2023年2月1日
最近、ビックリするようなニュースを聞いた。長い間世界最多の人口を擁してきたアジアの大国で、人口減少が明らかになったというのだ。日本の話ではない、あの中国の話である。一人っ子政策の弊害でいずれそんな時期が来るとは言われてきたが、実際に減少したと聞くと、正直驚きだ。「東洋経済ONLINE」の『中国「61年ぶり人口減」過熱するバラマキ競争』(以下、記事)には(https://toyokeizai.net/articles/-/648098)、中国の2022年の人口が61年ぶりに前年を下回り、今年には、急激に人口が増えているインドに抜かれこれまで君臨し続けてきた人口世界一の座から陥落するのではないか、と書かれている。いずれ逆転するだろうとは言われてきたが、その時が今年になりそうだとは、二度ビックリだ。
記事が引用している中国国家統計局の発表によると、2022年末時点で、前年から85万人減少し14 億 1,175 万人となったという。ただ、減少したと言っても出生数はまだ956万人もいて、2022年の統計で80万人を切るのではないか(日本人のみ)と言われている日本からすると、羨ましい限りである。とは言っても、その減少幅は日本の出生数を遥かに凌いでいて、前年から107万人も減少したという。結構厳しい数字である。尚且つ、1000万人を下回ったのは1949年の建国以来で初めてだというから、中国政府にとってはショックだったに違いない。欧米に追い付き追い越せ、と躍起になって増強を図って来た国力の低下に繋がり兼ねないからだ。
しかし、国力の低下という点では、今国会で「異次元の少子化対策」と謳う政策が議論されている日本は、中国よりも遥かに深刻だ。日本経済新聞のネットニュースに載った『出生急減、22年80万人割れへ 人口1億人未満早まる恐れ』と題する記事(※1)によれば、出生数の減少は加速していて、「出産適齢期となる女性の減少と相まって、30年後の出生数が年50万人程度になる可能性もある」とする研究者(中央大学の山田昌弘教授)もいる。見方を変えると、我々団塊の世代(1947年〜1949年生まれ)の出生数は270万人前後で推移していたから、我々がオギャーと生まれた頃からたかだか100年そこそこで、一挙に1/5以下にまで減ってしまう可能性がある、ということだ。これは恐ろしい事だ。
国際競争力や給与水準など、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とまで言われていた時代からの凋落は、誰もが知るところだ。このまま教授の指摘通り僅か50万人程度の出生数になってしまうと、現役世代一人で高齢者(65歳以上)一人を支えなければいけない、という恐ろしい日本の姿も絵空事ではなくなってくる(内閣府の発表では、2021年時点で2.1人)。30年後と言えば、孫たちが現役世代の中心となっている頃だ。可哀そうだが、孫たち世代の苦労する姿が目に見える。恐らく、その頃になると日本離れも加速していて、海外に活躍の場を求める人も増えるに違いない。益々人口減少は顕著になるだろう。
(※1:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA27EOV0X21C22A0000000/#:~:text=)
少子化・人口減少が進むと、懸念されるのは、良く言われる年金制度の破綻ばかりではない。その年金を含めた大きな括りで言う「社会保険(年金・医療・介護)」は勿論、ハンディキャップがある国民を支援する「社会福祉」や生活保護制度に代表される「公的扶助」、さらには今回のコロナ禍で脚光を浴びた「保健医療・公衆衛生」など、現役世代が支える社会保障制度が、根本から揺らぐ。また、地方議員の成り手不足だったり、空き家が増え続けたりなど、思わぬところにも影響が出始めている。石川県でも今、それこそ思わぬ形で人口減の悲哀を味わっている。
先週半ばから日本全土を襲った強烈な寒波の影響で、石川県内では、水道管の凍結による破裂や漏水が相次ぎ、大規模な断水が発生している。全国ニュースにもなっていて、1月29日の北陸中日新聞朝刊によれば、1月28日現在で、県内の断水は依然9200世帯にも上るという。県内には、早くから低温注意報が出されていて、我が家でも、外気に晒されている蛇口に藁のコモを撒いたり(前話の写真参照)、家の中ではチョロチョロと水を出しっぱなしにしたりして、凍結対策をした。
しかし、石川県は雪国ではあるものの、水道管が凍結するほどの低温になることは滅多にない為、油断していて対策を講じなかった住宅もあったのだろう。加えて空き家が多く、この空き家での凍結破損が事態を難しくしていて長引く元凶となっている、と報じられている。人が住んでいる住宅であれば、異変は見つけやすく、直ぐに修理も出来る。しかし、空き家の場合そうはいかない。一軒一軒しらみつぶしに当り、破損状況を確認していかなければならないのだ。その上雪が積もっている。当然、確認には時間は掛かる。必然的に断水は長引くことになる。こうした悪循環が、今回の大規模断水に繋がったのだろう。
大規模断水の多くは能登地方だ。人口減少が顕著な地域である。今回のこの大規模断水が、地方における“人口減の悲哀”と言うのは的外れだろうか?
最後に、いつものジョンズ・ホプキンス大学による感染状況の集計結果を記載しておく。日本時間1月31日17時の時点で、世界全体の感染者数は6億7051万人に迫り、亡くなった人は先週より9万人増え683万人を超えた(NHK特設サイト 新型コロナウイルス:※2)。 (※2:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/)
【文責:知取気亭主人】
束の間の晴れ間に撮った卯辰山の雪景色
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