2022年2月23日
ついひと月ほど前、貯金箱を愛用し小銭貯金にいそしんでいる子供たちにとって、ショッキングな出来事があった。1月17日から、ゆうちょ銀行の窓口やATMで硬貨を預け入れる際などに、枚数に応じて手数料が掛かるようになった、と報じられているのだ。僕自身は実際に小銭を持ち込んだ事はないが、ほかの金融機関でも、手数料が掛かるこうした仕組みの導入が相次いでるらしい。貯金箱に1円玉や5円玉、10円玉などの小銭をコツコツと貯めてきた子供たちも、小銭貯金を楽しんできた大人たちも、またお賽銭として大量の硬貨が集まる神社やお寺も困惑している、と報道されている。しかも、その手数料、下表にゆうちょ銀行の料金をまとめてみたが、結構高額なのだ。
表-1は硬貨の枚数で規定しているから、5円玉を100枚預け入れようとすると、その手数料は持ち込んだ金額よりも50円余分に掛かってしまうことになる。つまり、1,000円の残高がある預金通帳に、5円玉100枚を窓口に持ち込み預金しようとすると、手続き終了後の残高は1,500円になるどころか何と950円に減ってしまう、という何とも不可解な事になってしまうのだ。10円玉100枚の場合では、さすがに減りはしないが、それでも55%も手数料を取られることになる。50円玉100枚の場合でも、11%にもなる。定期預金の金利はどんなに高額でも1%にも満たないというのに、である。
こうなったら自己防衛しかない。硬貨を持ち込む場合には、.極力50枚以下に抑え、特に1円玉、5円玉、10円玉については、決して50枚以上持ち込まないことだ。けち臭い話だが、それを徹底するしかなさそうである。ささやかだが子供たちにとって何よりの楽しみを守る、せめてもの防衛手段だ。それにしても、いくら企業防衛の為だと言っても、少々割高過ぎないだろうか。また、どんなに僅かな小銭でも無駄にしない教育の一端を担って来た貯金箱文化、その行く末に一抹の不安を感じてしまう。貧乏学生の頃に1週間25円で暮らした事のある身としては、理不尽さを禁じ得ないのだが…。
ところで、冒頭にも書いたが、この仕組みが思わぬところにも波紋を広げているらしい。お賽銭文化が今も脈々と残る、神社やお寺である。言われてみれば確かにそうだ。私の経験からしても、お賽銭は圧倒的に硬貨が多い。参拝客の多い有名処は、大変だと思う。そうした中、テレビでやっていたのだが、大阪のある神社の取り組みがユニークで感心させられた。硬貨が大量にお供えされる神社が、釣銭として小銭を必要とするコンビニや小売店など向けに両替をやり始めた、というのだ。具体的には、神社がお賽銭を硬貨の種類毎にまとめコインバーをこしらえ、小銭を必要とする人たちのお札と両替する、そんな取り組みだ。神社にとってもお店にとっても、どちらも助かる上手い方法である。ゆうちょ銀行など金融機関も、こうした上手い取り組みをやってくれないだろうか。切にお願いしたい。というのも、孫を楽しませようとしてやってきたことが、悩ましいことになってしまっているのだ。
実は、我が家の子供たちが小さな時やっていた小銭貯金を、初孫が生まれた10年ほど前から再開し始めた。50円以下の硬貨を主体に、桐箱を加工して作った貯金箱にせっせと貯めてきた。コロナ禍になる前は、〇〇Payなどと呼ばれる電子決済をそれ程使っていなかったから、1週間ほど経つと、小銭入れには結構な枚数の硬貨が残っていた。その中から、50円玉以下の硬貨は無条件に、気分の良い時には100円玉を入れ、時々は意を決して500年玉も入れ、頑張って来たのだ。ある目的があってやり始めたのだが、今では結構貯まっていて、1万円は優に超える金額になっている。
こうして貯めた小銭を新聞紙の上に広げ、ほぼ同量になるように、適当に鷲掴みして孫の人数分に分け、それをビンゴゲームで早いもの順に選ぶのだ。30年ほど前に子供たちと楽しんだ時には、100均でアルミ缶を4つ買い揃え、これに分け入れたのだが、重いから金額が多いとは限らず、結構盛り上がったものである。それを来年の正月にやろう、と孫たちと約束しているのだ。ところが、貯金箱の中身は50円以下の硬貨が圧倒的に多いから、6人で分けたとしても、ほぼ間違いなく1人100枚以上になってしまう。そうなると、折角たくさんの小銭を手にしても、ゆうちょ銀行に持って行ったら持ち出しになってしまった、などという悲しい結果になりかねない。子供たちががっかりするようなことがないよう、何とか工夫を凝らしてほしいのだ。お願いしますよ、金融機関の皆様!
最後に、いつものジョンズ・ホプキンス大学による感染状況の集計結果を記載しておく。日本時間2月22日14時の時点で、世界全体の感染者数は4億2594万人を、亡くなった人は589万を超えた(NHK 特設サイト 新型コロナウイルス:※1)。
(※1:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/)
【文責:知取気亭主人】
もう直ぐ3月だというのに!
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