2022年5月25日
今は亡き坂本九のヒット曲に、『ステキなタイミング』という楽曲がある(作詞・作曲:F.Tobias&C.Ballard,Jr.、訳詞:漣健児)。随分昔(1960年発表)の歌だから、若い人は恐らく聴いたことが無いだろう。原曲はアメリカ人歌手が歌った「Good Timin'」だが、秀逸な訳詞によるところが大きかったのだろう、日本でも流行し、当時はアメリカ生まれとも知らず良く口ずさんでいた。軽快なメロディーと出だしのスキャットのような意味不明の歌詞が不思議とマッチしていて、坂本九の高音のハスキーボイスも耳に心地よく、好きな曲の一つだった。すこぶるテンポの良い曲でもあった。
その歌の歌詞の中に、『♪この世で一番かんじんなのは ステキなタイミング♪』というフレーズがある。「何をするにもタイミングが一番かんじんだよ」と詠っているのだが、タイミングの中にも最適のタイミングというものがある、の意味も込められている。そのチャンスを逃すと期待する成果は得られない、というのだろう。それは道理だと思う。良きにつけ悪しきにつけ、物事すべからくそうだ。原因が良く分からず失敗すれば、「タイミングが悪かったんだ」とか、「間が悪かった」などとなる。
かく言う小生も、70年の余も生きてくれば当然なのだが、そんな失敗など数えきれないほど遣ってきた。中でも、間の悪さを恨み悔やんだのは、交通違反の切符を切られた時だ。自分の違反を棚に上げ、愚痴ったものだった。逆に、タイミングが良くて嬉しくなってしまった、などという記憶はあまり残っていない。ただ、居眠り運転をして間一髪難を逃れた時などは、運の良さ(≒タイミングの良さ)に感謝し、ホッと胸を撫で下ろしたことがなくもない。今思い出してもゾッとするが、奇跡的に幸運なタイミングで、目が覚めたものである。
そうした車の運転に関する小生の体験がそうであるように、タイミングの良し悪しで、結果が大きく違ってくるものも少なくない。日々の生活に関連したところに着目すれば、家庭料理がその筆頭だろう。下ごしらえのタイミング、加熱するタイミング、火を弱めたり止めたりするタイミング、調味料を加えるタイミング、材料の順番等々、美味しい料理を作る為には、タイミングが大きなカギを握っている。悪ければ思った通りの味にならず、家族のひんしゅくを買うことにもなりかねない。
また、身近という点では、家庭菜園や庭木の手入れもそうだ。植え付け、水遣り、追肥、剪定など、タイミングを逸してしまうと、折角の苦労が水の泡と化してしまう事もある。こうした作業も、料理と同じで、“素敵なタイミング”を覚えるには経験を積むことが重要だ。しかし、自己流でやっつけてきた我が身にとっては、タイミングを逸し手痛い失敗をすることが多い。できれば願い下げたいのだが、どうやら今年も、そんな手痛い失敗が一つ増えそうな雰囲気だ。というのも、妻に言わせれば時期を完全に逸してしまった野菜の苗を、つい先日、遅ればせながら植え終えたばかりなのだ。何の苗かと言えば、苺である。
21日の土曜日、気になりながらも植え付けできずに残っていたイチゴの苗6株を、やっとプランタに植えた。家庭菜園の師匠である妻に訊きながら、土作りをし、肥料を加え、2つのプランタに植えた。乾燥防止と実った時に果実が土に着かない様にと、ワラも敷いた。「これでバッチリ、後は収穫するだけ」と確信して、作業終了を妻に報告したのだが、『植え付け時期としてはもう随分遅いからどうだろう?』と、あまり期待してない風な事を言う。拍子抜けする返答だが、言われてみれば、確かにそうかもしれない。
毎年今頃の季節になると、妻が、『ゴールデンウイークを過ぎると野菜の苗が少なくなり、もう出回らなくなるものもある』と言いながら、苗を買い揃えているからだ。そうだとすると、ゴールデンウイーク前後が、植え付けする良いタイミングなのだろう。しかも、植え付けの話題を長男の嫁さんと話しながら、『苺の苗はもっと早く出回り始めるよ!』とも言っている。確かに、2週間余り前に先に植え付けた他の苺の苗は、もう既に実を付け、僅かばかりだが収穫もし始めた。それらに比べると、苗ポットに入れられたまま2週間余りも経った今回の苗は、手遅れなのかも知れない。
植え付け直前によく見ると、6株全て元気そうではある。ただ、「長い間放って置きやがって、そう簡単に実は付けてやるものか!」と言いたげに、はや紅葉してしまったのではないかと見まごう、色付いてしまった葉っぱもある。そんな痛々しい様子を見ると、妻が示唆した様に、収穫はあまり期待できないかもしれない。ただ、「好い加減」という言葉があるように、植物の生命力は計り知れないほど強く、人間が思っている以上に植え付けタイミングには幅、所謂余裕があるのではないか、と思っている。元気でさえいてくれれば、植え付け期間が少々適当であっても大丈夫、と何となく期待しているのだ。苺だったら、5月一杯ぐらい迄大丈夫じゃないかなァ…。
最後に、いつものジョンズ・ホプキンス大学による感染状況の集計結果を記載しておく。日本時間5月24日17時の時点で、世界全体の感染者数は5億2609万人を超え、亡くなった人は628万人に迫っている(NHK 特設サイト 新型コロナウイルス:※1)。
(※1:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/)
【文責:知取気亭主人】
手入れが行き届いたご近所の庭に咲くシャクヤク きっとお世話のタイミングが良いのだろうなァ!
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