2023年1月25日
我々夫婦の出身県、静岡県でまた痛ましい事件が発生した。16日の夜、牧之原市で40代の母親が刺殺されたのだ。犯人として保護されたのは、何と娘である13歳の中学生だった。19日の読売新聞朝刊によれば、娘は母親からスマートフォンの使い過ぎを繰り返し注意されていたという。スマートフォンに関する親子バトルは良く耳にする話だから、当該親子に言い争いがあったとしても想像に難くない。しかし、刃物で刺し殺してしまうほどの激しい憎悪を抱いていたとは、信じがたい事だ。しかも、小学校を卒業したばかりの子どもが…。
親子喧嘩や兄弟喧嘩は、良くあることだ。男同士であれば、殴り合いをすることもあるだろう。しかし、相手を死に至らしめるという一線を超えることは、極めて稀だ。理性が制御してくれるからだ。特に親に対しては、アンガーマネージメント(怒りのコントロール)も強く働く筈だ。ところが今回の事件では、怒りのコントロールが出来ず、理性のタガも外れてしまっている。どうして外れてしまったのだろう。思うに、当の中学生(以下、少女)にとっては“スマートフォンが全てだった”から、ではないだろうか。
中学生と言っても、13歳ならまだあどけなさが残る年齢だ。一般的には、親の保護もまだまだ必要だと思う。そんなあどけない少女が、何故こんな悲惨な事件を起こしてしまったのだろうか。同じ年代の孫娘を持っているだけに、気になって仕方が無い。普通に考えれば外れることのない、親への思慕という強力なタガが外れてしまった原因は、一体どこにあるのだろう。それが分かれば、タガが外れないようにできるのではないだろうか。また、孫娘をその様に導くことも出来る。そう思い、事件に至った少女の背景を考えてみた。ただ、ここからは僕の全くの推論に過ぎず、あくまでも僕個人の考え方である。そう思って読んでいただきたい。
背景を読み解く上で手掛かりとしたのは、本のタイトルは忘れたが、あるビジネス書に書かれていた教えで、見事にストンと腑に落ち、色々な課題解決の時に応用している考え方だ。「商品やサービスに対するクレームは、売り手側にとっては多くの中の一つに過ぎないが、客にとってはそれが全てである」、というもので、ビジネスばかりでなく人間関係にも適用できると思っている。その考え方の「客」を「少女」に読み替えれば、今回の事件にも当てはまるのではないか、そんな気がしているのだ。
つまり、子供のスマートフォンに関する諸問題は、お母さんにとっては子育ての中の一つの課題に過ぎないが、少女にとっては最も切実で大切な事柄だった、そんな推論も成り立つような気がしている。だとすると、少女にとって“スマートフォンが全て”でなければ、言い換えれば、“他に楽しめる事を持っていれば”タガが外れるところまではいかなかったのではないだろうか。ところが、不幸にも少女にはそれが無かった”。13歳ならば色々なことに興味を持つ筈なのに、何故だろう。恐らくだが、元々無かったのではなく、これまでにその歳に相応しい楽しみをスマートフォン以外に見つけられなかった、と言った方が良いのではないかと思っている。
「他の楽しみ」、こう書くと何となく難しく聞こえるが、要は、幼い頃から興味を示したことをやって来たか、ということに尽きるのだと思っている。例えばだが、幼児は良く“ごっこ遊び”をするが、その“ごっこ遊び”を十分楽しんだのか、ということだ。この“ごっこ遊び”は大人の真似をしているのだが、子供が“ごっこ遊び”に夢中になるのは、真似られている大人がその作業や仕事を楽しそうにやっているからに他ならない。そして、周りから褒められ感謝されている様子を見て、カッコいいと思うからだ。
大人のそんな姿は、子供たちにとって憧れの的だ。そうやって、“ごっこ遊び”を通じ、視野を広げ、興味の幅を広げていく。やがて、その中から趣味を見つけ、夢中になることもある。しかし、“ごっこ遊び”の見本となる大人が、イヤイヤながらやっている作業や仕事など、子供は真似たいと思うだろうか。決してそれは無いだろう。大人が楽しんでやっていればこそ、“ごっこ遊び”に取り入れたいと思うのだ。だから、(悪事は別にして)“大人はどんな事も楽しんでしまうこと”が、結構大切だと思っている。
自分事で恐縮だが、これを書いている24日は、金沢に大雪警報が出ていて、昼頃から降り続いている。15時ごろ12歳の孫娘が小学校から帰って来て、『もっと積もってほしい』と、年寄りにはうんざりすることを言っている。『雪かきが出来るから』というのだ。雪かきがひと段落すれば、ソリのゲレンデを造って遊ぶことを楽しみにしているからだ。それは、我が家代々の遊びで、たとえどんなに大雪でも、大人も子供もそうやって楽しんできた。冒頭に書いた様に孫娘の事を心配していたが、孫娘の言葉を聞いて、どうやらそんな心配は無用だったことが分かった。一安心である。ということで、世のお父さん、お母さんも、いろんな事を楽しんでしまおう!きっと、子供たちは楽しみを見つけてくれる筈だ!
最後に、いつものジョンズ・ホプキンス大学による感染状況の集計結果を記載しておく。日本時間1月24日17時の時点で、世界全体の感染者数は6億6900万人を、亡くなった人は674万人を超えた(NHK 特設サイト 新型コロナウイルス:※1)。
(※1:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/)
【文責:知取気亭主人】
今回の寒波の為に、外の蛇口に施した凍結防止
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