2023年8月16日
8月9日、40℃近い猛暑が予想される中、午前中だけでもと会社の草取りに行ってきた。剪定した枝の処理と草取りだけだったのに、これまでになく大量の汗をかいた。長袖と長ズボンに加え、手には手袋、足には地下足袋、頭には麦わら帽子、更に首にはクールタオル(水に濡らして気化熱で冷やすタオル)を巻き、ほぼ顔以外をすっぽりと覆っている。何とも暑苦しい“いでたち”だ。しかし、これまでと変わらぬスタイルだ。変わっているところとすれば、いつにない高温とずっと炎天下での作業だった、ということだろうか。
3時間ほどで切り上げたが、汗が凄い。これまでと違い、背中ばかりか上着の前も袖もビショビショだ。ズボンのベルト付近やお尻回りもぐっしょりだ。顔からも汗がしたたり落ちる。休み休みやっていた筈なのに、これだけ大量にかくとは驚きだ。一体どれほどの量だったのだろう。まったくの概算ではあるが、面白半分に、今回かいた汗の量を計算してみた。
計算は、朝食に含まれていた食材の水分量は無視し、以下の式で概算することとした。
{飲んだ水分量+(平均体重−作業後の体重)}− オシッコの量 ≒ 汗の量
まず、飲んだ水分量だが、朝食の牛乳と水で約500ml、作業中に600mlのペットボトル2本で1200ml、そして500ml入る水筒のアイスコーヒーを約半分飲んで300ml、合計で2000mlほど飲んだことになる。減少した体重は、厳密には[作業前の体重−作業後の体重]だが、作業前は量っていない為、多少の誤差があることは承知で、毎日夕食前に量っている体重のおおよその平均を使う。大体72.3sといったところだ。一方、作業後の体重は、実測していて71.8sだった。また、オシッコは2回行ったが、量は極めて少なく、検尿時の紙コップで見当をつけると100mlあったかどうかだと思う。大勢には影響ないことから、100mlだったとする。以上から、当日の草取り作業に伴う水分収支は、
{2000 +(72300 −71800)} − 100 ≒ 2400ml
となり、おおよそ2400mlもの汗をかいていた勘定になる。すごい量だ。
ちなみに、千葉県市川市の「きし内科クリニック」のホームぺージに、『熱中症予防のための水分補給』(https://www.kishi-clinic-ims.jp/app/Blogarticleview/index/ArticleId/19)のコンテンツがあって、それによれば、夏の炎天下で10分歩くと約100mlの汗をかく、とある。2400mlだと約240分、約4時間歩いた勘定になる。実質の作業時間は3時間ほどだが、剪定した枝を裁断したり草を抜き取ったりの力仕事もしているから、仕事量としたら4時間歩いたのと同程度ということなのだろう。
ところで、これだけ水分が失われると、当然電解質(塩分)も失われる。先に紹介したコンテンツによれば、汗の成分のうち殆ど(99%)は水分で、0.05〜0.5%が塩分だという。真ん中あたりをとって0.3%だとすると、1000mlの汗をかくと約3gの塩分が失われることになる。2400 mlだと約7.2gにもなる。結構な量だ。これだけ多いと、これまで講じてきた熱中症対策で果たして事足りてるのだろうか、少々不安になってきた。
今回は持参しなかったが、熱中症対策としてよく持って行っているのは、スポーツドリンク(商品名:アクエリアス)のパウダーを溶かした飲み物だ。600mlのペットボトル2本に1ℓ用を溶かしているのだが、袋に記載されている食塩相当量は、僅か1.0gしかない。これでは、例え2本飲み切ったとしても、到底足りない。また、今回口にした「塩分チャージタブレッツ」に至っては、1粒当たりの食塩相当量は0.121gしかない。スポーツドリンクや「塩分チャージタブレッツ」の利用で事足りると考えていたのだが、炎天下で作業する場合には甚だ心もとない対策なのかもしれない。
では、どう対策するか。そこで思い出したのが、先日参加した「お食い初め」の時に聞いた、次男の嫁のお父さんの話だ。『畑仕事の時に梅干し1粒を口に入れ、残った種を口に入れたままにしておくと、のどが渇かない』、と言うのだ。我が家にも梅干しはある。これを利用しない手はないなということで、梅干しについて調べてみた。
『石神邑 よみもの』(https://www.ishigamimura.co.jp/articles/column/umeboshi-enbun/)に、梅干し1粒当たりの塩分相当量について説明しているコラム(WEBコラムvol.17)がある。それによれば、3Lサイズ(おおよそ20gと記載されている)の梅干しの場合、塩分20%のもので約3g、8%濃度のものは約1.2gとある。家内に訊くと我が家は15%で漬けているという。サイズも違うから正確にというわけにはいかないが、我が家の梅干しだと、1粒からおおよそ1.5g見当の食塩相当量を摂ることができる、と見込めそうだ。
となると、梅干し1個を口に放り込めば、スポーツドリンク1000ml飲むよりも多くの食塩相当量を摂ることができる。さらに、比較はしていないが、疲労回復に効果のあるクエン酸も多そうだ。そう考えると、作業前に梅干しを口に入れ水は別途こまめに飲む、これが熱中症対策としてより強力なのかもしれない。そして、梅干しを食べても足りない分は、食事の際に、今が旬の糠漬けをご飯のお供にして補う。
なんだか昔ながらの夏の食卓風景だが、これが蒸し暑い夏を乗り切ってきた日本人の知恵なのだろう。
【文責:知取気亭主人】
ギョッとした出会い(ベニスズメの幼虫)
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