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知取気亭主人の四方山話
 

『ぼちぼち行こうぜ』

 

2022年8月3日

水風呂に浸かっていたくなるほどの猛暑が続いている。テレビでは、連日『“熱中症警戒アラート”が出されているから気を付けて!』と呼び掛けている。ここ金沢も例に漏れずで、連日35℃前後の猛暑が続いていて、我が家の大人はみんなげんなりだ。元気なのは、孫たちと雑草だけである。孫たちが元気なのは喜ばしい事だが、雑草が元気なのは勘弁してほしいところである。しかし、現実はそう都合良くいってくれない。家庭菜園の野菜は毎日水遣りしないと忽ち水不足になり、『水が足りないよ、何とかしてくれ!』と言わんばかりに萎れてしまうのに、生えてほしくない雑草は、多少の水不足なんて何のその、憎らしいほど逞しい。元気そのものだ。

借りている駐車場の雑草も、実に逞しい。この暑さにも負けず、梅雨前に長男と孫たちで奇麗にしてくれたのに、まるでそんな事無かったかの様に再び見苦しくなっている。先週の中ごろから気になり出していたのだが、とうとう我慢できずに、7月最後の土日に草刈りすることにした。妻は『暑いからやめて!』と気遣ってくれるのだが、一旦気になり出すとどうにかしないとダメな性分と少々の体力自慢が、決行へと突き動かす。そんなやる気満々の気持ちを妻に伝えると、『こんなことがあるからやめてほしいの!』と話し出した。

つい最近、妻の友達で看護婦をしているAさんから怖い話を聞いたという。ごく最近の事らしい。自宅近くの畑に出かけたAさんの友達(以下、Bさん)の旦那さん、暫くしてBさんが様子を見に行くと、体調悪そうにして座り込んでいたという。『頭が痛い、気持ちが悪いと言っているのだけれど、どうしたら良い?』と、心配そうにAさんに対処方法を電話で聞いて来た。咄嗟にAさん、『吐いてる?吐いてない?』と確認したという。そして、電話中に吐いたと聞くと、『直ぐに救急車を呼んで、直ぐにだよ!』と、一刻を争う緊急事態であることを伝えたという。

妻の話の途中で「熱中症になったのだろう」と勝手に思い込んだのだが、救急搬送されたBさんの旦那さん、実際の病名は「くも膜下出血」だったという。しかも、気の毒な事にまだ昏睡状態らしい。しかし、一般的には血圧が下がると思われる夏場で、「くも膜下出血」とは驚きだ。「くも膜下出血」などの脳卒中は冬が相場、と思い込んでいたからだ。そこで調べてみると、意外な事が分かってきた。実は夏場にも結構起こっているというのだ。

汗をかくと体内の水分が不足し脱水状態になり易く、その結果、血流が悪くなって血栓が出来易くなったり血圧が上がったりして、脳卒中が起こり易くなるらしい。しかも、熱中症も、脳卒中と同じ様に頭痛や悪心・嘔吐などが起こるというから面倒だ。どうやら、この危険な暑さの中では、注目されがちな熱中症ばかりでなく高血圧などの持病を持っている人は脳卒中を発症する危険性もある、ということを本人も周りも承知している必要がありそうだ。因みに、僕も降圧剤のお世話になっている。しかも同年齢だ。妻が心配する筈である。

しかし、先ほども述べたように、一旦気になり出すとどうにかしないとダメな性分である。かと言って、妻が心配してくれるように、熱中症も脳卒中も気になる。そこで、(本人の思いでは)万全の暑さ対策をして、雑草との格闘をすることにした。先ず服装は、日焼け防止とマダニ等の虫対策として、長袖長ズボンだ。麦わら帽子をかぶり、首には、手に入れたばかりの、凍らせると冷たさが1時間持続するというネックリング、更にその上から水で濡らすと気化熱が奪われてヒンヤリとするメッシュタオルを巻く、機能重視のスタイルだ。勿論、ペットボトルの水も用意した。塩気も取った。そして作業は、できれば11時ごろまで、遅くとも午前中には切り上げる、と決めて取り掛かった。携帯ラジオが作業のお供だ。

なるべく太陽に背を向けない様にして作業するのだが、腰を落としてしゃがんだ状態でやる為、どうしても背中に太陽を受ける。ラジオからは、ニュースの度に「危険な暑さ」と繰り返しているが、確かに太陽を受ける背中は半端なく暑い。15分も続けると、汗びっしょりだ。喉も乾く。しんどくなって、日陰になっている高さ1mほどのブロック塀にもたれかかる様にして体を休め、涼み、水を飲む。この繰り返しである。はたから見ると、のんびりとやっている様に見えるに違いない。

休みながら、若い頃に見ていた、あぜ道などの草刈りをするお婆ちゃんたちのやり方と一緒だな、とふと気が付いた。ちょくちょく腰を下ろし、鎌を研いだり、お茶を飲んだりして、休み休み作業していたのだ。ただ、のんびりとやっている様に見えたが、終わって見れば、辺り一面奇麗に刈られている。どうやら、彼女たちには、草刈りのような炎天下での作業は頑張り過ぎないで休み休みやるのが長く続けられるコツ、との先人の教えを守っていたのではないかと思う。そう思うと、合点がいく。ぼちぼち行こうぜ、という訳だ。

そうだとすれば、まだ4割ほど残している駐車場の草刈りも、また今度、時間を掛けてのんびりとやることにしよう。こう暑くては、「ぼちぼち行こうぜ」が、命を守る金言になってくれそうに思うからだ。言い過ぎかな?でも皆さん、くれぐれもぼちぼち行こうぜ!

最後に、いつものジョンズ・ホプキンス大学による感染状況の集計結果を記載しておく。日本時間8月2日17時の時点で、世界全体の感染者数は5億7825万人を、亡くなった人は640万人を超えた(NHK 特設サイト 新型コロナウイルス:※1)。

(※1:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/


【文責:知取気亭主人】


季節外れのアジサイの花
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