最も激しい戦いの舞台となった所である。その『田原坂』の2番に、次のような歌詞がある。
めで(※1)に血刀 (※1めで→馬手:馬の手綱を握る右手を指す)
ゆんで(※2)に手綱 (※2ゆんで→弓手:弓を握る左手を指す)
馬上ゆたかな 美少年
凛々しい美少年が右手に血糊の付いた刀を持ち、左手で手綱を操り、敵と戦っている様子を詠っている。当方、年齢から言っても、見た目から言っても、とても歌詞にある様な美少年ではないが、最近この美少年と同じ様に、両腕を同時に使って“ある戦い”に挑む羽目になってしまった。何かと言えば、ワクチン接種による副反応との戦いだ。今回は、その戦いの記録である。
1月の末に、新型コロナウイルスに感染し入院した。その時に、俗に言うカクテル療法を受けた。その結果、それまでは家内と一緒に受けていたワクチン接種が、3回目から2ヶ月ほど遅れる様になり、4回目の案内が来たのは10月末であった。間が悪いことに、丁度その頃インフルエンザワクチンの案内も来ていて、掛かりつけ医に相談したところ、『一緒に打ちましょう』と何のためらいもなく言われてしまった。『分りました』と答えたものの、果たして同時に打って大丈夫なのだろうか、気になる。家に帰り、早速調べて見た。
すると、鳥取県の「新型コロナウイルス感染症特設サイト」にも書かれている様に、単独接種と比較して有効性も安全性も劣らないことが分かり、国の審議会で同時接種が可能になったとある(https://www.pref.tottori.lg.jp/307674.htm)。既に有効性・安全性が確認されているのなら、一安心だ。これで、心の準備も出来た。そして、予約していたその時が来た。先週の月曜日(11月14日)、成人して初めて、違う2種類のワクチンの同時接種を受けてきた。果たして副反応や如何に?
『田原坂』風に表現すれば、さしずめ「めでにインフル、ゆんでにコロナ」となる。直前にアナフィラキシーで亡くなった40代女性の記事を読んでいて、不安が無かった訳ではないが、そんな不安はおくびにも出さず、素直に両腕を差し出した。『副反応が出やすいコロナワクチンは利き腕でない方が良いでしょう』と言われ、左腕にコロナ、続いて右腕にインフルエンザ用ワクチンを打った。15分の様子見タイムも無事終わり、接種会場では何も起こらなかったことに安堵して帰宅した。
夕方、帰ってきた長男が、『どう?』と心配してくれる。『我が家のみんな副反応は軽いから、恐らく大したことないよ』と言われ、自分もすっかりその気でいた。ただ、3回目接種の時に少し熱が出た記憶があって、多少の不安はあった。果たしてその不安は的中したのか、体験した副反応を時間経過とともに整理したのが表1だ。結論から言えば、短い時間ではあったものの、発熱・悪寒・頭痛・だるさなど、風邪によく似た症状が出てしまった。

表1にあるように、凡そ接種3時間後から副反応の症状が出始めた。ただ最初は、良く言われる接種箇所周辺の腕の痛みだけだった。ところが、9時間半経ったあたりから頭痛がし始め、半日ほど経った頃(15日2:00)から激しい悪寒がし始めた。寒くて堪らない。脇にあった毛布やら羽毛布団をそれまでの布団の上に掛け、何とか寒さを凌いだ。この時体温計を脇に置いておかなかった事を悔やんだが、19時間後(15日9:30)に測った体温が38.2℃だったことからすると、激しい悪寒に襲われていた頃は39℃を超えていた可能性が高い。38度を超えただけでも、年寄りにとっては結構な副反応と言える。
その後も、悪寒は治まったものの頭が重く、だるい。微熱もある。16日の朝になって、汗をかき少し楽になったものの、頭がスッキリしない。完全にスッキリしたのは、16日14時、丁度接種2日後だ。都合、2日間にわたる副反応との戦いとなった訳だが、これが2種同時接種に依るものなのか、単独接種でも出たものなのか、残念ながら不明である。
最後に、いつものジョンズ・ホプキンス大学による感染状況の集計結果を記載しておく。日本時間11月22日14時の時点で、世界全体の感染者数は6億3843万人を、亡くなった人は662万人を超えた(NHK 特設サイト 新型コロナウイルス:※1)。
(※1:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/)
【文責:知取気亭主人】
菊
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