2023年3月1日
ロシアのウクライナ侵略から、2月24日で1年が経った。あっという間だった。当時は全くの平和ボケだったせいか、「他国の主権を一方的に犯し、他国領土を蹂躙する様な蛮行がこの21世紀に行われるのか!」と、ただただ驚いていた。それから毎日、来る日も来る日もウクライナ情勢のニュースが流れない日はない。それ程世界にとってショッキングな出来事で、この蛮行が世界の国々に与えた影響は計り知れない。政治の面では疑心暗鬼と緊張が増し、一斉に軍拡に向かわせてしまった。また経済の面では、ロシアへの経済制裁もあって世界的なインフレを惹き起こし、成長の足枷になっている。そして、報道されるウクライナの惨状は目を覆うばかりだ。
しかし、ロシアの猛攻にも拘らず、ウクライナを率いるゼレンスキー大統領は、不退転の決意を示し、国民への徹底抗戦と世界各国には継続した支援を訴えている。欧米を中心とする諸国もロシアの蛮行は民主主義への重大な挑戦だとして、23日に開催された国連総会では、ロシア軍の完全撤退や国際法上の重大犯罪への調査と訴追を求めた決議案を、圧倒的多数の賛成で採択した。しかし、圧倒的多数ではあるものの、193ヶ国のうち賛成したのは141ヶ国、反対したのがロシアと隣国ベラルーシに加え北朝鮮など7ヶ国、棄権が中国やインドや南アフリカなど32ヶ国、投票不参加がアゼルバイジャンやカメルーンなど13ヶ国と報じられていて、賛成票を投じていない国が52ヶ国もある。こうしてみると、ロシアの影響力も決して侮れない。中国に代表される様に欧米主導を嫌う国が意外と多いのと、これまでの付き合いから忖度した国なども多いのだろう。
そのロシアは、核の使用もチラつかせていて、ウクライナ陣営を強く牽制している。25日の読売新聞朝刊によれば、昨年10月中旬には、「ロシア軍幹部が小型の戦術核兵器を使う案を協議した」との情報が米国政府内を駆け巡ったという。小型と言っても広島型原爆の6倍以上の威力を持っているというから恐ろしい。1日も早く終わらせてほしいと願うばかりだが、そのプーチンは、一向に歩み寄りを見せないでいる。一体いつまで戦い続けるのだろう。過去の戦争から終わりを想定できないものかと思い、下の表を作成してみた。
表1.主だった戦争の終戦や停戦までの期間と結果
戦争名 |
戦争期間 |
敵対した国や軍隊 (※) |
結果 |
太平洋戦争 |
1941.12〜1945.8 |
日本 対 連合軍 |
日本の無条件降伏 |
朝鮮戦争 |
1950.6〜1953.7 |
北朝鮮(中国、ソ連) 対 大韓民国(国連軍、米国) |
軍事境界線(38度線)を設置して休戦 |
ベトナム戦争 |
1960〜1975 |
北ベトナム(ソ連,中国) 対南ベトナム(米国,韓国) |
北ベトナムが勝利し、南北統一 |
イラン・イラク戦争 |
1980.9〜1988.8 |
イラン(イスラエル、シリア) 対 イラク(米国) |
両国が国連安全保障理事会の決議を受け入れて停戦 |
湾岸戦争 |
1990.8〜1991.2 |
イラク 対 多国籍軍(米国) |
イラク軍敗走し、和平条件を規定した国連決議を受諾 |
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』を参考に作成(※:()内は支援した主な国)
表1は、記憶に残る戦争の中から印象深いものを選び作成したものだ。この他にも、旧ユーゴスラビア社会主義連邦共和国解体の過程で起こったユーゴスラビア紛争と呼ばれる内戦や、中東戦争と呼ばれるイスラエルと近隣諸国との長い戦いがあるが、これらは今でも対立が続いた状態であり、この表には載せていない。また、他にもロシアが絡んだチェチェン紛争など、載せていない紛争や戦争も多々あるかとは思うが、ご容赦願いたい。
さて、表に示したように、イラク軍が敗走し、サダム・フセイン政権が倒れた湾岸戦争を除けば、何れも年単位で戦争は続いている。一旦戦争を始めてしまうとなかなか止められない、という証左である。ベトナム戦争に至っては、15年も続いた。また太平洋戦争も、日中戦争を始まりとすれば、実質はもっと長い。湾岸戦争以外で最も短かったのは朝鮮戦争だが、それでも戦いは3年も続き、その上、70年経った今でも緊張状態が続いている。
残念ながら、今回の戦争も長期戦の様相を呈してきた。終わり方も難しい。ロシアが、「ゴメン、悪かった」と侵略前の状態まで撤退すれば、補償などの問題は残るものの和平締結の道筋は明るい。しかし、プーチンとて、一旦振り上げた拳はそう簡単に下ろせないだろう。だとすると、歴史が物語るように、結末は3つのケースに絞られるのではないかと思っている。@太平洋戦争やベトナム戦争の様にどちらかが敗戦を認めるまで突き進んでしまうか、或いはA朝鮮戦争の様に軍事境界線を設けた上で休戦するか、それともBイラン・イラク戦争の様に両国共に国連や第三国の提案を受け入れて停戦するか、である。
ただ、一方的に侵略し蹂躙しているのがロシアであることを考えれば、ウクライナが勝利した上で@かBの結果にならないと、今後の世界も心配になって来る。そんな心配を払拭するには支援の継続がどうしても必要だ。しかし、「支援国に“支援疲れ”や“足並みの乱れ”が見え始めた」などと報じられると、不安になってしまう。第二のプーチンを出さない為にも絶対にウクライナを見捨てる訳にはいかないのに…。そうでしょう、皆さん!
最後に、いつものジョンズ・ホプキンス大学による感染状況の集計結果を記載しておく。日本時間2月28日17時の時点で、世界全体の感染者数は6億7516万人に、亡くなった人は687万人を超えた(NHK 特設サイト 新型コロナウイルス:※1)。
(※1:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/)
【文責:知取気亭主人】
 |
 |
春はきっと来る! |
|