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知取気亭主人の四方山話
 

『夢を買う』

 

2023年5月3日

先月(4月13日)、北朝鮮がまた弾道ミサイルを発射した。調べてみると(防衛省発表による:https://www.mod.go.jp/j/surround/northKorea/index.html)、1月1日の年頭発射を皮切りに、2月に1回(20日)、3月に至っては2回(19日と27日)などと、今年に入って毎月、そして既に5回も発射していて、極東地域の緊張を高める愚行を繰り返している。数少ない友好国であるロシアや中国からは聞こえてこないが、世界各国から非難が相次いでいるのは、当然のことだろう。

敵対国には威嚇を、国内向けには国威発揚を狙っているのだろうが、漏れ伝えられる国民の窮状を考えると、即刻止めるべきだ。国民の豊かで安全な生活を犠牲にした愚行であることは、明らかだからだ。しかしその一方で、その技術力は、決して侮れないレベルになってきている。性能が格段に上がった上に、箝口令を敷いているからかもしれないが、以前は時折聞こえていた「失敗した」という情報が、最近では全然聞こえてこないのだ。その北朝鮮に比べると、我が国のロケット技術が、いささか心配な事態となっている。

2022年10月に固体燃料のイプシロンロケット6号機が、今年の3月7日には次期基幹ロケットとなる液体燃料のH3ロケットが、いずれも打ち上げに失敗している。また、そうした航空・宇宙関係の失敗を象徴する様な、ショッキングな出来事もあった。今年2月7日、三菱重工業が国産ジェット旅客機事業からの撤退を発表したのだ。15年も前の2008年に華々しく事業化を決定し、前回の東京オリンピック(1964年)で聖火を運び雄姿を見せた戦後初の旅客機、「YS-11」以来となる国産旅客機を飛ばすという悲願の事業だったのだが、残念ながら無念の涙を飲むことになってしまった。官民肝煎りの一大プロジェクトでもあったのだが…。これで、HONDAの米国子会社が手掛ける小型ジェット機を別にすれば、国産のジェット旅客機が世界の空を飛び回る夢は、露と消えてしまった感がある。

ただ、イプシロンロケットとH3ロケットに関しては、失敗したからと言って、無念の涙と諦める訳にはいかない。これからも、気象や災害情報など宇宙から地球を観察したり、地球以外の惑星や月を探査したり、宇宙利用・開発の一翼を担う重要な任務を帯びているからだ。失敗の原因を徹底的に調べ、十分な対策を講じて、次回の成功に繋げなければならない。そうしなければ、我が国の防災上も安全保障上も、情報不足という心許ない状況になってしまう。また、小惑星探査機「はやぶさ」と「はやぶさ2」で日本中を感動させてくれた様な壮大な夢を、国民に与える事が出来なくなってしまう。もっと言えば、宇宙の謎を紐解くという人類の壮大なミッション・夢に参加することもできなくなってしまう。

「国民が夢を持つことは国民が希望を持つことにも通じる」と思っていて、夢が叶えば、自信に繋がるのは勿論、他の事に対しても前向きに向き合う事が出来る。それも、例えばWBCでの優勝や大谷翔平選手の活躍が、日本国民に感動と勇気と自信を与えてくれている様に、誰も成し得ないような偉業を達成すれば尚更だ。それ程、夢を持つということは大事な事で、自信を無くしかけている日本人にとって、今一番必要な事でもあると思っている。

実は、そんな下向き加減の日本人に大きな夢を与えてくれる宇宙開発事業があって、つい先日実行された。世界でまだ誰も成し得ていない、民間の手による月面着陸だ。これまでに月面着陸を成し得たのは、旧ソ連、アメリカ、中国の3ヶ国しかなく、世界で4番目、尚且つ民間としては初めての、大きな挑戦だった。この難しいミッションに挑戦したのは、日本の宇宙ベンチャー企業「ispace」(アイスペース)だ。ただ、報道等で既にご存知の方も多いと思うが、残念ながら、この挑戦は失敗に終わってしまった。

「順調にいけば4月26日(水)未明に着陸予定」と報道されていた為、朝起きて直ぐにスマホニュースを見た。ところが、「月面着陸失敗」の文字がやけに大きく目に飛び込んで来た。喜びを分かち合えると思っていたのに、残念だ。その後同社の記者会見で、「着陸船自身の月面からの高度を誤って認識し、燃料切れを起こし、落下スピードを落とせないまま月面に衝突した」との分析結果が発表された。それを27日の北陸中日新聞(以下、新聞)の記事で読んだのだが、未だ3ヶ国しか成功させていない理由を垣間見た気がする。

ただ、この失敗でとどまっているつもりはなさそうだ。新聞によれば、この挑戦・失敗で得られた知見やデータを、2024年に予定している同型機による再チャレンジと、翌25年に打ち上げを計画している大型機に生かす考えだという。失敗にめげず何度でも挑戦する、大好きな姿勢だ。そんな事を聴くと、是が非でも応援したくなってしまう。しかし、応援する術を知らない。

ところが、情報源はどこだったか忘れてしまったが、更なる挑戦を続けるには資金の調達が課題だ、という記事を読んだ。ベンチャー企業だけに、潤沢な資金がある訳ではないという。しかし、一介の老人に資金援助するほどの金は無い。そこでハタと思い付いたのが、「ispace」の株に投資をして、企業価値を増やし、間接的に支援をすることだ。企業コード「9348」の5月1日の同社株価は、1,100円前後で推移している。100株で11万円前後だ。株に投資をして“夢を買う”、如何だろう。余裕のある人は、もっと高値でたくさん買えば、それだけ企業価値は上がる。そうすれば、資金調達も楽になっていくのではないか、と単純に思っているのだが…。


【文責:知取気亭主人】


ヤマブキ(七重八重 花は咲けども…)
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