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知取気亭主人の四方山話
 

『記録し、残し、利用する』

 

2022年9月7日

今年も、海の向こうから伝えられる大谷翔平選手の大活躍で、“大谷ウォッチ”が日課になっている。唯一無二の二刀流で活躍し続ける大谷選手は、試合が無い日でもネットニュースに登場しない日は無く、そのお陰でスマホを見る時間が確実に長くなっている。日本時間の4日(日曜日)には、投打で同時出場し、惜しくも勝利投手とはいかなかったものの、8回を1失点に抑える好投で見事チームの勝利に貢献した。12勝目には手が届かなかったが、11勝でも、成績が低迷するチームの中にあっては断トツの稼ぎ頭だ。尚且つ、ホームランでもチームトップに君臨している。

この様に、世界最高峰のリーグで、打者と投手の両方でトップ選手として活躍しているのだから凄い。人気も際立っている。そうした中、目にすることが増えたのが、過去に活躍した名選手が残した記録との比較で、「○○年ぶりの快挙」の文言だ。MVPを獲得した昨シーズン以来、そうしたデータ比較が数多く表舞台に登場する様になり、大谷選手のやっていることが如何に飛びぬけたパフォーマンスであるかが、熱く報じられている。結果、スマホを見る時間が増えるのである。

例えば、「同一シーズン二桁勝利&二桁本塁打」はベーブ・ルース以来104年ぶりの快挙だとか、4日の試合で到達した「通算400奪三振&100本塁打」もベーブ・ルース(488奪三振&714本塁打)に次いで2人目の快挙だ、といった具合である。更には、4日の試合が終わった時点で181に伸ばした奪三振を200の大台に乗せれば、「シーズン30本塁打&200奪三振」となって両リーグ史上初の快挙だ、とも報じられている。また、投手としての規定投球回と打者としての規定打数にも到達すれば、これも史上初の快挙だという。

他にも、初めて知る記録の比較も行われていて、どれもこれも彼の活躍を際立たせている。そうした比較は、際立たせるのに極めて有効な手段であると同時に、埋もれていた過去の名選手の活躍に光を当てるきっかけにもなっている。更には、大リーグの歴史の重みを感じさせるのに一役も二役も買っている。そうした事が出来るのも、しっかりと記録を残して来たからだ。記録を残しそれを色々な視点から利用・検証する、そのことが如何に有意義で大事なことか、大谷選手の活躍で図らずも再認識させられた。スポーツに限ったことではなく、ビジネス然り、行政然り、政治然り、である。ヒトが活動すれば必ず痕跡を残す。その痕跡を記録し、残し、利用し様々な角度から検証する、この事が極めて大事なのだ。

行政の分野で言えば、5年毎に実施される国勢調査などは、その最たるものなのかもしれない。ただ、調べたデータを様々な角度から利用・検証し、将来の日本に利するため国政に生かしているのか、と言えば甚だ疑問が残る。データとしては、他の国に自慢できるほど長年の蓄積があり、データの信頼性も高いと思う。しかし、少子化の問題一つとっても、国勢調査の結果から劇的に改善された、なんて話は聞いたことがない。

総務省統計局の「令和2年国勢調査に関するQ&A(回答)」の中で、どのようなことに役立っているかについて(https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/qa-1.html#a2)、以下のように書かれている。

「国勢調査から得られる様々な統計は,国や地方公共団体の政治・行政において利用されることはもとより,民間企業や研究機関でも広く利用され,そのような利用を通じて国民生活に役立てられています。」(原文のまま)

この文言を素直に受け取れば、国民生活に役立っている筈である。しかし、生命保険の年齢死亡率の算定に利用されていることは知っているが、それ以外はどうもピンと来ない。例えば、大リーグのデータマイニングの多様性を真似すれば、これまで少子化対策として打ってきた施策の有効性を見える化するとか、大都市への人口移動と出生率の相関を取ってみるとか、様々な切り口で検証できると思うのに、それがやられていない。仮にやられていたとしても、我々国民には見えて来ない。

上記統計局の文言は、統計は取るけれどもそのデータをどう使うかは統計局の仕事ではありませんよ、と言っているようにも聞こえる。これでもか、という位に様々な切り口でその功績を見える化している大リーグとは大きな違いだ。全国民協力の下行われる大々的な調査である以上、人口統計などのデータを生のまま示すだけではなく、視点を変え、比較対象を変え、これまで実施した施策の有効性を検証し、その結果も併せて国民に情報開示する、それが調査に協力した国民への責務だと思うのだが、違うだろうか。

将来を考え、正確に記録し、確実に残し、何時でも利用し検証できる、それが国政に関するものであれば、そうしなければ国益にかなわないと思う。しかし、3年前に不正が発覚した厚生労働省の「毎月勤労統計」や、昨年発覚した国交省の統計不正問題など、統計に対する国の認識はかなり低いのではないか、と思わざるを得ない。また、記録の改竄が取り沙汰されたり、のり弁で事実上の検証が不可能になったりと、行政府の記録に対する考え方もお粗末だと思う。同じ土俵で論じられないことは承知の上だが、大リーグが羨ましい!

最後に、いつものジョンズ・ホプキンス大学による感染状況の集計結果を記載しておく。日本時間9月6日14時の時点で、世界全体の感染者数は6億0559万人に迫り、亡くなった人は650万人を超えた(NHK 特設サイト 新型コロナウイルス:※1)。

(※1:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/


【文責:知取気亭主人】


ヨーロッパメンガタスズメの幼虫
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