2023年8月2日
7月28日の朝、愛車(折り畳み自転車)で会社に向かう途中、思わぬアクシデントに見舞われた。家を出て僅か5分後、「山側環状」と地元で呼んでいる幹線道路を横切ったところで、突然前のタイヤが“ガタガタ”と言い始め、走れなくなってしまったのだ。やってしまった。パンクだ。昨年も似たような経験があって、(この時は後輪だったが)パンクだと直ぐに気が付いた。降りて確認すると、思った通りタイヤはペチャンコだ。原因は思い当たるから、「やっぱりまずかったか!」と悔やむことしきりだ。
原因は、幹線道路を横切る直前にあった見た目5cmほどの段差を、ガツンと強いショックを受けながら勢いよく乗り越えたからだ。段差に気が付いた瞬間、「ヤバイ!」と思ったのだが、時既に遅し、反射神経の衰えもあって回避することができなかった。危惧した通り、30mほど走った所で、“ガタガタ”と来た。当日は、昼頃に猛暑となる予報を知って折角いつもより早く家を出たのに、僅か5分走った所でこの有様だ。無念だが引き返すしかない。ハンドル付近に載せていた着替えなどの荷物を肩に掛け、パンクした前輪を持ち上げ後輪だけで転がしながら、上り坂の続く帰路に就いた。
照り付ける強い日差しの中、「それにしても、記憶がある平成以降、日常的に乗っていた自動車でのパンクは全く経験していないのに、愛車に乗り始めて直ぐに2度もパンクするなんて!」と嘆いてみたが、息は切れるし、足取りも重くなるばかりだ。その上、汗もびっしょり掻いて来た。このままでは気まで滅入ってしまいそうだ。そこで、「そうか、今日は命の危険があるほど暑いからグリーンキーパーの仕事はやめときな、という神様のご教示なのだろう」、と思うことにした。
しかし、である。上述したように、ほぼ毎日乗っている自動車は全くパンクしないのに、多くても週に3日程度しか乗らない自転車がこれだけよくパンクするのは、何故なのだろう。一つは、自動車のタイヤに比べ自転車のそれが極めて細く、凸凹を拾い易い、言い換えれば衝撃に弱いからだ。恐らく間違いないと思う。体重が耐荷重より少しだけ重い、ということもあるかもしれない。それは冗談としても、僕が通勤に使っている歩道などの路面状況が、自転車にとって悪路となっていることも大きい。歩道と車道の段差も大きい。当然、車椅子にとっては自転車以上に過酷だし、目の不自由な人にとっても、安全に歩くことは難しい路面状況だ。どうも日本の道の多くは、残念ながら、自動車最優先に造られていて、歩行者や運動弱者は二の次になってしまっていて、今流行りのSDGsの考え方からすると、解決しなければならない課題が目立つ。
ただ、そうした課題は、時間は掛かるかもしれないが、いずれは解決されて行くのだと思う。それとは別に、パンクに関して「なんだかなあ…」と考えさせられることがある。最近の新車にスペアタイヤが常備されていないことだ。昭和の時代の自動車には必ず車体とセットで販売されていたスペアタイヤが、いつの頃からかオプションになった。最近では、そのオプションさえも無くなり、パンク応急修理セットが備わっているだけの車も販売されている。初めてそれを知った時には驚いたが、僕自身平成以降パンクした経験がないことを考えると、意外と応急修理セットだけで大丈夫なのかもしれない。タイヤの性能が格段に良くなったことも、そうした動きに拍車を掛けている一因なのだろう。
また、先ほど述べたように道路としてはまだまだ課題はあるものの、こと車道に関しては、良くパンクをしていた昭和の時代と今とを比べると、舗装率も路面の状況も格段に良くなっていて、自動車にとっては走り易い。ゴミも少なく奇麗だ。お蔭で、多くのパンクの原因となって来た鋭利なゴミも、殆ど拾わなくなった。更に、万が一パンクしたとしても、JAFや保険会社によるロードサービスが充実してきていて、そのサービスを使えば事足りることが殆どだ。タイヤ交換ができない、或いは苦手な、女性ドライバーや高齢者ドライバーにとっては、願ってもないサービスが容易に受けられる。恐らく、自動車メーカーにとっても、スペアタイヤが無い分だけ燃費向上に繋がり、より広い荷室の空間確保ができることから、積極的に勧めたのだと思う。
ただ、そうした恵まれた状況は、平時だから言えることだ。3.11東日本大震災の様な、広域の激甚災害時には、頼りのロードサービスは恐らく機能しない。その上、被災地の路面は荒れていて、ゴミも散乱していると予想される。当然、タイヤを傷つける鋭利なゴミもあるだろう。その分パンクもしやすい。そうすると、パンク応急修理セットだけでは何とも心許ない。公的な災害救援・支援車両は、その辺のところを十分考慮して、スペアタイヤは積んでいるのだと思う。しかし、被災地の住民が避難したり、知り合いの救援に向かったり、そうした時に使う個人の車両は、恐らく、積んでない車が多いと思う。
それを考えると、大規模地震が想定されている地域の住人は、パンクへの備えをしておく必要があると思うのだが、考え過ぎだろうか?
【文責:知取気亭主人】
愛車と荷物を入れる専用のバッグ
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